バオバブ

Bar Africaとチブクの夕暮れ

旅をする私の精神と同じで、世界も益々カオス化して行く。力の出口を見付けられない人々が徐々に暴徒化し、その力を思考しながら狡猾に使い回そうと画策を練っている。だが本来「力」とはそんなことの為に使うものではなかった筈。そう… 何かを守る為にこそ、それは最も必要な武器だった。---- 序文 ----


数日前に酷く悪酔いしてから、昨日は酒量を控えて臓器に休息を与えた。だがそれも中一日を挟んで今日になれば又いつも通りの自分に戻り、急激に体がアルコールを欲しがっている。
私はこんなに酒飲みだったかな。

きっとこれは遺伝なんだと自分に言い聞かせ、宥めようとしているが、それは生前の父親と似てるな…と、ふと情けないような滑稽なようなそんな気持ちになった。

私は絵を描く為に世界を旅し、その土地土地で出会う色々な世界に驚愕し歓喜しながらかれこれ10年もの時間を着流して来た。
その間結局これぞと思える絵の一枚も仕上がることはなかったけれど、描きたい世界を一つだけ見つけられそうな予感が。


まだ夕暮れには程遠いが別にいいじゃないか。

目の前に「呑まないでどうする?」と尋問せんばかりに、汚いけれどいい匂いのするバーのドア。
この扉を開けないでどうする?…と、私は自分に都合のいいようにこの衝動を正当化する為の理由をでっち上げ、そして中へと入って行く。


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扉を開けるとまたしてもそこは異空間、だがダルブッカもベリーダンサーも出て来ないし挙げ句に、ここは無人バーか!と目を疑いたくなるほど数分間バーテンの姿すら見えない(笑)。
だが店のどこかからカチャカチャと器をぶつけ合うような音が聞こえて来るので、しばらく待ってみることにした。

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