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1000軒以上の家を片づけて分かった! 紙が片づいていない家庭は、 お金が貯まらない理由

『人生が変わる 紙片づけ』著者・石阪京子インタビュー

片づけの中でも最難関の「紙の片づけ」。「今すぐ必要な紙が肝心なときに見つからない!」「支払いや振り込みの期限が過ぎて大失敗した!」「大事な紙をなくして信頼を失った!」など紙や書類の整理ができないために起こる悲劇も数え上げればキリがない。しかし、どうすれば紙が片づくのかわからない。そんな永遠の悩みをズバリ解決する唯一の本が石阪京子さんの『人生が変わる紙片づけ!』だ。本書には、必要な紙が5秒で取り出せる紙片づけ術の豊富なメソッドと、紙一枚で大惨事を招いた人たちのエピソードがたくさん出てくる。他人事ではないと思う人もきっと多いはずだ。そこで、本の発売を記念して石阪さんにインタビューした内容を4回に分けてお届けする。第1回目は、お金と信用の問題に直結する紙片づけの重要性について聞いた。(取材・構成/樺山美夏)

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石阪京子(いしざか・きょうこ)
片づけアドバイザー。宅地建物取引士。JADPメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー
大阪で夫と不動産会社を起業、夢のマイホームを手に入れても片づかないことで理想の暮らしができないと諦めている多くの人に出会う。自分にできることはないかと女性目線での建築設計、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけを提案。独自のメソッドは、一度やれば絶対にリバウンドしないのが特徴で、これまで様々な片づけ方法を試したり、プロに頼んではリバウンドを繰り返してきた人たちの「最後の駆け込み寺」となっている。同メソッドで片づけに成功した人はほぼ1000人にのぼる。現在は、収納監修、片づけレッスンほか、北海道、東京、名古屋、大阪、広島、福岡など各地でのトークイベントやオンラインセミナーを開催。「書類の片づけ」に特化した回は、毎回大人気で、「もっと早く知りたかった」「誰も教えてくれなかった」と大反響を呼んでいる。著書に『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム これが最後の片づけ!』(ダイヤモンド社)、『一生リバウンドしない! 奇跡の3日片づけ』(講談社)などがある。

紙の片づけが苦手な人は、お金の管理も苦手

――数ある片づけ本の中でも、「紙の片づけ」に特化した本はめずらしいです。前著『これが最後の片づけ』でも少し書類整理には触れていますが、紙の片づけ方だけで1冊まとめようと思われたのはなぜでしょうか。

石阪京子さん(以下、石阪):私の片づけレッスンは、3日で家一軒生まれ変わるほど最後の最後まできれいに片づけていただいたら、その後リバウンドもしません。でも、きれいな家に暮らすだけでは人は幸せになれないって、つねづね思っていたんですね。

私のレッスンでは、モノを片づけながら旦那さまとの出会いや、子育てのこと、いろんなお話をするので、最後はお友達のようにみなさん、様々なお悩みを打ち明けてくださいます。そのなかでよくお聞きするのがお金に関するお悩みです。

「実は経済的に心配なのです」とおっしゃる方が多いんです。レッスン料を払って片づけしている人って、お金持ちのイメージがあると思いますけど、全然違うんですよ。

――それは意外ですね。

石阪:「美容室に行くお金があったら、石阪さんに来てもらって一緒に部屋をきれいにした方がメリットがあるわ」という方もいます。「なんで?」って思われるかもしれませんが、部屋が散らかっている人ほど、モノの把握も、書類の整理もできてなくて、お金の管理が甘いので、無駄使いや、損していることがすごく多いんですね。

たとえば、家の片づけをしていると、いろんなところからお金や商品券が出てくる。確定申告の期限が過ぎた所得控除の申請用紙が出てくる。保険には入っているけど、何にいくら入っているか書類がどこにあるかもわからない。そういう方ばかりです。家が散らかっていて紙だけが片づいている人なんて、見たことありません。

