回旋を伴うスポーツはこれが一番大事。(上半身を分離して動かす。胸椎の回旋です!)

今回はゴルフスィングにおいて腰痛がでてくる要因の3つ目、
・上半身回旋が悪い(胸椎の可動性が悪い)
についてお話していきます。前回の記事でもお伝えしたように、腰痛予防、また、ゴルフのパフォーマンスを考えた時、“動きの順番”がとても重要となります。この“順番”を実現するためには上半身/下半身を分離し独立して動かす能力が必要になります。

まず、胸椎ってどこ?

前回の“骨盤”と違って、“胸椎”は少しイメージしづらい部位だと思います。従って、簡単に胸椎の場所を説明したいと思います。
すごくシンプルにですが、背骨は以下の3つの部位に分割されます。
首:頸椎(7個の背骨で形成)
胸:胸椎(12個の背骨で形成)
腰:腰椎(5個の背骨で形成)
12個の胸椎からは、それぞれ左右に1本ずつ肋骨がつながっています。(肋骨も左右12本ずつの合計24本です。)そのうちの10本は胸の正面の骨(胸骨)とつながっています。胸椎よりも、“胸郭”と呼ばれる背骨と肋骨と胸骨で構成される部位(胸部にある一区画)をイメージする方が、この記事のエクササイズ動作を考えた場合に一番わかりやすいかもしれません。

さて、各部位にそれぞれ動作の特性があります。(背骨の形状や筋肉の走行による。)これも、すごくシンプルにですが、
首:左右の回旋と、前後の曲げ伸ばしがしやすい
胸:左右の回旋がしやすい
腰:前後の曲げ伸ばしがしやすい

といった感じです。従って、ゴルフのような回旋動作を伴うスポーツの場合、「上半身を回す」といった表現は、ちょっと不適切であり、「胸郭を動かそう」といったアドバイスの方が適切だと思います。

胸椎を独立して動かせないと・・・・

胸椎回旋がうまくできないゴルファーは、以下のようなスイングの傾向(欠点)があります。

① スィング中に不必要な上半身の横移動が起こる。
⇒不安定な状態になり重心移動が難しくなる。(パワーロス)
② バックスィング中に上体を後側、もしくは左側(右打ちの場合)に必要以上に反らせてトップの位置を作ろうとする。             
⇒腰椎や腰背部の筋肉に不必要なストレスをかけてしまう。(腰痛症の要因)

“胸郭“部分の動作が不十分だと、安定性が欲しい時に下半身を不安定にしてしまったり、不必要な姿勢(大きく仰け反る)を作ってしまうために“腰背部”に必要のないストレスを掛けてしまったりします。
ここで、TPIのスィング哲学の言葉を繰り返して引用します。

「効率的なスィングする方法は、一つであると信じている。それは、人の身体がどう動くかで決まってくる」

効率的なスィングとは、すなわち、“傷害発生が少なく、ベターなパフォーマンスを出せるスィング”ですよね。やはり、トレーニングや修正エクササイズで、自分の身体をきちんと動かせる状態にすることが、傷害予防、またパフォーマンス向上に直結されることだと強く思います。
それでは、上半身(胸郭)だけを動かすエクササイズをご紹介します。

胸椎回旋の練習をするエクササイズ

・オープンブック
スタートポジション:
 両ひざを曲げ横向きに寝る。
 下になっている手で膝が動かないように抑える。
 上になっている手で下側にある肋骨の下部をつかむ。
エクササイズ動作:
 下半身が動かないように下になっている手で膝を抑えたまま、肋骨をつかんでいる手を活用しながら肋骨(胸郭)を上に向かって回旋させる。しっかり回るとこまで動かし、5~10秒間キープする。キープ後はゆっくり元の位置に戻す。
※注意点:上半身(胸郭)だけが動作するように。下半身が動くのはNG。

・T-バランス
スタートポジション:
 腕立て伏せのスタートポジションを作る。
 スタンスは少しだけ広めにセッティングして下半身を安定させる。
エクササイズ動作:
 下半身をできるだけ動かさないように保持したまま、片手でバランスをとり、上にあげた手が天井に向かうまで上半身(胸郭)を回旋させる。ゆっくり元と位置に繰り返し、反対側も同じように動作する。
※注意点:
 上半身だけが動作するように。下半身が動くのはNG。
 腕だけの動作にならないように。胸郭から上の部分が回旋する。

・水平チョップ
(※このエクササイズを実施する際は、ゴムチューブやケーブルマシン(ウェイトトレーニングマシン)などが必要です。)
スタートポジション:
  バランスボールなどに足をそろえて座る。
  ゴムチューブを柱などにくくりつけ、高さを調整し両手で持つ。
 (フィットネスジムにあるケーブルマシンなどを使用するのも可。)
エクササイズ動作:
  両腕をまっすぐ伸ばし、上半身(胸椎)を左右に回旋させる。
 ※動作に慣れたら、片足を浮かせ、より不安定な状況で動作する。
※注意点:
  下半身が一切動かないように。
  上半身が左右に揺れるような動きはNG。(回旋はその場で起こる。)

各エクササイズ、左右10~15回、エクササイズ間は60秒のインターバルをあけて実施してみてください。胸椎回旋がイメージしやすく、そして動きやすくなります。

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