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#272 映画に見る「後見制度」

昨日この映画を見ました。

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あらすじ

ホームレス同然の生活をしていた主人公を見かねたサンドラ・ブロックが、主人公を家に寝泊まりさせて家族同然の生活を送らせます。

フィジカルエリートの主人公は、アメリカンフットボールでその才能を遺憾なく発揮していきます。その活躍が各大学のスカウトの目に留まり、また課題としていた学力についても入学に必要な最低ラインをクリアし、アメリカンフットボールの選手としての奨学金を勝ち取り、やがてプロのNFLの選手になるまでの実話をもとにしたヒューマンドラマです。

急に気温が低くなった週末に、心があたたまる映画でした。


ガーディアン?

さて、映画のワンシーンでサンドラブロックから「ガーディアン」という単語が出てきました。

サンドラブロックが主人公の「後見人になる」というシーンの時です。

「私があなたの後見人になりたいの」

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後見人=Guardian

ゲームや漫画の世界ではよく目にする単語でしたが、ヒューマンドラマの中で聞いたのは初めてでしたので、余計に気になり、後見制度について少し調べてみました。


後見制度とは

意思決定支援法制。

つまり、認知症等により、意思決定能力が無い、または低い状態において、他社の支援を受け、意思決定をサポートする制度です。

不動産の世界では成年後見人はよく出てきます。宅建の試験にも出てきます。

例えば、認知症により意思決定能力が著しく低い方が不動産を所有している。親族としては相続が発生する前にその不動産を売却してほしいと思っている、売却を成就させるためには成年後見人を選定し、その意思決定をサポートし、不動産売買契約を締結する、なんていう流れがあったりします。


その他、銀行や証券の手続きや、財産の管理をするなど、「不利益を被らないようにする」という意味合いが強いと感じています。


作中の後見制度

アメリカの後見制度も日本と遜色なく、意思決定能力のサポートをし財産の管理をするなどの用途に用いられるケースが多いです。

作中に出てきた後見制度は、日常生活に基づいた決定のサポート、例えば両親以外の誰と住むか、どの学校に行くかといった、身近な決定をサポートする保護者としての制度として使われていました。

実際に、作中の主人公は、身寄りのないところをサンドラブロックに見つけてもらい、自室の用意から食事や生活に必要なすべてを保護者同然のアクションを主人公にもたらしていました。

法定後見人になるということは、自分の家族として受け入れること。

その正式な手続きを踏んだことが、この後見制度の利用でした。


アメリカと日本の後見制度の「負」

不動産絡みでよくありますが、後見人が被後見人(意思決定能力が低い人)の不動産を売却し、自分で使いこんじゃうとか。

成年後見人は財産の管理をすることができるので、被後見人の意思決定能力が低いことをいいことに、この制度をネガティブに使う話もよく聞きます。

最高裁判所の調査によると、2011年から2020年の10年間において、後見人による横領などの不正の被害額が約284億円あることが明らかになっています。

1年間の平均被害額は約28億円。

その被害のほとんどは親族後見人によるものです。

2011年から2014年までは増加傾向にありましたが、2015年以降は減少に転じています。

減少に転じた理由として、

①親族後見人を選任する時は、専門職の監督人をつけるか、あるいは後見制度支援信託・預貯金を利用させる

②親族ではなく、代わりに専門職等(司法書士、弁護士等)を後見人に選任する

といった取り組みが大きいようです。

またアメリカではこんなニュースが。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2021/06/post-544_1.php

歌手のブリトニー・スピアーズについて。

彼女が被後見人で、彼女の父が後見人になっており、この制度の弊害についてが記載されています。

サクサク読める記事でしたので、補足的にぜひ読んでみてください。



この映画は実話に基づいた話です、日本でもこんな映画がもっと出てくればいいのにな。

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