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うおのぶ食堂がコロナ禍にもかかわらず躍進している理由〜岡崎市の和食店「魚信」さんの経営奮闘物語16〜(7月24日)

西田さん、岡崎で警官150人自宅待機ですって?コロナ第2波とか言ってますけど、4連休の初日はいかがでしたか?

本当に知事さん、頼みますよ。2波って言っちゃったからか、せっかくの4連休の初日もその影響で60歳以上が怖がって、お客さんが「天岩戸」状態(泣)。これまでの主顧客層の皆さん方が気持ち的に来店しにくくなっているため、そこをズラさないといけないなあと思ってます。仕出しとデリバリーにしてやっていくしかないかなぁ。どっか乗っかれる市場ってないんですか?

それがあるんですよ。こっそり見つけた市場が。

おお、それってどこですか?


一般的な外食チェーン店がこのコロナ禍中厳しい数ヶ月を過ごしております。

3月5割、4月9割ダウン、5月8割ダウン、6月は

4割減くらいと厳しい中ですが、、、なんと

揚げもん市場が好調です。

例えば、唐揚げ市場。

鶏笑さん、から好し(すかいらーくグループ)さんなどが4月以降、売り上げが前年比50~60%増と大きく伸びている、とのことです。持ち帰りの比率も従来の4割から6割に増加しているそうです。

また、流通でも、3月からランクインし、4月1位、5月2位となっているのが、2位は4月に1位だったニチレイ「極上ヒレかつ」180g。3月1日に発売した商品で、3月18日から女優の深田恭子さんを起用した新CM「あげません」篇を全国で放映していた。


揚げ物市場は、このコロナ禍のご時世でも安定して成長している分野の1つです。個別企業でも、

1、KFC(ケンタッキーフライドチキン)さん



既存店 4月133.1%、5月137.6%、6月99%と、コロナ禍が最悪期であっても売上を伸ばしたのはマクドナルドと共にKFCだけでしたね。それだけではありません。

2、豚カツチェーンのかつやさん


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既存店 3月94.6%、4月89.6%、5月97.7%、6月96.4% と大崩れすることなく、こちらも固定のリピート客をしっかりキープしています。

そして、次に紹介するのは、エビフライのうおのぶ食堂さん。

3、エビフライと定食 うおのぶ食堂

〒444-0068 愛知県岡崎市井田南町10−14
0564-26-4119
https://goo.gl/maps/f5vMVRTGyPJvuSNq6

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この3ヶ月間、4月96%、5月101%、6月104%、7月もここまで120%ペース!と常連さんの支持を増やしつつあるようです。

つまり、コロナ禍では、市場は唐揚げ、豚カツ、エビフライ、と、揚げもんへの支持がアゲアゲになった、と言えます。

なぜ多くの飲食店が苦戦する中、揚げ物を扱う店舗だけが成長しているのでしょうか?

ワタミの戦略的転換

ワタミの渡辺美樹会長は、「から揚げの天才」のデリバリー強化の理由を記者会見でこう語っていました。

「アフターコロナ時代は、『ついでに』『看板を見てなんとなく』居酒屋に行くライフスタイルではなく、目的買いの時代になった。自粛生活でデリバリーの便利さに気づき、家で家族や親しい人と過ごす生活に変わってきている。ワタミでは、今後変化する時代に対応し、ファミリー向け、テイクアウト・デリバリー業態を強化する」。
7割になったマーケットでいかにお客様を集めていける業態を作っていくか構想中です。これから広げていくため、ファミリー向け外食、テイクアウト、デリバリー業態を強化します」。「上村牧場で、居酒屋業態の3割減ると見込まれる売上をカバーします。その上で、揚げたてから揚げとテリー伊藤こだわりの玉子焼きの店「から揚げの天才」などテイクアウト業態、デリバリー業態を強化し、さらなる売上増につなげます」。

 コロナによって、国民の生活が変化した機会をとらえ、大胆にも居酒屋店を3割減らし、その分を焼肉のファミリー層のダイニング、唐揚げなどのテイクアウト・デリバリー業と、思い切った業態変換に挑戦するワタミ。消費税10%の外食から消費税8%の中食、と言う節約モードとコロナにより外食が楽しめないと言うトレンド、そして、将来のインバウンド再開時にも影響が少ない食材として、渡辺会長は、テイクアウトの市場において唐揚げを重要アイテムとして捉えている。

また、消費者側から見れば、揚げ物料理は、準備から片付けまで何かと手間暇かかるため、避けられがち。だけど、育ち盛りの子供たちには美味しい揚げ物料理を食べさせたい、そんなファミリー層の需要がこのコロナ禍において顕在化した、とワタミ渡辺会長も感じているようです。

魚信の業態転換は?

