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古いサービスも時代の流れで新サービスに? 『置き配』にビジネスのヒントを探る。

Amazonが置き配を標準にする地域を拡大するらしい。

最近、ちょくちょく『置き配』という言葉をよく耳にする。
まずは『置き配』がどんなものなのかを軽く説明しておこう。

『置き配』とは読んで字の如く、配送した荷物を指定の場所に置いておく…というサービスだ。

これによってユーザーは荷物の受取時間を気にする必要がなくなり、配達側は不在による再配達の手間を省ける。

仕事や生活スタイルの変化などなどユーザー側のニーズと、配送料の低価格競争やそれに反して再配達量の増加、配達人員不足など配送業者側の事情が合致したサービスだと言えるだろう。

ところで、私は20年以上前…はじめて勤めた会社が運送会社だった。
そのため『置き配』の話題を耳にしたとき

えぇ?!

と驚いた。

なぜって、20年以上前にすでに『置き配』をやっていたからだ。

もちろん今とはシステムが違う。
言うなれば『結果的に置き配』という感じだろうか。

配達をして不在だった場合、不在票を置いてくる。
その不在票を見たお客さまからお電話があり
「受け取りできないから、玄関の横のボックスの中に入れていて!」
とか
「家の横の自転車置き場の中に入れておいて!」
というような指示を受ける。
そんなお客さまのご指示と了承のもと、再配達時に『置き配』をしていた。

ところがこの『置き配』には問題もあった。

当時、若干評判の悪かった某運送会社ややんちゃな配達員が『結果的に置き配』ではなく『勝手に置き配』をすることがあったからだ。

私も顧客の立場で『勝手に置き配』をされたことがある。
ところが『勝手に置き配』されていた荷物は、ご近所さんに届けるはずのパソコンだったというオチ…
「これ、私がもらっちゃったらどうするのかねぇ…」
なんて言いながら、大きな箱を抱えてご近所さんのところへ持っていった。

『勝手に置き配』での誤配だ。
これは大問題である。

こうしたトラブルがちょくちょく発生していたため、『受領印(サイン)』が重要視されるようになった。
そうして『勝手に置き配』だけでなく『結果的に置き配』も減少したと記憶している。

過去にこんな経緯があった『置き配』が再びサービスとして登場したことに面白さをかんじてしまう。

時代背景や世情、ニーズなどによって、同じ商品(サービス)でも受け入れられたり、受け入れられなかったりする。

つまりかつて廃れた商品(サービス)であっても、時代とマッチすれば脚光を浴びる可能性もあるということだ。

すでにあるものを新しいビジネスの芽として育てるという視点はとても面白いと思う。


とはいえ、かつて何らかの問題で廃れたものには、同じ問題が発生する可能性がある。

『置き配』でいえば
かつて私が経験したような誤配
箱潰れなどの配送事故に関するトラブル
配送した・受け受け取っていないという食い違い(ごまかし)
『置き配』をする場所のセキュリティー
などが考えられる。

かつて、これらの問題を『手渡し』にすることで回避してきた。
再び『置き配』をするならば、同じ問題が浮上することは容易に想像できる。

これもかつてのサービスを新サービスとして生まれ変わらせるメリットかもしれない。

つまり、幾度もシミュレーションしたりテスト運用したりするまでもなく、起こりうる問題などがすでにわかっているということだ。
すでにわかっている問題をどう解決するのか? そのことを考えればいいのだから、サービス投入にスピード感は出るだろう。

と、真面目に語ってみたが…『置き配』が上記の問題をどう解決するのか私は知らない。
ちょっと注目して見てみようと思う。


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