そこそこ片づいているきれいな家に行っても大抵、「紙の片づけだけはどうすればいいのかわからない」「私が死んでも家の書類のことは誰にもわかりません」と言われます。そして「書類の片づけ方もぜひ教えてほしい!」と言うので、7年前に「書類」に特化した片づけ講座もはじめました。基本的には、家中のモノを片づけた後で紙の片づけをしてもらってるんですが、日々入ってくる紙の整理は毎日のこと。そこで、誰でも今すぐ紙片づけできるように、講座で確立したメソッドを1冊にまとめました。

保険は証券だけあればいい。実は、約款も不要

――私も「こういう本がほしかった!」と嬉しく思いました。でも石阪さんも以前は、財布が領収書でパンパンになるほど紙の整理が苦手だったとか?

石阪:はい、片づけられない女でした(笑)。友だちが家に来るときは、散らかったモノを別の部屋に押し込んでいましたし、必要な書類も引き出しや棚をゴソゴソ探していました。でも『これが最後の片づけ!』にも書きましたけど、夫と不動産会社を起業して宅地建物取引士の資格を取り、お客様の家の片づけ修業に夢中になりはじめた頃、朝寝坊して急いで送り出した息子が交通事故に遭ってしまったんです。

そのとき「こんなに毎日忙しくて、油断をすれば家も散らかる暮らしなのに何が片づけの先生なんだ!」と自分を責めて泣き崩れてしまって。入院した息子は幸い元気になりましたが、あれから生活が変わりました。

事故の加害者と揉めて裁判になったときも、保険の申請をするときも、証券だけで手続きできたので一度も見なかった約款は捨てました。そして、自分の家を徹底的に片づけをし紙切れ1枚まで片づけ切りました。どんなに忙しくても安定して家事を回せる暮らしをしようと決めたんです。

――『紙片づけ』の中で、保険の約款は必要ないと書かれているのは、息子さんの事故のときの手続きでわかったことなんですね。

石阪:実は息子の事故の後、私と交互に病院に泊まり込んで息子の付き添いしていた夫がヘルニアになり、その後、長女も盲腸で入院したんです。だからすごく大変でしたけど、保険証券だけあれば、約款がなくてもすぐ保険金の申請手続きはできましたね。

紙の片づけが苦手で、いざというときに必要な証券や控除の紙が見つからない人っていっぱいいます。当時は、私のように専業主婦だった人が働きはじめて忙しい家庭が増えていたので、「忙しくて家が散らかって家事が回らなくなったら、お金まわりの事故も増えるだろう」という危機感もありました。ですから、書類の片づけ講座では、家にあるモノや書類の場所を決めて、家族全員が共有できるシンプルなメソッドを教えています。

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紙が片づいてない家。ファイルボックスに入れたり、重ねておいたりしているが、ルールがないのでどこに入れたか分からなくなる。(写真:著者提供)

――本の中に、夫を亡くした女性が保険金2000万円を受け取り忘れていた話が出てきます。石阪さんの片づけのおかげで証券が見つかったわけですが、見つからなかったら大変な損失でしたね。

石阪:そういう人いっぱいいますよ。保険って2000万円ぐらい掛け捨てで払っている人もいます。それなのに何の保険に入っているか把握してなくて、ケガや病気で通院しても1回もお金をもらったことがない人もいます。火災保険に入っているのに、台風で壊れた塀を自費で修理した人もいらっしゃる。

逆に台風の被害を受けて、しっかり火災保険を申請した方は「バッチリ綺麗に修理してもらってリフォーム代がういたわ」とおっしゃる方も。

あと、同じような保険に入っている人も多いですね。今はできませんけど昔は火災保険に2つ入ることができたので、支払いは1社からしか受けられないのに2つ保険料を払い続けていた人もいます。

とにかく、紙片づけができない人は、保険なども把握できておらず何かにつけ損してるんです。

お金持ちとお金がない人の決定的な違い

――傷害保険とか医療保険は、案内が来ると「念のため入っておいたほうがいいかも?」と思ってしまう人はいるでしょうね。

石阪:「大切なご案内」「重要」と書かれた郵便物を見ると、よく読まないで大事なものだと思い込んでしまう人が多いんです。紙片づけが苦手な人は、「なんだか難しそう……」と資産形成や資産管理の仕方に自分で向き合おうとせずに、人に勧められた金融商品によく考えず申し込んでしまう人も目立ちます。

