「リコリス・ピザ」映画界きっての鬼才PTAが描く 誰もが愛せる70sムービーの傑作誕生♪
先日、この映画を観に行きました。
「リコリス・ピザ」
あらすじ等はこちら
映画界の鬼才ポール・トーマス・アンダーソン(以下PTAで略)が監督した70年代のカリフォルニアが舞台の恋愛映画です。この映画、
昨年からアメリカでとても評判が良く、私もめちゃくちゃ楽しみにしていて、今か今かと日本公開の発表を待っていたのですが、なんと
7月1日公開と発表されて
「おっそーーーーーーーーーーい!!!」
と思いました(笑)
日本の公開遅い問題は一向に改善されないですよね。むしろ「公開してやるだけマシ」状態になっている気が。。。
私はTwitterでもブーブー文句言ってたのでフォロワーの方には「うるさい」と思われていたと思いますが(笑)
だってめちゃくちゃ遅いですよ~。確かに大作映画では全然ないけど、日本でも人気のPTAの監督作だし、アカデミー賞にもいくつかノミネートされてたのに。。。
で、7月1日はもう日本の映画ファンには「Xデー」になってしまって
こんなに話題作が一気に公開されることとなってしまい。公開自体はどれも嬉しいんです!!けど、本来はもっと早く公開されるべき作品もなぜかこの日に集中したから、映画ファンにとってはどの映画を観るか「究極の選択」みたいになっちゃってました。私もです!!
そんな中で、やっぱりこの作品は何より楽しみにしていたので絶対に外せませんでした。あと1作と2本立てで観に行きましたので、その作品についてもレビューします。
とはいえ、子育てや仕事もしているから、本当はもっと観たい作品あるけどまだ今後の映画館スケジュールはたてられてなくて辛いな。。。
という話はさておき、この作品、公開初日に観に行ったのですが、
もー!最高―!!!!
って観終わった後にハシゴしなきゃいけない次の映画館にこんな感じで向かいながら、速攻Twitterでつぶやいてしまいました(笑)期待通りの本当に愛すべき作品でしたので、早速レビューしてみたいと思います♪
※ここから先は思いっきりネタバレしてますので、結末を知りたくない方はご注意ください。
(ファッションも見どころです)
監督のポール・トーマス・アンダーソンと言えば
こんな感じで、もう「ブギーナイツ」って20年以上前の作品になるのか~。「凄い天才監督がいる」みたいな感じで話題になってて、私もこの作品は本当に面白くて作品に一気に引き込まれました。
その後も作品が公開されるたびだいたい追いかけてきた感じなのですが、
個人的には結構合う作品と合わない作品があって。「ブギーナイツ」や「マグノリア」あたりは多少毒があったとしてもとても面白くて好きなんですけど、
たぶんこちらの方が映画ファン的には評価の高い「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」や「マスター」あたりは、凄いと思うけどそんなに「凄い好きか」って言われるとそうでもないっていうか。私は「暗黒サイド」って呼んでるんですけど(笑)話も変な話だし。映像は凄いですけど。
というわけで、「リコリス・ピザ」は完全に「ブギ―ナイツ」側の陽気サイドでした。しかも、PTAにしては今までで一番柔らかく楽しい映画で観てる間、「暗黒出てこないかな」とチラッと思ったけど、最後まで大丈夫でした(笑)幸せな気持ちで観れまして。途中超変なキャラのブラッドリー・クーパー演じるジョン・ピーターズはかなり怪しかったけど(笑)
この映画、主演の二人は既に話題ですけど、映画初出演!!一人は
PTA映画の常連役者で盟友、ドラッグで亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンの息子、クーパー・ホフマン。
もう一人は人気姉妹ロックバンド「HAIM」の末っ子メンバー、アラナ・ハイム。(「Harper's Bazaar」の表紙!なんて可愛いんだ!)
