アカデミー賞2022関連作品レビュー! 「ミッチェル家とマシンの反乱」
日本時間の3月28日にアメリカで開催されるのが、第94回アカデミー賞受賞式。
個人的に気になって観た作品についてレビューを書いています。
前回までのレビューはこちら。
今回は!
「ミッチェル家とマシンの反乱」
あらすじ等はこちら
なんと吹き替えですが冒頭10分間がYouTubeで開放されてました。太っ腹!
前回レビュー致しました「ミラベル〜」とあまりに相性が悪かったのが自分的になんかモヤモヤしてしまい、「こうなったら今回の長編アニメーションノミネート作品全部観ないと気がすまない!」と思いまして。(笑)で、
残る上記の作品の中で「FLEE」はまだ未公開なので観れないのですが、他3作品は配信で観れるので「観よう!」ってツイートしたところ、フォロワーの方から「ミッチェル家最高でした!」とオススメいただき、まずはこの作品から観てみることに。
で、先に書きますと
ほんと最高!!最高!!最高!!!!
3回「最高」を言いましたが、本当に最高で(笑)
今回のアカデミー賞関連作品の中で、ぶっちぎりで一番好きな作品になってしまいました!
今この作品の事を思い出しても、笑いながら涙が溢れてくるというとんでもない事になってて(笑)この面白さを伝えられるか、頑張ってみます!!
※ここから先はおもいっきりネタバレしてますので、結末をお知りになりたくない方はご注意下さい。
(むしろ作品賞にノミネートされて欲しかったよね!!)
最初に上記に貼ったポスターや予告を観ていただくと分かると思うのですが、この映画、
すっごい変な映画で(笑)
登場人物はタイトルにもあるように、このミッチェル家の4人。主人公は
このケイティ・ミッチェルっていう10代後半の女の子。子供の頃から映画や映像作りが大好きで学校などで変わり者扱いされてきたけど、YouTubeなどに自作の映像作品を投稿したりする子で、念願の映像作りを学べる学校に進学が決まり、SNSでやりとりしていた仲間たちとついに楽しい学生生活が送れると出発を心待ちにしてるんです。
ケイティだけじゃなくて、家族みんなちょっと変わり者で、自然となぜか工具のドライバーを愛する父のリック、ちょっと抜けてるけど優しい母のリンダ、そしてケイティとは仲良しで恐竜が大好きすぎな弟アーロン。そしてちょっとブサイクな飼い犬のモンチー。
絵を見ていただくと分かると思いますが、決して華はありません。たぶんこれわざと華がない絵柄にしてると思う。ちょっと変わり者の家族の話なんです。
もうこの設定から「やべー絶対好き」と思いました(笑)ケイティがめっちゃ自分ぽいし(笑)。父はともかく、私の家庭もおよそいわゆる「普通」ではない変わった家庭でしたし、私は妹だけど姉妹仲がほんと良かったりして。
ただ、この映画、そんな家族が
AIロボットの人間襲撃を食い止めるため奮闘するSFコメディ映画
で、
父と娘の心のすれ違いを修復し、家族の絆を確認するめっちゃ泣けるファミリー映画
で、
ケイティの家族からの旅立ちと成長を描く青春成長映画
なんですよ〜。もーわけ分かんない(笑)これが
めちゃくちゃな遊び心と展開に彩られたコメディ映画、けどしっかりと家族、そして一人の女の子の成長ムービーとして近年稀に見る傑作としてもの凄い完成度の高い映画になってます!!
驚いたのはこの演出面の数々、
見てもらうと分かると思うんですけど、違う質の絵や落書き風イラスト、時には写真とかも入ってきてたかな?こういう演出がガンガン入ってきてたり、
映像にYouTuberがアップしたような映像に字幕みたいな説明が入ってきたり、なんていうかここらへんは特に真新しくはないなと思いながらも、ギャグのスピードや展開と絡めた演出がとてつもなく面白くって、かと思えば
描かれるのはいわゆる家庭にあるリアルなところもあって、自然が大好きでAI系と肌が合わない父がスマホばっかり見てる家族達にうんざりしてたり、
ちょっとずれてる家族の行動にありがたさを感じつつも若干傷ついたり、迷惑に感じたり。
なんか、一つ一つのエピソードが凄く身近でもあって、エピソードの流れや演出も上手いんですよね〜。
さらに
敵となるAI「パル」側も面白いけどなんか「ありそう」って感じもあって。開発した会社の社長もコントロールできなくなる。我が家ですらAI家電が少しずつ増えてきてて、もしAIに反乱されたら太刀打ちできないかも。で、アップデートされて旧システムが用無しになることに怒りを感じるとか、AIがどんどん進んだら「ほんと無くもないかもな〜」とか思ってしまいました。
この反乱するパルの声ってオリヴィア・コールマンがやってるんですよ!
