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成功と失敗を同一と見なすことで得られるものとは?

二極の対立する感情を克服する

■聖典『バガヴァッド・ギーター』より引用

予測することなしに生じた出来事が何であれそれに満足し、二極の対立感情を克服し、競争する心もなく成功と不成功とを同一と見なすものは、たとえ行為をしても罪を犯すことはないのである。

バガヴァッド・ギーター第四章22節

私たちは、嬉しいと悲しいや暑いと寒いなどの相対的な世界に生きているので、これらの相対的で対立する二極の感情を避けることはできません。そして、この二極の対立する感情を克服することこそ平安な心の状態と成り得る秘訣と言えます。

だからこそ、あえて、アーサナをしている時に緊張と弛緩を交互に繰り返すことで二極の感情が生じるのを離れて客観視するトレーニングをしているわけです。アーサナをストレッチとして捉えているならば、心の訓練とはならない理由となります。二極の対立感情によって心が一喜一憂することなく、また、翻弄されずに、成功や不成功をも乗り越えてそれらが同一であると見なせる一歩を進めることができるのです。この平等観については後日に触れることになると思います。

意図的にあえて作り出す等尺性運動による緊張とは、何らかの突発的な不慮な出来事に遭遇した時のごく自然な反応とも言えます。つまり、にっちもさっちもままならないような身体の緊張状態となります。アーサナでもたらされる身体と心の緊張状態は、突発的な不慮な出来事が生じた時のような過度な緊張ではないかもしれませんが、毎日の訓練によって身体にもたらすその緊張状態から離れて静観できるように強く育った心は、突発的な不慮な出来事に遭遇した時の免疫となり得るのです。

米国トラウマセンターでヨーガを採用する理由

■なぜヨーガがPTSDに対して有効なのか

日本ヨーガ療法学会主催の研究会でトラウマ治療で世界的に有名な精神科医でありボストンにトラウマセンターを設立したビッセル・ヴァン・デア・コーク博士の講演でとても印象に残ったことをお話ししますと(お写真ではとてもイケメンでしたが実物はとっても品の良いお爺さんでした)

PTSD(心的外傷後ストレス性障害)のクライエントは、自己体験と感覚が解離した状態にあるために、状況に応じた適切な感情を表出することが困難になる。その不均衡な状態から回復するためには、『今、このとき』に集中させた身体に働きかける「筋肉運動」、「リズム」、「呼吸」などからの介入が効果的であるとおっしゃっていました。

また、緊迫した緊張状態には、必ず終わりがあることを身体に教えることがヨーガはできるとも、これは緊張した後に弛緩することを交互に繰り返すことがPTSDではない私たちにも有効であることがわかります。そして、今現在、身体に緊張が生じているそして弛緩が訪れていると『今このとき』に実感できることが大切だと言えます。

正直、講演を聴いてコーク博士はとてもヨーガを理解していらっしゃるなというのが率直な感想でした!それと、日本の文化の中に茶道や書道などにマインド・フルネスがすでにあるのにアメリカに来てまで学ぶ必要はないともおっしゃっていました。

最後に

今回は、成功と失敗を同一と見なすことで得られるものとは?について述べてみました。次回は、ヨーガにおいての診断・原因・健康状態・治療法とは何か?について述べてみたいと思います。

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