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Fascinate.

下唇の造形が圧倒的に美しい君の、
斜めから見る横顔に 気がつくと魅入ってしまう。


「魅入る」って言葉の意味、
〝魔性のものが人にとりつく〟って意味なんですって。

特に意味を持たないような、
無自覚そうな仕草のあれこれを思い出して
なるほどな、なんて独りごちている。


なにを美しいと感じるかは人それぞれ。
計算し尽くされたものに美を感じることもあれば、
無自覚な魔性に取り憑かれたりもする。

美しい瞬間をどうにかして剥製にできないものかな。

そんなことを不真面目に考える。



美術館や作品展に行くと目が合うことがたまにある。

絵画の向こう側から、私を見つめている瞳。
瞬間を閉じ込めたような、生きたまま止まった時間。


絵画のことはよく分からないけど、
急に血液が冷えて引いていくような焦燥感を覚える絵や写真と出会うと怖くなる。

手元に置いておきたい衝動と、
置いてはいけないという警鐘が体の中でぐちゃぐちゃになるような。

ほとんどの場合衝動を抑えるけれど、
何年経っても未だに思い出す瞳がある気がする。


これからいくらも時間が過ぎ去った先で、
君の下唇の造形が圧倒的に美しかったこと、
その斜めからみた横顔をいつまでも覚えていたりするのだろうか。


美しい瞬間を剥製にしたい。

生きている君の無自覚を、私の嗜好的感覚を。


#剥製 #美しさ #絵画 #美術館 #君 #感覚 #散文

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