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「社長、売上上がりました!」岡崎市和食レストラン魚信さんコロナ禍経営奮闘記33(10月9日)


管理職「社長、売上上がりました!」社長「馬鹿野郎、俺を喜ばせてどうするんだ!俺の方むいて仕事するな。お客さん喜ばせようぜ」
管理職「社長、お客さんが喜んでくださった結果です」
社長「・・・そうか。ありがたいな。ありがとう。みんなのおかげだよ」
魚信では、こんな会話がなされていたらしい。感動しました。

こちらの続きです。


西田さんいい話ですね。

西田社長「もうずっと売上欲しいのは俺だけ。現状、売上求めているのは俺だけ。店長走りながら予約とりながら釜飯炊いてるし、もう全員手抜いていない。充分にがんばってる。

変に(売上伸ばせっていう)圧力かけると、電話口でへんなこと口走る。『社長は本当はこれ売って欲しがってるな』ってお客さんの予算超えた提案したり、とか、そうなっちゃう。ずっと売上、客数に基準を置いてたからダメだった。

コロナでそれが俺から取っ払われたのが良かった。社長喜ばすな、お客を喜ばせようよ。そっちのほうが大事だもんな。だったら、俺が余計なこといわんほうがいい。だから、自分的にはいま正解に向かっているって感じてるよ。

実際は、数字上がんないと給料上がらんのもみんなわかってるし。

「社長これだけ売れました!」って、おれ喜ばすな、お客さんを喜ばすのが本来の姿。おれが余計な目標とかこといわんほうがいい。(何も言わない今のほうが)自分的には正解にむかっている。

だって、売上も利益もあとからついてくるって本音で思えるようになってる。本気で思えるようになってる。たしかに口座から金がおちてくのは苦しいし悲しいけど(笑)。誰も手抜いていないし、一所懸命やってるし。コロナで良かったのは、俺からへんなものが抜けてったことと思います。

それでつぶれてったら意味ないんだろうけど(笑)。でも、そういっててつぶれたら、それはそれで、みんなに感謝できるよ。でも、すごいね。おれ喜ばそうとしてないって。結果だっていう、うちの連中は。その上行ってるからね、うちの連中は。喜んでもらえた結果なら、喜ぶしかないよな。かぁ〜、まいったね(笑)」。

(笑)なるほど。美学ですね。

西田さん「そう。美学だね。でも、美学ってこだわりだから。大事でしょ。で、その美学と関係するんだけど、うちがなぜこのコロナで本格的に釜めしやろうと思ったか、というとね。

そもそも釜めしってのは、関東大震災の後の炊き出しとして始まったっていうんだね。「災害食」っていうところが発祥らしい。災害と言えば、今の、このコロナ禍の状況と似ているね。だから、うちも本格的に釜めし始めたんだけどね。え?なにいってるか、わかんない?(笑)。

関東大震災でね、当時の人たちが震災で食うや食わず。家族と離れ離れ。生きてるか死んでるかわからない。被災と混乱の中、人々がさまよっていたときに、「あったまるから食べてきなよ」って女将さんが1人用の容器で出してくれたんだね。それが嬉しかったんだね。美味しかったんだね。釜めしの温かさって苦しみや悲しみ、孤独から癒やす料理だったんだね。

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それでね、今のコロナ禍、コロナにかかってしまった方、自粛などで経済ダウンで、あまりにもつらいことが起こってて、自殺者も増えてるっていう。業績的にはうちも辛い。けど、「岡崎では、魚信では来いよ、俺もないけど心配すんな。大丈夫、きっと良くなる、みんな仲間だよ」ってね。そういうメッセージ。

もちろん、「美味しい」っていう味のこだわりも、うちの売り。健康を考えて「身土不二」でやってるからこそ、できるだけ岡崎産の素材を使うって考えの中で、お米にもおだしにもこだわって、地元では手に入りにくい海鮮の食財や松茸とかはがんばって持ってきてもらっててね。

1つ1つの釜飯にうちなりの「みんな仲間だよ。頑張ろうね」ってメッセージ込めて伝えているつもりよ。まあ、その選択はお客様。うちはうちのこだわりや情熱をちゃんと伝えないといかんなあ、伝わってないなあ、まだまだ」。

これからは本物しか残らないですからね。

西田「そう。本物志向の時代。本物をちゃんと職人が整えて出しているから、しっかりお祝いの席で、ご家族のひとときの席で、テイクアウトでも、お家のレンジですぐ美味しくできるからね、たまには「おうちマック」じゃなくて、「おうち釜めし」だっていいんじゃない?って(笑)、と伝えないとね。デフレ圧力が強いから、そっち(=安売り)に流されちゃうと、誰も幸せにならないからさ」。

(続きます)

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