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募金したらお釣りをもらった話

「あの、募金、、、」
そう声をかけられ後ろを振り向くと茶封筒を持った東南アジア系の少女がいた。

飲み会帰りに信号待ちをしていた時、急に声をかけられたのでびっくりした。
咄嗟に「何の募金ですか?」と聞いた。

「これ、ミャンマー、募金。」
少女は拙い日本語で答えながら小さい紙を見せてきた。

その紙には恵まれないミャンマーの子供に募金をしてください的なことが書いてあった。

僕は酔っていると判断力が著しく落ちるタイプなので、財布を取り出した。財布に小銭が無かったので、千円札を少女に渡した。

少女はびっくりした表情をした。
もしかすると僕の前までは空振り続きだったのかもしれない。

少女は茶封筒から申し訳なさそうに500円玉を取り出した。そして「これ、お釣り。」と言った。

募金にお釣りがあるのは新感覚だった。
しかしながら、千円渡してもいいと思っていたので何だか得した気分になった。僕は徳を積んだのに得をしたのだった。

そして少女は笑顔で「ありがとう。」と言って僕を見送った。とても幸せな気持ちで家に帰った。

次の日、友達にこの話をした。すると友達は物凄い勢いで言った。
「いや、それ募金詐欺だからwあれにお金払う人この世にいるんだw」

僕は耳を疑った。「詐欺、、、?」
徳を積んで得をしたはずが、騙されただけだったと気付いた。

まさか、、、と思いながら、
「東南アジア 募金詐欺」と調べる。
すると、完全に僕と同じシチュエーションの記事を見つけた。


フィリピンがミャンマーだっただけで
僕が見せられた小さい紙そのものが記事に載っていた。

思えば、募金を頼んでいるのに茶封筒なのもおかしいし、深夜0時ごろに募金を集めてるのもおかしいし、少女単独でいるのもおかしいし、おかしいところだらけだったけど、僕は酔っていたので徳を積んで得をしたと思っていた。

まじかよ、、、となったけど、楽に徳を積もうとしたので僕が完全に悪い。

ただ、今回の件はどんな使い道であろうと、少女の笑顔を見れただけで満足だったなと思った。たとえ、少女が僕のお金でご飯を食べようが構わないなと。
頭の片隅にあった善意でお釣りをくれ、笑顔で僕を見送った少女が忘れられないから。

僕の千円で少女の頭の片隅にあった善意が、頭の中全体に広がることを強く願う。



せっかくなのでここで、僕が頭の片隅に善意がありながら煩悩が勝ち、ついついやってしまう行為があるので白状する。


・友達の彼女の写真を見て、ブスじゃんと思いながら「この世で1番可愛いね」と言う。

・高感度が上がりそうなので、居酒屋を出るとき「美味しかったです。」と必ず言う。

・上司が誰にでもできる業務をした時に「流石ですね!僕には無理です!」と言う。

・小さい子供が「これ見て!」となにかを見せてきたら、「すげーー!」と言って転げ回る。

・女の子が彼氏がいないと言った時に「こんなに素敵な女の子がフリーだなんて世の中の男はどうかしてる!」と言い、怒ったフリをする。

・運動が得意な人に「大人になっても足が速い人が1番モテるからね」と大嘘をつく

・おばさんが「もう私若くないから。」と言った時に「ごめんなさい。女子高生だと思ってました。」と言う。


僕の頭の片隅にもある善意が、頭の中全体に広がることを強く願う。

記事のネタに使わせていただきます。 お金を使った記事書きたいです。