「評価されやすい人」と「されにくい人」の決定的な違い
『佐久間宣行のずるい仕事術』著者・佐久間宣行インタビュー
どこに行っても「評価される人」の共通点とは?
──佐久間さんは30代に入ったくらいのときから、会社から離れても生きていけるように自分をブランド化する戦略を立て始め、現在はフリーランスとしても活躍されているとのことですが、「どこに行っても重宝される人」「求められ続ける人」の共通点は、一体何だと思いますか。
佐久間宣行(以下、佐久間):「投資される人間である」ことだと思います。サラリーマンなら会社に、フリーランスならクライアントに、どこに行っても「この人に投資したい」と思われる人であることじゃないでしょうか。
たとえば、精一杯がんばっているつもりなのになかなか評価が上がらないとか、やりたい仕事を任せてもらえないとか、いつも別の同期ばかりがいいポジションにアサインされる……みたいな状況があるとしますよね。その場合、「こいつに投資したらもっと大きくなって返ってくるだろうな」という期待感を持たせられていない可能性が高いんですよ。
──なるほど。組織の中でも、自分という人材がどうしたら売れるか、考え続けなければならない、ということでしょうか。
佐久間:そうですね。それと同時に、自分の強みと組織の評価軸が一致しているかどうかも、客観的に判断した方がいいかもしれませんね。組織の中でそれほど重要じゃない仕事の知識やスキルをいくら磨いても、別に評価されないじゃないですか。だから、ライバルが少ないジャンルを探すとか、自分の得意なことを横展開して新たな強みにするとか、そういった工夫が必要になると思います。
同じ仕事でも「評価されやすい人」と
「されにくい人」がいるのはなぜか?
──「仕事ぶりは同じなのに、あの人ばかり評価されて、自分は評価してもらえない。理不尽だ」といった悩みもよく聞きます。同じ仕事でも評価されやすい人とされにくい人の違いとは、何なのでしょうか。
佐久間:先程の話とも繋がりますが、「期待感を持たせる言説がうまいかどうか」に尽きると思います。評価される人は「自分に投資してくれる人間が何を望んでいるのか」を見抜く能力が高いんですよね。
やっぱり上司も組織で働いていて、さまざまな案件を抱えているから、100%自分のことだけを見てくれるわけじゃないでしょう? 上司の上にもまたさらに上の人間がいるわけで、上司だって評価されたいじゃないですか。評価される人はきっと、同じ仕事でも「上の人間が評価されたいポイント」をしっかり押さえた仕事や言説ができるんだと思うんです。自分に仕事を任せてもらえたら、あなたが評価されるような成果を出せますよ、と提案することができる。
──たしかにそうですね……。言葉にしていない自分の欲求まで汲み取ってくれたら、「この人に投資してみようかな」という気になりますよね。では、相手のニーズを読み取るには、どうしたら良いでしょうか。
佐久間:意識して訓練すれば、できるようになると思いますよ。相手の「辿り着きたいゴール」がどこなのか、常に想像しながら仕事することですね。
たとえば僕、人の説教をめちゃくちゃ早く終わらせることができるんです。「ああ、この人はこういう言葉で怒りたいんだろうな」というのがわかるから、それを先回りして言って自分から謝ると、「お前、わかってんじゃねえか」と向こうの怒りが早めにおさまるという(笑)。
だから、何よりも、毎回しっかりと相手が辿り着きたいゴールを想像し、そのために自分ができることを提案するように心掛けると、一歩先の仕事ができるようになると思います。
オードリー若林に立てた「ある仮説」
──番組を作る上で、出演者さんと交渉をするときも、相手が辿り着きたいゴールを予想するのでしょうか。
佐久間:出演者さんの場合も基本的には同じで、「この番組への出演が、相手のキャリアにプラスになる理由」はしっかりと説明するようにしています。
たとえば、事前アンケートがなく、ゲストが本音で語るフリースタイルのトークバラエティ「あちこちオードリー」が生まれたきっかけは、「今の若林さんは、決まりきった台本通りの仕事をするのに飽き飽きしているんじゃないか?」と仮説を立てたことでした。
その当時は、若林さんが人に対してすごく興味を持ち始めた時期だったんです。最初は人見知りで、世間に対してある程度閉じた考えを持っていた彼が、芸能界で荒波に揉まれる中で、少しずつ変わってきていた。
そういう姿を外から見ていたとき、以前より周りに興味を持つようになったのと同時に、毎回同じ仕事をしていくことに対する退屈さも感じているんじゃないか、という予感がして。だからこそ、今のオードリーがトーク番組を持てば、あまり見たことのない、おもしろいものができるんじゃないかと思ったんです。
毎回セッションのように、ゲストによって出てくるものは変わる。どうなるかわからないし、振り幅は大きいかもしれないけれど、それでも奇跡みたいな番組ができるんじゃないか、と。そんな仮説を立てて、「アンケートや台本がないトーク番組をやってみませんか?」と提案したのがはじまりでした。
──毎回仮説を立てて仕事に臨むことの重要性は、佐久間さんの本の中でも度々語られていましたよね。
佐久間:結局、仮説検証の積み重ねだと思うんです。僕自身も、上司としていろいろな仕事にチャレンジさせたくなったり、「こいつはどこかでブレイクしそうだな」とつい期待する人は、やっぱり毎回の仕事に仮説を持って、その人なりの知見を貯めている人ですね。
だから、自分が取り組んでいる仕事やプロジェクトが会社のどのポイントで貢献できるのか、自分自身が理解できているか? 上司が望むゴールをきちんと理解できているか? と、常に自問自答できるようにすると、評価される人になりやすいと思います。
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→自分オリジナルの色を加えれば、小さな仕事でも、だれかが必ず見ていてくれる。
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●ミスをしたときに絶対にやってはいけないこととは?
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(著者よりあなたへ)
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【取り上げられた本】
『佐久間宣行のずるい仕事術』
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<内容紹介>
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