日記から見える「異世界日本」
終戦の日や震災の日みたいな特別な日の日記も興味深いけれど、「何気ない日常を描いた日記」もなかなかに面白い。
「お父さんの時代には、スマホとかなかったんでしょ」
今どきの中学生の親は、わが子にそう言われているらしい。
自分は30代だが、親世代の子供時代にはVHSはなかったし、祖父母世代の子供時代にはテレビが存在しなかった。
今、当たり前だと思っていることが、実はちょっと時代をずらすだけで当たり前ではなかった。
同じ国、同じ言語なのに、文化が全然違う、そんな「異世界っぽい日本」が日記を読むと立ち上ってくる。
1970年代の男性の日記を読むと「鉄道ストで大学が休みになった」と書かれていたり、1950年代の女子中学生の日記を読むと「チョコレートを送ってくれた長崎のおじさんにお礼の手紙を出す」と書かれている。どの日記にもタバコがちょいちょい出てくるのも現在と全く異なる。
1980年代末の海外留学生の日記には「天皇が亡くなった」ことが現地メディアを通じてしか伝わってこない様子が描かれていたが、今であればネットニュースの通知やらTwitterやらで日本国内にいるのと大差ない情報が簡単に得られるだろう。
そんな時代の流れなんて意識せずに書かれた文章が、回り回って私たちの手に届いているのが感慨深い。
日記の買取数も溜まってきたので、もっと精読したいと考えている。
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