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Vespera (Evening)

君の体を借りる時 ようやく光に包まれる
それは望んでた世界とは違うけど
この身を抱く光に僕は ようやく目を瞑ることができる

君の声 君の背中 栗毛色の長い髪
僕にはないすべてを体験する 灰色の礼拝堂

この安らぎも 今見ている世界も
ぜんぶ 君の瞳を通して得られる温もりだけど
それでいい
君とひとつになれるなら…

モノクロームの時計台で
時が凍りつく

あの日 あの朝 僕を撃ち抜いた君の
突然の沈黙に似てるけど 今はもう違う
少なくとも君は後悔に苛まれ ここにいる
そして予想とは違うこの恋の結末に
君は泣いてくれる

ふたりが出会ったことも 愛し合ったことも
そして不意の事故で僕が永い旅に行く この結末も
なにもかもが神のいたずらで
そして事故だったと思えたら
君は少しだけ楽になれるだろうか

何もなかったことに 出来るだろうか
そこから一歩
前に踏み出せるだろうか…


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雪が闇を鎮めて行く

真っ白に 無垢な静寂に
僕らを押しとどめるように
僕も 君も 望んでここに立ち止まり
佇む闇の中に
命を投げ出そうとしている

モノクロームの夕闇が迫り
時がふたたび凍り付く

思い出を閉じ込めて
ふたりが交わった時の欠片を閉じ込めて


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