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【連載小説】新説 桃太郎物語〜ご挨拶

初めまして。鈴木代悟と申します。

私は美容師をしているのですが、今回クリエイション(髪の毛を使ったアート作品)を作成するにあたって、小説を書き、自費出版することになりました。そこで、より多くの方々に読んでいただきたくてこちらに投稿させて頂きました。

              ※以下“新説 桃太郎物語” はじめに より抜粋

クリエイションには絶対的にテーマやコンセプトが必要ですが、実は今から遡ること8年前に、あるテーマを掲げたことがありました。そのクリエイションテーマは…

“桃太郎”

桃太郎の主要なキャラクターたち(桃太郎、猿、犬、雉、様々な色の鬼)をヘアメイクを中心にファッショナブルに作品にしたら面白いのではないかと思いテーマに掲げましたが、その時はイメージはあれどそれを表現するだけの“技術力”と“似合わせ力”がなかった為に、今までずっと手をつけずに寝かせていました。

“桃太郎”はいわば“日本で一番有名な、日本最古の冒険活劇”近年の“ドラゴンボール”や“ワンピース”の先駆けになった作品で、老若男女問わずの知名度でいえば他の追随を許さない圧倒的な物語と言えます。(逆に日本人で桃太郎を知らない人を探す方が困難だと思われます。水曜日のダウンタウンの“説”に応募したいくらいです)
今まで冒険活劇の漫画やアニメをドラマや映画などで実写化した場合、多くが残念な結果になっている事が多いと思います。その理由は、漫画やアニメの場合、原作のキャラクターが既にビジュアル化しているからに他なりません。原作に寄せすぎるといわゆる“コスプレ”になってしまい(コスプレを否定しているわけではなく、今回はあくまでもビューティーのクリエイションを創るにあたってはという意味)、離れすぎるとそもそもそのキャラクターだと分からない。元のキャラクターから“付かず離れず”この絶妙なバランスの中で、それぞれのキャラクターを“ビューティーに落とし込む”という途方もなく難しいミッションを強いられているからだと私は考えます。(もちろん桃太郎にも同様のことが言えます。最近話題の“鬼滅の刃”に対して、芸能人の多くがコスプレ合戦を繰り広げておりますが、ファンの中から実写化を望まないという声が多いのもそういった理由からではないかと思われます。)

しかし昨年、私も作品撮りを初めて15年ほどになり、ようやくイメージに技術と似合わせが追いつき、自分の中で『これはいけるっ!!』と、“何か確信めいたもの”があり、この度作成する事を決断しました。

私は作品を創る時にまず第一段階として、そのテーマをとことん調べる所から始めます。

日本人なら誰もが知っている桃太郎ですが、深く調べてみると面白い事がわかってきました。例えば、日本人が思い浮かべる鬼のビジュアルはなぜああなのか?なぜお供は猿、犬、雉なのか?鬼の色って決まりがあるのか?あるなら何種類あるのか?実は桃太郎の出生は昔と今で全然違う物語になっている。などなど…数え上げたらきりがありません。やはり、自分がクリエイションとして表現したいのなら、しっかりとその本質を丸裸にするくらい調べないと、それはただの“ビジュアルを真似る”という行為になってしまい、作品としても“薄っぺらく”なってしまうと考えるからです。
また、美容師の中には、ヘアだけではなく、メイク、衣装、フォト全てを自分でやる方もいますが、私はヘア以外はそれぞれのプロに頼み、チームを組んで作品を作成しています。その為、プロデューサーでもある私の作品の方向性をよりイメージしてもらう為に、毎回〝企画書〟を作成しています。今回の作品のイメージはこうなので、こういうメイクでお願いします。衣装でお願いします。ライティングでお願いします…という風に。

そういう意味でも〝テーマを掘り下げる〟という作業は、本当に重要な事として捉えているのですが、今回、桃太郎を作成するにあたり、それぞれのキャラクター紹介として、100文字ほどの短い文章を載せておりました。例えば桃太郎なら…

『心優しきみんなのヒーロー。 一人称は“僕”。一番の強みは〝絶体に諦めない強靭なメンタル〟。弱きを助け強きをくじく。 刀による剣術で攻撃。 おばあさんが川で洗濯をしていると、上流から流れてきた大きな金色の桃を拾い、その桃から生まれ、おじいさんとおばあさんに育てられる。もともと身体能力が高く、それに輪をかけた努力家ゆえ、若くして国一番の剣士として名を馳せる。桃太郎が十六歳の誕生日を迎えた時、突如現れた〝鬼の軍団〟によって世界は滅亡の危機に瀕していた。おじいさんとおばあさんを、村の人達を、そして世界中の人達の安住を求めて桃太郎は旅立つのであった。 怒りが頂点に達すると〝不思議なチカラ〟が発動し、スーパーサイヤ人ならぬ スーパー桃太郎が発動。 〝少年ジャンプ〟の主人公のように、真っ直ぐな感じで撮りたいです。』

