<私>の成立――哲学 科学の究極の問いへ 『哲学的洞察』by 永井 均 を巡って 増補改訂版
Introduction
ふと思ったが、確かに「我々」は(例えば何らかの他者の危急の事態において)「意識はありますか」と聞くことはあっても、「私はありますか」と聞くことはない。
ここには哲学的洞察が潜んでいる。しかしそれがその姿を露にすることはない。いわば裏返されて不可視になった哲学的洞察だといえる。
<私> <今> <現実>
前掲書115頁「<私>の成立にも<今>の成立にも<現実>性という要素が不可欠」
やはりここが最大の肝であり究極の謎だ。今に至るまでこの究極