モデルと飲んだらおっさんに蹴られた話

「邪魔なんだよお前!消えろ!」

おっさんがキレている。
何かあったのだろうか。
いつも思うが、街中でブチ切れるおっさんの
メンタルは強すぎる。
絶対に誰も味方についてくれないのに
あんなに大きく出るのは尊敬に値する。


というか、ここどこだ?
てか、何してたんだっけ?


そうだった。
お酒を飲みすぎてそこからの記憶が無い。


見渡すと、そこは電車だった。




その日は、友達に誘われて飲みに行った。
待ち合わせ場所に行くと、友達が女友達を連れてきていた。

そしてなんとその女友達は、
僕もテレビで見たことがあるモデルだった。
※友達とその子は幼馴染だったらしい

僕はカッコつけ、平静を装った。
装いすぎて、お酒が弱いのにワインを
飲みまくり、結果泥酔したのだった。

そのため、せっかくモデルと飲んだのに
ほとんど記憶が無い。

気づけば電車で寝ていたようだった。


そんな僕の体勢はというと
電車のドアの横にある銀の手すりを掴み、
しゃがんでいた。

目が覚めてから全く吐きそうではなかったので、記憶がない割に気持ち悪くないし良かったと思った。

というか、それよりも腰が痛かった。
ガンガンする。どっかにぶつけたか?

泥酔してたから全然あり得る。




それにしてもおっさんはまだ怒っている。

そして腰も痛い。






ん?









俺、おっさんに蹴られてね、、、?






振り返ると、おっさんがどう見ても
僕に向かってキレていた。

やっとそこで点と点が線で結ばれた。

おっさんは、しゃがみ込む僕にキレ、
僕を蹴っていたのだった。



「すみません。」

一気に酔いが覚めた僕は、おっさんに謝り
誰も座っていない長い座席の端っこに腰掛けた。


今日は完全に調子に乗りすぎた。
気をつけよう。










いや、待てよ?

なんで俺おっさんに蹴られてたの?

いや、邪魔っちゃ邪魔だけど
出入り口を塞いで寝てたわけでもないのに
蹴ることなくない?普通に暴力じゃない?

てか、誰か他の乗客もおっさん止めろよ。
なんで10回も俺を蹴ってる
頭おかしいおっさんを野放しにしてんだよ。


と、、、僕は急にムカついてきた。


そして思った。
あのおっさんがしていたことは許されることではない。何かやり返しをしたい。

しかし、困ったことに僕はもともと喧嘩が強くないし、コンディションが最悪。

真正面から向かうと負けてしまう可能性がある。

そこで、あることを思いついた。


おっさんが電車を降りる瞬間を狙う。

そうすれば、反撃に合わなくて済む。


僕は、おっさんが電車を降りる瞬間に
おっさんにドロップキックをすることにした。

そして、自分の乗り換え駅を過ぎても
絶対におっさんより先に降りないことを決めた。




そしてその瞬間は訪れた。

ある駅に到着したとき、おっさんが立ち上がった。

今だ、、、!











しかし、身体は動かなかった。

ビビって何もできなかったのだ。



とても悔しかった。



ただ、何もしなくてよかったと思った。

おっさんはともかく、他の乗客には迷惑をかけていたのだから。




その後、僕はなんとも言えない気持ちのまま
帰路に着いた。

無心でカップラーメンをすすり、シャワーを浴びた。

その後、ベッドに入り、こう思った。




いかに必要であろうと、いかに正当化できようとも、戦争が犯罪だということを忘れてはいけない。と





モデルと飲んだら
おっさんに蹴られた話 完





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