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朝がはじまる。

夢から覚める瞬間に、誰かに〝忘れないで〟と言われた気がした。

境目が曖昧な朝。
ぼんやりする頭で最初に目に入るのは、
自分で測って買ったカーテンの隙間から漏れる朝の光。

ベランダ側のカーテンは遮光なのに、測り間違えてしまって1cmくらい足りてない。
でも日当たりの悪い部屋で唯一朝だとわかる瞬間が、横になったまま目が合う隙間からもれた光だ。
床についてない方が掃除もしやすいし、次また引っ越してカーテンを買い替えるなら1cm短くしようかなとすら思ってる。

***

朝日と夕日、どっちがすき?
真夜中と早朝ならどっちがすき?

ありふれた2択問題。
夕日と真夜中と答えてきた自分にも、最近朝の良さがなんとなく分かるような気がしてきた。
真新しい1日がはじまる感覚。
世界のことを好きでいられたら、起きるのが楽しみになるような気がした。

眠る前に、このまま深く深く夢の底まで潜って、明日目が覚めなければいいのに。
悲しみも雑音も届かないサンクチュアリーまで落ちていくような眠りの入り口に立って、今まではそんな風に思っていた。

ひとりきりで過ごす夜が好きだった。
綺麗なものだけを選び、幻想の香りを吸い込む。シェルターを閉じたまま、自分と世界だけの時間が当たり前になっていた。

だけど最近、誰かと夜の時間を過ごすようになって、その心地よさに微睡むのが好きになった。1人で過ごす時間とは180度違う、感じたことのない柔らかい夜の手触り。

たまにシェルターに籠ると、私はそこでどう過ごしていたのかを思い出せない感覚になる。
ひとりが好きだったのに、ひとりのときに何をしていたのか、分からなくなる瞬間がある。

ひとりが好きなのは本当だけど、
誰かといる心地よさを知った後でひとりにもどると少し怖くなる。
人と距離が近いのが苦手だと思っていたのは、
こういう側面もあるのかも知れない。

変な白黒思考。
いつか失くしてしまうなら最初から無い方がいい。
そうやって避けてきた結果が今だよな。
色々な側面、考え方が未熟すぎて恥ずかしくなることだらけなんだけど。

***

目まぐるしく変わっていく価値観。
ひとりきりでは生きていけないことを何となく分かっていながら、最近まで人とまともに関わることをしてこなかった。
それではいけないな。
幸い勉強になるような人たちが周りにいてくれてる。
嫌われないように生きるのではなくて、
自分からも相手からも好かれるような快活な生き方がしてみたいよなぁ。

熟してる部分の少ない人間性。
全部が同時にスタートラインに揃った気がする。まだまだ頑張ってもらわないと困ります、ねえ私。

おやすみなさい、またあした。
朝がはじまったら。

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