人生で初めて予定調和に気づいた話

中3の12月の話です。

僕が2週間後に推薦入試を控えていたある日の授業中、クラス担任が突然教室に入ってきた。

一瞬でブチ切れてることが分かった。
顔が般若になっていたから。

そして般若になった理由は予想がついた。
予想は的中し、僕含めたクラスの男子8人が
呼び出され説教部屋に連れて行かれた。

その前日、ある授業が自習になっていた。
中3の男子が大人しく勉強できるわけもなく、
1人のヤンチャな男子が紙飛行機を作って遊び始めた。

僕含めた他の男子もそれに便乗し
結構騒いでしまった。

そして、ある男子が紙飛行機を投げた時、
コントロールを誤り事故が起きた。
受験を控えてヒステリックになっている
女子の後頭部に紙飛行機をぶつけてしまったのだ。

当然その女子はこのことを担任にチクり、
担任は般若になったのだった。



説教部屋に着くと般若は
「A(連れてかれたうちの1人)はなんで呼ばれたか分かってるよな？」と言った。

自分が指名されずほっとした。
いつも思うけどこういう場面って何でクイズにするんだろ。当てたとしても怒られるクイズってなんなんだよ。

Aは咄嗟に「分かりません。」と答えてしまった。
もう般若は誰にも止められない。

絵では伝わりきらないが、Aは激しく胸ぐらを掴まれネクタイは破れた。

Aには申し訳ないけど他のメンバーは
めちゃくちゃ笑いそうになった。
般若が完全に怒りすぎだったから。

結局その日は反省しろということになり、
一日中説教部屋に閉じ込められた。

そして夕方、全ての授業が終わる時間に開放となった。
部屋を出ようとしたとき、般若は
「お前は残れ。」と僕だけ居残り説教を宣告した。

他のみんなが部屋を出たあと般若は言った。
「お前、2週間後に推薦入試だよな？　
このままだったら推薦入試を受けるのは、
やめてもらうことにするから。」


僕はそれを聞いてすぐに、
嘘つけーーー！！！！！！と思った。
罪に対して罰が重すぎだったから。
万引きで死刑にしようとすんなと思った。
それに、もう受験票は手元にあった。これを覆すには相当な労力がかかると想像できたので、僕に痛い目を見せたいだけだと気づいた。

そして般若は言った。
「これからお前に1週間やる。その態度次第で受験できるかどうか決める。」


これは、、、予定調和だ。と僕は思った。
どうせ1週間後に受けていいと言うと分かった。　

そもそも態度次第ってなんだよって感じだった。僕は普段はめちゃくちゃ真面目だったので。

あと、別に一般入試でも余裕で受かるから
最悪、推薦入試を受けられなくてもいいやと思った。
なので、いつも通り過ごすことにした。

そして1週間が経ち、担任からまた呼び出された。
「受けていい」と言われると確信した。
顔がもう般若じゃなかったから。


説教部屋に入ると、担任は言った。
「この1週間でお前は本当に変わった。他の先生も褒めてた。推薦入試頑張ってくれ。」


あまりに身に覚えの無いベタ褒めに
僕は目ん玉どころか首が飛び出た。

そして、お前昨日ごくせんか金八先生見ただろと思った。
喧嘩しまくりのヤンキーが更生し、他校の生徒に喧嘩売られたのに手を出さなかった時のセリフだったから。



その後、推薦入試を受けて普通に受かった。

合格した後みんな受験を理由に遊んでくれなくてめちゃくちゃ暇だったので担任には全く感謝しなかった。


人生で初めて予定調和に気づいた話　完