この二人が絶妙なバランスで主演を愛らしく演じています。凄くいいのは、観てる間の不思議な感覚。アラナなんて役名も本名のアラナだし、HAIM好きで良く聴いてるのに映画観ている間はやっぱり
70年代に生きる女の子そのまんまって感じで。しかもアラナの家族が
まんまHAIM一家で、お父さんとお母さんも本人なんです(笑)そんな映画、私は聞いたことないわ(笑)兄妹とかはあるかもだけど、一家丸ごとはなかなかないですよね。
クーパー・ホフマンも恐らくPTAとは家族的な仲なのかもしれないですよね。あのPTA映画では常連だった名優フィリップ・シーモア=ホフマンの息子。やっぱり演技がとても良かったです。お父さんを彷彿とさせる部分ももちろんありながら、まだ若いからかこれからって感じが凄くあって。私はちょっとポール・ダノっぽい雰囲気も感じました。今後が楽しみですよね!
この二人のくっついたり離れたりが楽しい映画で、なんといっても
70年代のカリフォルニアの雰囲気が最高でした!車から街並から凄く雰囲気が漂っていて。この舞台はPTAが実際に幼少期を過ごした場所で、もともとディティールにこだわりがありそうな彼らしく、スクリーンを観ていると70年代の画面に吸い込まれていきそうな感覚で。そこに
音楽もとても良くて!予告でも使われていたデビッド・ボウイもですけど、他にも
こういった音楽が多分に使用されていて、本当に70年代にタイプトリップ感が凄かったです。PTAの幼少期を過ごした街をそのまま再現しているような。
70年代が舞台の映画はたくさんあるけれど、撮り方がもっと肌感覚というか。ここあたりはやっぱりPTAの天才のなせるところなのかな、と。
あと、役者や話については、あんまり筋という筋は無くて、複雑でもなく、何か特に理由を突き詰めて考えてもしょうがないみたいな感じで。とにかく1シーン毎の感覚を大切に観るとより楽しいと思います。このシーンもなんか訳分かんないといえばよく分からなかったし(笑)
この「理屈や理由がいらない」ってところがすごく良くて。近年、映画の脚本やキャラクター、設定などにちょっとでもおかしいというか矛盾したりするような点があるとすぐにツッコミを受けてしまう状況があると思うのですが、この作品も
この日本食レストランオーナーと日本人妻をめぐってのエピソードの表現が「人種差別的」と一部騒がれてしまったようです。個人的には全然気にならなかったですが、気になる人には仕方ないですね。。。
「ラブコメ」って言われると確かに笑えるし可愛らしいし、恋物語なのでそうなのですが、私は結構ホームコメディというかホームドラマというような感覚で観てしまったところもあります。なんていうか、設定がホームというより出演者やこの映画の雰囲気全体が「ホーム」というような。それはPTAの家族的な人たちを多分に使った映画だからという事なのかもしれません。
この映画、私的には冒頭近くから個人的に一番いいシーンがありました。
「僕がきみを忘れるわけない。君も僕を忘れない」なんの根拠もないと思いますが、自信たっぷりに言うゲイリー。このシーン、早めに出てくるのに凄くグッときました。変なんですよね、出会ったばかりなのに。
このセリフって拡大解釈かもしれないけど、振り返ってみるとアラナにだけではなくて「この時代、この街」も含まれているのかな、と思いました。ゲイリーの性格をよく表すと同時に、この映画がどういう映画なのかPTAが宣言しているような感覚で。
自身の大切な場所を温かい青春ラブストーリーとしてあいまいに描きながら、そのカリフォルニア、自身の子供時代への愛も語っているような。PTAの中で私には最高な映画でした。
映画館では「どっかからゼア・ウィル・ビー・ブラッド路線が入って来やしないか」とかヒヤヒヤしながら観てたところもあるので(笑)、安心して何回も見直して幸せな気分に浸りたい映画でした。
映画館で観れるチャンスのある方は、ぜひ70年代の景色と音楽にどっぷり浸って観てほしいな、という映画です。
惜しいのはやっぱり公開が遅すぎたこと。しつこくてすみません。昨年に観たかったな~。
おまけ
しかしこんな誰もが幸せになれる映画撮っちゃて、PTA次回作はどーしようもない暗黒映画だったらどうしよう。怖いわ~(笑)
おまけ2
HAIMのMVはPTAが何作も撮っているのですが、私はシンプルだけどこの曲と映像が大大大好きです!
おまけ3
一応モデルがいることになってるけど、ショーン・ペンって実は本当にこういう人なんじゃないかってちょっと思わされた(笑)演技ほんと上手いですね!