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五島体験見学ツアーの参加記録

2020年2月8日〜10日に参加した五島体験見学ツアーの記録です。

五島体験見学ツアーとは

五島市では住民の高齢化と人口の減少を課題としていて、U/Iターンを推進しています。
今回のツアーは、特に五島市で人手不足になってきている介護、保育関係者にアピールするためのものでした。

私自身は介護・保育のいずれにも関わりがないのですが、最近になって五島でのリモートワーク「ワーケーション」について耳にする機会があり、島での生活や起業に関心を持って参加してみました。

初日:福江島の自然と歴史を巡るバス旅

この日はとにかく景色の良いところや、パワースポット的な観光名所がメイン。来島が初めての人に、島の美しさを知ってもらうのが目的だったのだと思います。

・高浜海水浴場
曇り空の下でも美しいターコイズブルーの海!

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・水之浦教会

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福江島内のバスガイドは梅木さん。
フリップをいくつも用意して、要所要所で披露してくれる知識と語りが、ものすごくおもしろかったです。

・バス停、家間の距離が離れている場所では、ルート上の好きなところで待っていて、手をあげたら乗れる自由乗降バス状態になっている。
・五島の最初のお殿様は平家盛で平清盛の弟。
・島の人口は少ないため、1人介せば大体みんな知り合い。
・五島高校は江戸時代最後に建てられたお城の跡地に建てられている。
 校門は城門がそのまま使われている(ただし城としては裏口。だから「裏口入学」笑)
・資生堂は五島に椿畑を2カ所もっている。毎年、資生堂社員が椿を植樹にくるが、女性はなんとピンヒールで山に入って行く!(ほんと?)
・島暮らしでは車が必須。大人なら1人に1台だけど、ガソリン代が高くて島の悩み。
・韓国の言葉と似た方言がいくつかある。チング(友だち「친구 」)、マニ(たくさん「많이 」)

2日目:再び教会と空海ゆかりのお寺

<旅程>
・堂崎教会
・五島歴史資料館
・明星院
・漁師食堂

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・鎧瀬溶岩海岸

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・香珠子海水浴場

2日目は隠れキリシタンの歴史に触れた後、遣唐使の歴史へ。

明星院は空海ゆかりの寺ということで、お寺の管理者(住職のお母様)から由来を解説いただきました。土地を知ってから歴史を学ぶと、また見方が変わりますね。日本史をおさらいしたくなりました。

この日の個人的なベストは香珠子にあった塩釜。職人さんの話が本当に面白かったです。

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ここの塩作りでは、絶対に沸騰はさせないとのこと。
ゆっくり煮詰めていって最初に結晶化するのは
カルシウムで、これが甘味なのだそうです。
次いで結晶化するのがナトリウムで辛味。その後カリウム=酸味、最後にマグネシウム=苦味なのだそうです。
ここでは苦味が出る前、30%くらいまでで終わりにしており、甘味のあるお塩になるということ。

九州の旅亭から注文を受けて大きめの結晶に仕上げたという塩は、サラサラ良い音を立てていました。

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3日目:介護施設、障がい者雇用支援施設見学

3日目はこのツアーの開催主旨であり、Uターン、Iターン促進のターゲットである介護・保育の現場見学会がメイン。

<旅程>
-介護施設見学
・緑乃園
・かけはし木場
・聖マリアの園
-心誠(ランチ)→釜飯で有名なお店
-地方創生型障がい者雇用支援サービス
・コルディアーレ農園
-山本二三美術館

コルディアーレ農園
島の障がい者に雇用機会を産むビジネスモデルでした。

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島では健常者が島外に出て行く傾向にあるため、障がい者数比は都市部に比べて高めになりがち。他方で障がい者を雇用する企業の数は島内では少ないのが課題とのこと。
従業員数100人以上の企業では一定数の障がい者を雇用しなければ罰金が課せられる制度がありますが、一般の企業が障がい者雇用をするにはハードルがあるため、就労管理の代行ニーズがあります。

LITALICOが近いことをしていたようにも思ったけど、就労場所を地域に提供して、雇用機会を生んでいる点が特徴的でした。

SDGsの考え方では、本業のサステナビリティに貢献する取り組みがなされているかどうかがポイントであったように思います。罰則の回避を超えて、就労を委託している企業の本業への貢献ができるようになると、本当にサステナブルになっていきそうで、今後の展開も気になります。

まとめ

1日目のバスガイドさんや、ホテルの若いスタッフ、民泊のおじいちゃん、おばあちゃんの話を総合すると、
・若い人の働き口の選択肢は増えつつある
・U/Iターンの人は個人事業主やリモートワークが多い
・良い保育園に入れるための保活は島でも必要。
(待機まではしなくても入れるところは、いまいちだったらしい…)

島内の若い人の定着率は少し改善しているのかもしれませんが、それでも島の高齢化率は約40%。この高い高齢化率のおかげで介護施設の人手は不足気味とのこと。
規制が多い事業な上に各地で人手不足とも言われており、島ならではの人材募集インセンティブを作るのも難しそうという印象です。
今のU/Iターンは、こうした島民の生活を支える産業への直接貢献は少なそうで、現在の住人に対しても、今後長く住もうというU/Iターン者自身にとっても課題になりそうだなぁと思いました。行政もそれを意識しているからこそ、このツアー企画が成立したのでしょう。

福江島までは長崎港から90分、または福岡空港から40分。リモートワークを何年間も続けるには、相当な理由づけが必要そうです。
とはいえ、海も浜辺も、山の緑もとにかくきれい。お魚も本当に美味しかったです。
再び訪れてみたい場所になりました。


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