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本書に秘められた創造的な破壊力は大きい 『近世仏教論』法蔵館 by 西村 玲


Reviewed in Japan on August 1, 2021 Amazon

43歳で自ら命を絶った西村玲氏の著作『近世仏教論』は2019年4月に読んだが、間違いなく歴史に残るだろう。

わずか初めの6頁弱で当時のアクチュアルな歴史状況と近世へと受け継がれてきた仏教思想の核心が浮かび上がる。本書から分かるのは富永仲基の思想と実践は無神論的合理主義というよりむしろ生身の個人としての釈迦への帰還であるということである。そこが無神論的-科学的合理主義者であった企業家山片蟠桃との違いだ。ともに仏陀個人に還帰すべきと説いた普寂と富永仲基の二人が共有するキーワードは西村玲氏が明確にしたように「方便」である。


以上富永仲基のイメージを解毒する西村玲氏の作業についてコメントしたが、例えば本居宣長平田篤胤の場合は仏教とのイデオロギー闘争上利用したという側面が強い。以来その誤ったイメージが根付いてしまった。不幸なことであるが、それが本書から如実に読み取られてしまうのだ。


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