 魚信さんも2019年3月末まで8〜9年間続けていた鮮魚居酒屋業態を転換。2019年4月からエビフライを中心とした定食業態へと変化しています。1年間背伸びせず、じっくり試行錯誤して力を貯めてきたことが、このコロナ禍によって花開いたように思います。

3月の急な休校でランチに困った子供達への支援弁当を始め、地域社会と共に、という活動を本気でやっている、と知られ始めると、このコロナ禍においても、客数が減ることなくじわりじわりと増加。

さらに4月12日からユニークなプロモーションが展開しています。

1、フェイスブックライブ動画

毎晩21〜23時ごろに30分ほど欠かさず配信されているのがフェイスブック動画ライブ。

毎回、10〜20名前後のファンが彼との対話を楽しみながら、応援しているわけです。最後は締めのじゃんけん大会。

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勝っても負けても何かオファーがあるわけではありませんが、純粋に皆さん楽しんでいます。最近では、M社員の営業トークの練習の場にもなっていて、それを視聴者の方々が「まだまだじゃ」などとコメントを入れています。

さらにユニークなのが、このライブ動画を欠かさず両親でもある西田社長と敬子女将が見ていて、良いとか悪いとか何してんだ、とか直コメントを入れている、と言う(どんな家族なんや!(褒め言葉です))こと。

親子でフェイスブックライブ(女将さんもやっています)をする家族って日本中探しても珍しいと思うんですが、

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日々の営業報告も兼ねて、良かったこと、嬉しかったことを1日の終わりに語っていて、これが実はアーカイブでも残してあるため、ファンの方や来店されるお客様がご覧になっておられるのです。

このライブ動画を通じて、ある種のコミュニティが徐々に醸成されつつあるようです。「ライブを観た方⇄来店客】」、となり、良い感じで、オフラインのお店とオンラインのSNSとお客様との接点が増えて「交流の場」となっています。


2、メール

元々西田(社長)さんは、ダイレクト・レスポンス・マーケティングを活用して集客型の店舗づくりをしてきましたから、メール、そして、ニュースレターを通じて、既存客様に様々なお知らせをされてきています。現在、メール登録すると、嬉しいオファーが届く、と言うシンプルな方法のメール・マーケティングを実践されています。

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押し付けがましくないものです。

こうしたメール、フェイスブックというデジタルツールを使ってのコミュニケーションが新規顧客獲得につながっていると思われます。

特に、うおのぶ食堂さんでは、魚信本店さんのメイン顧客層である(引きこもっている)60代以上の高齢女性層とは異なり、主要客層が20〜30代のファミリー層とのこと。日々会社に仕事にと出かけている層のため、外食に躊躇がない、スマホ世代です。

ドラッカー博士の提言

ドラッカー博士は、

「顧客の関心を金で釣ろうとせず、製品がもつ機能の市場を考え、ノンカスタマーを含むあらゆる顧客をマーケティングの対象とし、人口構造の変化を利用してください」

と語っています。つまり、 #人口構造の変化をマーケティングの機会にせよ  です。(「未来企業」より)

同書の中で、没落しつつあるデパート(百貨店)についてドラッカー博士は次のように語っています。

百貨店を没落させたのは、あらゆるマーケティングに伴いがちな共通の罪、すなわち、顧客であるはずでありながら顧客になっていない人々を無視すると言う罪を犯したからである。(中略)1980年代、百貨店には古くからの顧客がいた。しかし、百貨店の新しい消費者層に占めるシェア、特にその最大のグループたる教育水準の高い豊かな共働き世帯におけるシェアは、確実に低下していた。百貨店は、この共働きの世代が、夫婦一緒に買い物をすること、夕方に買い物をすること、そして、従来の顧客に比べ、それぞれがそれぞれの価値観に従って買い物をすることに気がつかなかった。いかなる産業や企業においても、顧客は自然消滅していく。そこで新規顧客のシェアを取れなければ顧客の絶対週も減っていく。マーケティングは「自社の」顧客ではなく、市場におけるあらゆる顧客について行わなければならない。いかに強力な企業でも、30%以上の市場シェアを持つことはほとんどない。と言うことは、顧客の7割は他から買っていると言うことである。百貨店に限らず、あまりに多くの企業や産業が、この7割の顧客に対して関心を示さないでいる。

なんと西田さんは、このコロナに襲われる1年前から、このドラッカー博士の提言通りに、自社顧客だけに目を向けていたのではなく、自社がまだ届いていないお客さんへの取り込みに目を向けた施策として、うおのぶ食堂への施策を実行していたのでした。

魚信本店では、どちらかいうと、妙齢の女性客と宴会客が中心のため、お客様になっていない新しい共働きのファミリー世代の人々とは接点が遠かったのです。

その層をうおのぶ食堂によって、しっかりとアプローチして、従来顧客ではない市場への取り込みを計っていたのでした。すごい!天才!イケメン!笑

そんなこと計算してないですよ

という訳で(笑)、今日も挑戦は続きます。

追伸1:

マーケティングにもイノベーションにも、そして、サラリーマン逆境からの快復にも役立つオススメ本です。


追伸2

PR:西田さんも読んでるV字回復への知的マーシャルアーツのマガジンです。今日もよろしくです!


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