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【連載小説】新説 桃太郎物語〜第一章

日本人なら誰でも知っている昔話…。それが桃太郎。
日本最古の〝冒険活劇〟たるこの物語を、小江戸川越で美容院(AZ)を営む美容師・鈴木代悟が、新たな解釈を用いてオリジナルで創作した〝桃太郎の物語〟に沿って、主要人物たちをファッショナブルにビジュアル化!!
なぜ桃は流れてきたのか…
なぜ鬼は人を襲うのか…
なぜ猿、犬、雉は鬼退治に向かったのか…
さて…
どのような作品になるのやら…
始まり始まり…


【第一章 “旅立ち”の巻】

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、川上から金色に輝く大きな桃が流れてきました。

「おや、これは綺麗で立派な桃だこと。おじいさんへの良いお土産になるわ。」

おばあさんは大きな桃を拾い上げて、家に持ち帰りました。

そして、おじいさんとおばあさんが桃を食べようと切ってみると、なんと中から元気の良い男の赤ちゃんが飛び出してきました。

「おじいさん!この子の首筋を見てくださいな?!星形の痣がありますよ!?何と縁起のよいことでしょう?!?」

「おばあさん!これはきっと、神様がくださったにちがいないっ!?!」

子供のいなかったおじいさんとおばあさんは、大喜びです。
 
桃から生まれた男の子を、おじいさんとおばあさんは“桃太郎”と名付けました。
 

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おじいさんとおばあさんは、それはそれは大事に桃太郎を育てました。
桃太郎はだんだん成長するにつれて、普通の子供に比べて、ずっと体も大きいし、力が強く、相撲をとっても村中でかなうものは一人もいませんでしたが、そのくせ気立てが良く、すごくやさしくて、おじいさんとおばあさんによく孝行をしました。

そんな桃太郎を見て、おじいさんは国一番の剣の達人に桃太郎を弟子入りさせることにしました。

もともと身体能力が高く、人一倍努力家の桃太郎はメキメキ成長し、若くして周りに敵なしの剣豪として名を馳せることになるのでした。

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桃太郎が16歳の誕生日を迎える頃、国では良からぬ噂がちらほら聞こえ始めます。

それは、色々な国や村を“鬼”と名乗る何者かが襲そい、どんどんその勢力を広げているというのです。

ある朝、桃太郎はおじいさんとおばあさんの前で、真っ直ぐな目でこう言うのでした。

『おじいさん、おばあさん。今まで育てていただいて本当にありがとうございます。私にしばらくお暇をください。私は村のみんなを守るため、この国を守るため、何よりもおじいさんとおばあさんを守るために鬼退治に向かいたいのです!!…なぜだかわかりませんが、これは、私がやらなければいけない気がするのですっ!!』

それを聞いたおじいさんはこう言いました。

「桃太郎、それはなんと立派な考えか。わしは桃太郎を信じているよ、お前なら鬼を退治してきてくれるということを。」

おばあさんはこう言いました。

「桃太郎、本当に立派になって…。遠方への旅はさぞお腹もすくでしょう。それではこれを持って行きなさい。」

そう言うとおじいさんとおばあさんは、大きな臼を持ち出してきびだんごを作りました。

きびだんごがうまそうにでき上がると、桃太郎の支度もすっかりでき上がりました。桃太郎は陣羽織を着て、刀を腰にさして、きびだんごの袋をぶら下ると、

『ではおじいさん、おばあさん、本当に今までありがとうございました。』

と言って、丁寧に頭を下げました。

「じゃあ、立派に鬼を退治してくるがいい。」

「気をつけて、怪我をしないようにおしよ。」

おじいさん、おばあさんは言いました。

『大丈夫ですっ!二人の愛がこもったきびだんごを持っていますから!!それでは、行ってきますっ!!』

桃太郎は元気な声を残して、出ていきました。

おじいさんとおばあさんは、門の外に立って、いつまでも、いつまでも見送っていました。

こうして桃太郎の険しくも厳しい、“鬼退治”の旅が幕を開けるのでした。

新説桃太郎物語 ベイス 宣伝用3


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