家電や調理器具に付いている保証書も、1年間はもちろん、3年間、5年間、なかには10年間保証のものもありますけど、壊れたときに保証期間内だっていうことを忘れている人が多いんです。取扱説明書を全部保管している人がいますが、インターネットで同じ説明が公開されているので捨てても大丈夫。大事なのは保証書だけです。

そのように細かいことで損している人は、お金が貯まりません。逆にお金持ちの人は、お金回りの書類をすべて把握していてきっちり管理しています。不動産の仕事でいろんなお客様と接していますが、「この書類はありますか?」と言ったときにぱっと取り出すのはお金をしっかり稼いでいる人が多いですね。いつまで経っても提出書類を出さない人はやはり家が散らかっていて、書類がみつからない、時間がない、金銭的に困っておられる方などが多いように思います。

――紙片づけの問題はほぼお金の問題に直結するんですね。

石阪:紙一枚で人生を踏み外す人もいますから。クレジットカード会社から届いた催促状を放置した方は大変ですよ。一度ブラックリストに載ってしまうと、カード払いのスマホも使えなくなったり、ローンも組めなくなることも。だから私も子どもたちには「あらゆるお金の請求が来たら、すぐ支払いなさい」と言っています。催促状が来る時点で危ないので、そもそも支払いが滞らないように注意しています。

――たったの紙一枚で、人生の階段を踏み外すこともある。本にもいくつか出てくるお客様たちの失敗談にはゾッとしました。

石阪:他にもたくさんあります。たとえば都心に住んでいる方で、子どもが赤ちゃんの頃から英才教育や小学受験のために800万円ほど使ったというお客様。習いごとも英語、ダンス、レゴ、プログラミング、幼児教室とたくさんやらせていたんですが、小学校受験でなんと志望校の願書を出し忘れたそうなんです。「お母さんのせいで失敗した」って子どもに一生言われ続けるわけですから、ご本人が一番傷ついていて。反省のあまり私の書類片づけ講座に申し込んでくださったんです。

――そういえば、高校教諭が願書を出し忘れて、生徒が大学受験できなくなったケースもありました。紙の事故って怖すぎますね。怖いからこそしっかり管理しないと。

石阪:そういうニュースもありましたよね。だから私、紙片づけをして紙の事故をなくしてほしいんです。その願書を出し忘れたお母さんも、紙の管理ができないほどにいろんなことを詰め込み過ぎていたんです。子どものために、よかれと思って何でもかんでもやらせすぎて、一番大事なことが抜け落ちてしまった。紙の片づけをして必要なものだけ選び抜く力があれば、そんなことにはならなかったはずです。子育てに限らず、どんなことでも、何を優先するかを見極める必要があります。

掃除が苦手な人は、洗剤を何種類も買ってスペースを狭くし逆に掃除が行き届かない部屋にしていたり、料理が苦手な人は、便利グッズをたくさん取り入れて、調理スペースにモノがあふれて、料理がままならなかったりします。紙が片づかない人たちも、基本は同じです。

「紙」の要・不要を迷わず判断できるようになるには

【著者からのメッセージ】

 はじめまして。片づけアドバイザーの石阪京子と申します。

 私は、夫が開業した不動産業の仕事を手伝いながら、2006年からお客様の片づけのお手伝いをするようになりました。家一軒を3日で片づける「二度とリバウンドしない」メソッドが口コミで広がり、これまで1000人以上の方が片づけに成功されました。そのノウハウは『これが最後の片づけ!』(ダイヤモンド社)などの書籍でご紹介してきましたが、多くの片づけに悩む方と向き合う中で気づいた事実があります。

 それは、布団一枚を捨てるよりも、実は、紙一枚を捨てるほうが難しいということ。

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 溜め込んだ紙や書類が、ダイニングテーブルの上や本棚、押入れの奥など、あらゆるところに山積みになっているお宅を何百軒も見てきました。中には、箸やスプーンと同じ引き出しから、大事な保険証券が出てきたお宅もありました。

