「エルヴィス」世紀のスーパースターが辿る明暗の道 バズ・ラーマンしかできない演出で描いためっちゃ力の入るエンターテインメントムービー!!
先日、この映画を観に行きました。
「エルヴィス」
あらすじ等はこちら
先日映画界の鬼才ポール・トーマス・アンダーソンの映画を紹介したばかりですが、こちらも鬼才バズ・ラーマンが手掛けた世界中誰もが知るスーパースター
エルヴィス・プレスリーの生涯を映画化した作品です。
この作品は「リコリス・ピザ」と違い(笑)、世界公開とそれほどタイムラグ無く公開されました。この映画、結構楽しみにしていて7月1日公開と知って、
映画公開「Xデー」となった他の作品とどれ観るかとても迷いましたが、この作品にしました。上映館も多かったので観やすかったです。
そして観て
これは映画館で観て大正解だった!!
と心から思いました。やっぱり音楽系の映画は映画館で観るのが一番。しかもこの映画、パフォーマンスシーンが圧巻なんです!!これは後に書きますけど主演したオースティン・バトラーの力がとても大きいと思います。
そして何よりバズ・ラーマンについてたくさん語りたくなる映画でもありました。エルヴィスのことよりそちらの事についてになりますが、早速書いてみたいと思います。
※ここから先は思いっきりネタバレしてますので、結末をお知りになりたくない方はご注意ください。
(このシーン、笑っちゃうくらい凄い演出だったよね)
エルヴィス・プレスリーのことについては、この映画の他のレビューを読んでいただければたくさん詳細が書いてあると思いますので、一旦置いておきまして。
まず、この映画については
監督のバズ・ラーマンについて語りたいなと思います。この映画、エルヴィスの人生そのものがドラマチックなのもあって、
バズ・ラーマンにぴったりの題材!!
と映画終わった後に感じさせられたのが凄いと思いました。バズ・ラーマンと言えば
私の彼に出会った作品はこの「ロミオ+ジュリエット」でした。アメリカでは1996年公開ですって!やべーそんな前か。
当時信じられないカッコよさとカリスマ性で「タイタニック」で人気爆発する寸前だったレオナルド・ディカプリオと
同じく当時の海外ドラマで人気だったクレア・デインズを主演に据えた全く新しい感覚の古典映画を作り出しました。
音楽は当時人気だったロックアーティスト(当時はインディって言葉あったかな?アンダーグラウンド系?)を使って、
こんな感じでアロハを来たロミオ像を作り上げました。
このシーンは本当に美しくて今観ても見惚れてしまいますね~。
それ以降、
こんな感じで作品を作り続けていくのですが、この「エルヴィス」も今までのバズ・ラーマンの独特の過剰なほどの華美で派手な演出が映像、衣装、演技どれをとっても
これでもか!ってくらい展開されるのが楽しい作品なんです。このポスターがまさにこの映画を表してる感じがします。
そこに
バズお得意の悲劇を描くことで、もともとドラマチックな映像がさらにドラマチックになって、観終わった後どっと疲れるみたいな感覚でした!
その自分色の貫き方!一貫してスタイルを変えないし、観終わった後いろんな感情が湧くんです。そして毎作、役者の演技も凄く見応えがあります!!「悲劇をそのまま映画でしかできない表現で伝えていく」って、その姿勢をここまで貫いている人って結構珍しいと思うんです。この映画ってどのシーンも
これぞバズ・ラーマン印!ってシーンや音楽や映像をちゃんと貫いてエルヴィス・プレスリーを描いていて、「誰もが知るスーパースターなのに、ここまで自分印で演出できるって本当に凄い」と思って。
昨今人気ミュージシャンの伝記映画ってとても増えていて、最近は日本でも大ヒットした「ボヘミアン・ラプソティ」とか、「ロケットマン」とかありますけど、この映画は伝記映画といえどもちゃんとバズ・ラーマン映画としても凄くいい映画になっていて、その意味でも感動しました!
逆にこのバズ・ラーマンの演出が凄く苦手な人もいると思うんです。 けど、エルヴィス・プレスリーの作品だからって全く手を緩めないバズ・ラーマンの姿勢に私は本当に感動って感じでした。
そしてこの映画はやっぱりエルヴィスを演じた
主演のオースティン・バトラー!!!
本当に凄かったですね!!!これは完全に期待以上でした!!!当初は「全然似てないな」って思ってて、エルヴィスをそこまで深く知らない私ですらそう思ったのに
最初のパフォーマンス映像を観た後は
もーエルヴィスにしか観えない!!!
だいたいミュージシャン系映画って「役者は凄いな〜」と感心しちゃうんですけど、さすがにエルヴィスにここまでカッコよさと説得力を持たせるってオースティンは凄い力量だと思います。
演技も本当に良くて。なんていうか、ただ美しいだけじゃなくて本当に「カリスマ」って感じが画面からするんですよ!マネージャーとなるトム・パーカーと遊園地で話すシーンがあるんですけど
本当に美しくてこの時点でちょっと軽くゾワってするくらいでした。
オースティン・バトラーって歌もすごく良くて
これはリハの映像みたいですが、
凄くねー!?こんな凄いの!?⁈
別に私服でそれっぽく歌ってもめっちゃカッコいいし、ただカッコいいだけじゃなくてちゃんと上手いんですよね!!
