祈りの糸『青海波』~SEIGAIHA
2022年の幕開けは、”これ”から始まった。
”この時”に合わせたかのように 完成した。
---祈りの糸と題して---
吉祥文様 『青海波』~SEIGAIHA~
広い海がもたらす壮大な恩恵
その無限に広がる穏やかな波
そこに
未来永劫へと続く
幸せと平穏な暮らしへの願いが込められた
縁起の良い文様
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2020年も2/3ほど過ぎた頃、ある方にお勧めいただいて【背守り刺繍】というものに出逢ったんだ。
ここでは簡単にだけこのことについて触れておきたいと思います😌✨
調べていくと、「背守り」とは、母親が生まれたばかりの子どもの命を守るために、産着の襟ぐり少し下あたりや背中に縫い込んだ、魔除けの意味を持つしるしだった、ということが分かりました。
その昔、医療がまだそんなに発達していなかった頃、幼い子どもは疫病や事故などで命を落とすことが多く、またその魂が首元、背中から抜けやすい、魔物に背後から魂を抜かれやすいと信じられていました。
そんな時代背景の中、親が大切な我が子の無事を願って江戸時代ごろから始まった習慣だと言われています。
大人の着物には背中に”縫い目”がありますが、赤ちゃんの産着には”縫い目”がありませんでした。当時の人々はこの”目”というものを尊び、魔除けになると考えていました。そこで、背中に”目”をつけて、背後から忍び寄る魔物を祓おうと考えたのだそう。
そこには、麻の葉文様、菱文様、独楽文様などが載せられており、私、食い入るように見ていました(笑)。(模様とか文様とか、好き!(◍˃ ᵕ ˂◍)💕)
私は「これ、やりたい‼️」と思って、背守り刺繍の資料を集めたり、布や糸を買って試作を作ってみたり、刺繍の練習をしたりしていくうちに、そのことを通して見えてきたものがあったんだ。2020年も暮に近づいた頃だった。
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一点の曇りもない
ただただ純粋に
自分以外の誰かを想う気持ち
それは
今、ここにある
”いのち”そのものに対する祈り
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背守り刺繍の中に、私は”それ”を見たんだ。
そして、時を同じくするようにして知った「千人針」。
1年ほど前の、あの時の私は、”いのち”について自分自身にずっと問いかけてた。
そしてたどり着いたのがここだった。
祈り、と言っても、何か目的や意図があるものでもなく、願い、というのとも少しちがう。私が見つめたのは、
ただそこに 静かに在る
”生きている”ということに対する 感謝と喜び
そして、すべての”いのち”あるものへの
祝福と敬意
【背守り刺繍】との出逢いは、そんなことを私に教えてくれた。
針と糸を使う作業は、私自身も祈りだとは以前から感じていて。このソウタシエもそのひとつ。
”いのち”について、”生きること”について、
感じて見つめた先に見えてきたそれらの想いを、
私は丁寧に丁寧に
これからも紡いでいきたいと思うよ。
この作品は背守り刺繍ではないけれど、
古の人々が海の壮大さを見て感じたその想いを
そして大切に永遠とここまで繋げて来てくれた
その想いを
大切に受け継いでいきたいと思うよ。