その作業と同時に、桃太郎を調べていてどうしても腑に落ちない点が多々ある事に気がつきます。なぜ桃が流れてきたのか?なぜ鬼は人間を襲っているのか?猿、犬、雉がきびだんご一個で命をかけるってどういう事だ?などなど…調べれば調べる程、気になることが増えていきました。
そこで私はある決断を下します。それは、

〝どこを探しても答えがないのなら、自分で創ってしまおうっ!〟

もともと私は本が好きで、今でも常に本を何かしら読んでいますし、お恥ずかしながら中学生の時に本当にお遊びではありましたが、執筆の経験もありました。今までここまで本格的な物語を書いた経験はないですが、少しだけではありますが自信はありました。

その最中、予期せぬ所で世の中は歴史に残るであろう大変な事態に陥ります。

そう、〝新型コロナウイルス流行〟です。

本来撮影日を5月に予定しておりましたが、その撮影が延期になったことで、準備期間が3ヶ月ほど伸びました。奇しくもそれにより、執筆するだけの時間的余裕ができたのです。

そうして物語を描き始めた私でしたが、途中で何度も投げ出したくなりました。執筆というのは、やはり生半可な気持ちで手を出していいほど甘くないと痛烈に気付かされました。一番苦労したのは、やはりイメージはあれどそれを文字だけで伝えることの難しさでした。(作品撮りと同じでやはり、何のクリエイションでもイメージと技術のバランスが大切)説明が過ぎると文章が間延びするし、説明が少ないと読者に伝わらない。その中でも一番苦労したのは、戦いのシーンです。そこは今でも読者の皆さんに情景が浮かぶか不安な面も正直あります。しかし、その都度筆を動かせたのはこの一心でした。

〝美容師で作品撮りの為に物語を描いた人類最初の人物になれる〟

今まで数多の美容師が本を出版しています。“技術本”“作品集”“経営の本”…。しかし、私が知る限り“小説”を出版した美容師はいないと思います。クリエイションをするにあたり、それぞれがテーマに対して映画や絵画、音楽などからイメージを膨らませる事はもちろんあると思いますが、元の物語があるにせよ、215ページにも及ぶ物語を“クリエイションのプロセスの一環として執筆した人”は未だかつて聞いたことがありません。(日本のみならず世界でも初めての可能性あり)
なんの分野でも、〝初めてのことを成し遂げるチャンス〟は滅多に訪れるものではありません。正直これがどれだけ社会的な価値があるかわかりませんが、私は最後までやることを選びました。加えて単純に思ったのは、〝途中で投げ出す事への強烈な嫌悪感〟です。私は消しゴムはなくなるまで使うタイプですし、使い捨てライターはガスがなくなるまで使うタイプなのです。

そんな葛藤と戦いながらもなんとか完成させる事ができました。例えそれが拙いものでも、最後まで書き終えた事、この経験は今後の私の人生においては、確実にプラスになると思います。しかしながら手前味噌ではございますが出来上がってみると、クリエイション作品がまるで絵本の挿絵のようになり、“美容師にしかできない面白い斬新な小説”になったと感じております。

私はもともと、漫画、アニメ、ゲームが大好きですので、今回の物語にも自分が影響を受けたものは積極的に使わせていただいております。そこは、〝パクリ〟ではなく〝オマージュ〟という観点を持っていただき、加えて今回は出版するにあたって“企画”“構成”“編集”“校閲”に至るまで、“印刷”と“製本”以外は全て自分自身でやらせて頂きました。(本にするってこんなに大変なんだということをまざまざと見せつけられました。冗談ではなく自分自身一応の完成版ができてから30回以上は読みなおしました。なぜかって…。…いくらなおしても誤字脱字がなくなってくれないからです…。)言葉遣いや、つたない文章の進行、もしかしたらまだ私が気がつかない誤字脱字もあるかもしれませんが、そこは誰しもが子供の時に楽しんだ“ウォーリーを探せ”を思い出し、あくまでも美容師が執筆したものというフィルターを通して、寛容な心で読んでいただけると幸いです。

この作品が皆様の〝クリエイション魂〟を少しでも刺激することを祈っております。それでは鈴木代悟による、〝新説桃太郎物語〟を心ゆくまでお楽しみください。

それでは…

始まり始まり〜(昔話の語り部風に)

                 2020年11月1日 AZ 鈴木代悟

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