映画が進むにつれて、プレスリーの成功と悲劇に併せて、重要なターニングポイントでのパフォーマンスのシーンが使われるんですけど、どのシーンもバズ・ラーマンの演出も相まって、観終わるたびにため息が出るくらい圧倒されました!!!映画館ならではの緊張感と音の良さで、「エルヴィスの音に塗れて浸る幸せを体中で感じる映画」って感じですよね。
バズ・ラーマンはオースティン・バトラーに出会えて本当に嬉しかったんじゃないですかね~。もともと
バズのレオナルド・ディカプリオの使い方でも思ったんですけど、レオって一時期「タイタニック」でついてしまったアイドル的巨大人気を拭うためにスコセッシやイーストウッドあたりの作品に主演して映画作るんですけど個人的には全然面白くなくて(笑)そんなところに、
「華麗なるギャツビー」をレオ主演でバズ・ラーマンが撮るってなって、実際できた作品を観て
「一番レオを理解しているのはバズ・ラーマンだ!」と思った時を思い出しました!
この「エルヴィス」でもオースティン・バトラーを凄く上手く使ってて、なんか本人が持っている物以上のものを相乗効果で引き出したんじゃないか、と。そんな気すらしました。
オースティン・バトラー、こんなに演技も歌も上手くて「なんで今まで代表作がなかったの?」って思うのですが、「この映画で主演する運命だった」と思うと最高にドラマチックなのでそう思うことにします(笑)
そして
この映画のエルヴィスの敵のように描かれるマネージャーのトム・パーカーを演じたトム・ハンクスも巧みな演技。今トム・ハンクスも何気に何回かの旬を迎えているような気がします。ミュージシャン伝記映画といえば悪徳マネージャーがつきものって感じで、その役と言えば
「ラブアンドマーシー」や「ストレイト・アウタ・コンプトン」のポール・ジアマッティが専売特許だったと思うのですが(笑)、ここにトム・ハンクスも見事名を連ねることになりました(笑)いやらしいながらも素の人の好さというかチャーミングさもあって複雑なキャラクターを良く演じていたと思います。
そしてこの映画、脇役が「お?」って感じで
エルヴィスのお母さん役の方は私知らない方だったのですが、情けない父役は
この方ですね。リチャード・ロクスバーグ。この方はもうバズ・ラーマン映画ではおなじみの顔。そして、映画の最初の方でトム・パーカーがマネージャーをしている大物カントリー歌手のツアーに同行し、エルヴィスに憧れて真似までしちゃう若手カントリーシンガーとして出ているのが
「パワー・オブ・ドッグ」で絶賛されたコディ・スミット=マクフィ。こんなとこに出てきた!と(笑)「このキャスティングいいな!」と思いました。「パワー~」と同じようなカントリーボーイでありながらこちらはコミカルで。
あと、エルヴィスに理解を示し、トム・パーカーと対立していくスティーブにはデイカー・モンゴメリー。ネットフリックスの大人気作品「ストレンジャー・シングス」を観ている方ならお馴染みのマックスの兄ビリーを演じていた彼!
オーストラリア出身なんですね。こういうオーストラリア俳優キャストはバズ・ラーマンらしいな~、と。
レビューを書こうと思うんですけど、今話題沸騰のストレンジャー・シングスの4には出ていなかったので、こんなところで再会できてなんか嬉しかったです。
ちょっと描き方が弱いかな~と思ったのが、エルヴィスの妻、プリシラ。これは仕方ない感じですかね~。どうしてもトム・パーカーとの話がメインなので、プリシラまで詳細に描くことが時間的にも内容的にも難しかったのかな、と。役者的にはそんな感じで。
そして、バズ・ラーマン映画の大事なポイントとしては
音楽!!
これについてもバズ・ラーマンは一貫して独自のこだわりがあって、
このラインナップ!!どう言っていいのやら(笑)本当に「バズ・ラーマンしかできない」と思わせられる最近のラッパーやミュージシャンとエルヴィスの曲のミックス加減!!これは映画でも語られますけど、エルヴィスが育ちから黒人音楽に多大な影響を受けていたことを反映させてこういうサントラを作ったんだと思うのですが、もう一聴するとハチャメチャとも思える(笑)こういうところもニヤッとしていまい、でもサントラも凄くカッコよくて、このサントラ
このDave Cobbという現代のカントリー界では結構大きな存在になりつつあるPDが関わっていて、ちゃんとエルヴィスサウンドの核でもあるカントリーサウンドよりでもカッコよく聴こえるアレンジになっているんです。
私が大好きなKacey Musgravesがカバーした「can‘t falling Love」も彼女らしくてとても良かったし、doja catやエミネムといったラッパーから、マネスキン、ジャック・ホワイトなどを使った曲のカバーが凄く良かったですね。
そして、オースティン・バトラー自身のカバーもたくさん収録されています。「trouble」とか本当にびっくりレベルでカッコいいです!!今の若い人が聴いてもちゃんと「カッコいい」と思うと私は感じました。映画で曲の良さも凄く伝わるのでとても良かったです♪どの曲もちゃんとハマるんですよね!
というわけで、この映画を選択して何も公開していないどころか「観といてよかったー!!」という作品でした。映画館で観れる方はぜひ体感してほしいです!
おまけ
オースティン・バトラー、下手したらヴァネッサ・ハジェンズの元カレだけで終わっていたかもと思うと、この映画で主演できて良かった~(笑)お似合いだったけどなー。
おまけ2
バズ・ラーマン、本人もちゃんとカッコ良くてそういうところも好きですね!
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