「ソフトウェア・ファースト」を読んで①
随分前に読んだものですが、プロダクト開発・企業のDX戦略を考える際に非常に示唆に富んだ本だと思います。
この本から学んだことは以下です。
ユーザー志向のプロダクトをスピード感を持って作ることは、外注では難しいケースが多い。そのため、ソフトウェア開発をどのように進めるべきかについて現場感を持った事業会社内部の人材育成が必要。人・組織にまつわる話なので一朝一夕にはできないが、プロダクト開発をなるべく内製化することが、事業会社として重要な戦略であり競合優位性になる。
「事業会社のモデルは5年ごとに変わる」という経営理論を聞いたことがあります。
それなりに大きい企業は数年ごとに「中長期計画」を作りなおしていると思います。
「目指すべき姿がどれくらい変化しているか、変化を起こすために何をしてきてどう変わったのか」が重要だなと思いました。
マイクロソフトといった米国のIT企業ほどの変化は、日本の大企業ではほぼ起きていないような気がしました。
私がすぐに思いつくのはユニクロや総合商社くらいです。
サービスアップデートのサイクルをいかに早くできるかが重要です。
生産性の向上にあたり、2%の改善(インプルーブメント)と20%の革新(イノベーション)のそれぞれのアプローチを取るという考え方があります。
生産性の概念は以下の本から学びました。
すべての産業がソフトウェア化している世界では、「2%の改善を続けていった結果、20%の革新が達成されている」ということかもしれません。あるいは、「2%の改善を続けていった結果、20%の革新を行うためのインサイトが得られる」ということもありえそうです。
アジャイル開発の手法から連想されるのは「2週間ごとにスプリントを行う」「開発バックログを適切に管理する」といったことです。
しかし、背景にある考えを十分に理解できていなかったように思いました。
「ユーザーからのフィードバックを元に、変化にすばやく対応する」ということが重要です。重要なのは早くリリースして、フィードバックを元に、改善活動を高速で行うことです。
大がかりなシステム開発プロジェクトで社内でやるやらない判断をして、要件を検討し…と数カ月かけて開発を行うよりも、最小の要件をクイックに世の中に出していき、改善を重ねていくスピード感が重要だなと改めて思いました。
スピーディーに開発したうえで、リリース後の運用もしっかりと行うのは意外と難しい印象があります。
0→1が好きなメンバーが開発をして、10→100が好きなメンバーが運用をやるという感じで、アサインメントで開発・運用のプロセスが分断されてしまうことが多いのではないでしょうか。
リリース後に、開発を主導したメンバーが数年単位でプロダクトを見続けるか、1→10の人材をアサインできるかかがポイントかと思います。
ソフトウェア開発だけでは解決できないビジネスを以下に変革するかという課題意識があるようです。
日本の主要産業はアナログなものが多く、単純にソフトウェアに置き換えるのは難しいものが多いように思います。
日本のデジタル化は世界から遅れは取っています。
2023年世界デジタル競争力ランキング 日本は総合32位、過去最低を更新
しかし、アナログとデジタル・ソフトウェアを組み合わせることは難易度が高い分、実現できたときの改善幅は大きいはずです。ソフトウェアをうまく活用できた産業・企業は、リープフロッグ的に世界のトップランナーになる可能性を秘めているのではないでしょうか。
目的と手段を混同しないようにするということかなと思います。
ソフトウェアを活用するのは有効な手段ですが、使い方を間違えないように、ビジョン・ミッションに立ち戻って考え続ける必要があります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?