自身は今回アカデミー賞でこの「ロスト・ドーター」で主演女優賞にノミネートされています。私は今自分が子育て真っ最中すぎて、この作品は心情的に観れないけれど、こんな超笑える作品にも出てたのか!このパルの声、めっちゃいいの!!(笑)ピッタリなんですよ!ちょっと高圧的で、笑えて、凄く上手いんです!
で、SF好きな人には物足りないかもですが、私みたいな疎い人でも分かるように、設定がそんなに難しくなりすぎないところもありがたかったです。
けど、わけ分かんないところもほんと多々あって(笑)、ファービーがめっちゃ怖い存在になったり、ギャグがほんと面白くて。深夜に観たんですけど、声をあげて笑ってしまいました!!
この飼い犬モンチの使い方も上手くて、誰でもモンチ好きになっちゃうと思う(笑)
そして、この父と娘の心のすれ違いの描き方も凄く丁寧で。これは私、子育てし始めちゃったから親側の気持ちも娘側の気持ちも両方分かるようになって。自分の思いや考えを押しつけてしまったり、子供が大切なことを分かってあげられなかったりするのも親として分かるし、
娘は娘で理解してもらえない寂しさや苛立ちを持ってしまい、お互いギクシャクしてしまう。けど、
もうこのシーンとかガン泣きしたんですけど、っていうか今も書きながら泣いてるけど(笑)親にとって子供はいつまでも大切な存在なんです。たとえすれ違っても。そういうところはめちゃめちゃ泣かせます!!もーほんと泣いたよ!!
そして子供の幸せを願ってるし、一番活き活きできる、自分らしくいられる場所で成長してほしいもの。旅立ちは寂しいけど、嬉しいこと。青春映画の大定番であるこのシーンはやっぱり号泣しました。
と、本当に泣いたり笑ったり、本当に本当に本当に面白すぎて観終わった後に
「はい!決定!この映画最高!」
って私内認定されたんですけど(笑)、観終わってた後にクレジット見て
(ラストのスタッフの家族写真使ったクレジットもめちゃ笑い泣けるんだけど)もう全て納得したのが、制作が
フィル・ロードとクリス・ミラー!!
「お前達かー!!」って声出た(笑)
日本でも大人気の「LEGOムービー」「スパイダーマン:スパイダーバース」の制作、監督を務めたコンビです。この「ミッチェル家〜」は監督はマイク・リアンダという人ですが、恐らくフィルやクリスの感性も多々この映画に投影されてると思います。過剰とも言えるギャグや映像表現や話のテイストや世界観が前2作に本当に近い!
もうこれを知って確信しました。
この二人、もはや巨匠域!!
3作連続でこのクオリティはもう名人芸、いや才能が突出して素晴らしいです!!!単なるアニメ映画ではなく、映画内の中にいろんな世界観がミックスされ、技術表現だけじゃなくて脚本やキャラクター、主題にまで様々な要素がありながら、思いっきり笑えて必ず温かな感動に結びつけくれるんです!
「巨匠」って言うと仰々しく感じるかもしれないし、ギャグ映画やコメディ映画ってなかなかこういう言われ方をする監督は少ないかもですが、私の中ではもうその完全に域です。3作連続でこのクオリティ!!脅威的です!
特に「スパイダーバース」は観た時に「これはアニメを日頃から観ておかないとついていけなくなってしまう」と思わされたくらい、非常に面白くて斬新な映画でした。この作品のおかげで「アニメにもっと触れなきゃ」と思って出会ったのが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」でした。懐かしいな。
本当に本当に傑作です!!!ちょっとでも暇ができた方、まだ観てなかったらぜひぜひ観てみてください!!
おまけ
予告でのBTS「mic dropのの使い方や、映画内での「マイヤヒ〜」が笑えて泣ける「live your life」の使い方なんかもほんとセンス爆発的に最高です♪
おまけ2
弟の声って監督が自分で吹き替えしてるらしくてどおりで声低いと思ったわ!!(笑)
お母さん役の声はマヤ・ルドルフでした!
おまけ3
あの「パラサイト 」の監督ポン・ジュノも昨年のお気に入り作品に「ミッチェル家〜」を選んでいた!!!
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