 紙一枚は薄いです。

 でも、その価値は洋服一枚とは比べ物にならないこともあります。

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「財産」や「信用」に関わるものが紛れているからです。それほど大事な「家の中の紙や書類」ですが、その片づけ方をきちんと教えてくれる本は、まだ一冊もありません。

 本書を読めば、残すべき本当に必要な紙は何なのか、それをどう整理すればよいかが分かります。必要な時に5秒で必要な紙が取り出せるようになり、時間を無駄にせずお金が貯まるようになります。

 つまり人生が大きく変わります。ぜひ、本書が皆さまのお役に立てますと幸いです。

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本書の主な内容

<目次>
1章 家にいるのにくつろげない、
モヤモヤ・イライラの原因は紙だった!

・いつも忙しい、イライラしているのは紙のせい!
・布団一枚より、紙一枚を捨てるほうが難しい
・「もう、何で!」肝心な時に出てこない
・信用やお金を失い、人生の大惨事につながることも

2章 これで散らからない! 日々入ってくる紙の撃退法
・まずは、「毎日、入ってくる紙」の片づけ方を知る!
・どう収納するかより、何を残すか
・残すのはズバリ「金目の紙」と「使う目的がある紙」だけ
・入ってきた紙は4つに分ける
「1すぐに捨てる」「2確認して捨てる」「3データ化して捨てる」「4ファイリングする」
・ファイルボックスを6つ用意して紙をジャンル分けする
・締切がある提出物や振込用紙はまず、スマホカレンダーに記入
・子どものお手紙&作品は、枠を決めて厳選
・紙が来る「年間スケジュール」がわかっていれば慌てない

3章 大切なのは紙の「情報」データ化で9割の紙は捨てられる
・罪悪感は持たなくていい! 国もペーパーレス化を推奨
・「ITやデータ化などが苦手」ではすまない時代に
・スマホを使いこなせば暮らしがラク&お得になる
・データ化はとっても簡単! スマホで撮って保存するだけ
・人気のクラウド「グーグルキープ」「エバーノート」を徹底比較
・パスワードを安全にクラウド保存する方法
・データ化だけが正解ではない あえて紙で残したほうがいいもの
・必見! ペーパーレス おすすめアプリ&サイト

4章 大事な紙を5秒で取り出せる「ホームファイリング」
・ホームファイリングはリビングで一元管理
・紙は寝かせたら迷宮入り! 立てて収納する
・「5秒で取り出せる」ためのマストアイテム

5章 家中スッキリ! 溜め込んだ紙の中にはお宝が隠れている!
・財産も思い出も! 紙はお宝の宝庫
・【お金系】失くなると大損の住宅関係重要書類は枕棚に保管
・【教育系】古い情報は役に立たない! 資格試験のテキストも処分
・【思い出系】子どもの作品はデータ化して劣化を防ぐ
・【思い出系】人生の宝物! 自分が素敵な写真は大切に保管
・住宅設備の書類一式も! 実は捨ててOKの紙たち

6章 紙を片づけるとお金が貯まる! 人生が変わる!
・紙片づけは、お金の管理に直結している
・片づけで「枠」を意識すると、お金の「枠=予算」もわかる
・目的不明の「とりあえず貯金」が消えて、お金の使い方がうまくなる
・紙を片づけると1日が27時間になる
・主役は自分! 人生を自分軸でコントロールできるようになる

特別付録
これで一生散らからない!
家一軒がまるごとすっきり!
『3日片づけ』プログラム コンパクト版

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【取り上げられた本】
『人生が変わる 紙片づけ!』
 石阪京子 著

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<内容紹介>
世の中にある多くの片づけ本は、家にある「モノ」をどう片づけるかについて書いたものばかりです。ところが、人生により大きな影響を与えるのは、「紙」の片づけだと著者は言います。「紙」とは、こちらの意志には関係なく、毎日、怒涛のように入ってくる、書類や手紙、お知らせ、パンフレットなどすべてをさします。

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