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自己紹介02 経済

社会工学類社会経済計画専攻

高校時代、数学と社会(地理と世界史)が得意だったので、筑波大学社会工学類に入学しました。教育カリキュラムは、経済学を基本に、政策提言や企業の経営計画立案、都市計画など、実践的に社会とかかわる手法を学ぶものでした。私は特に、統計学、社会調査、計量経済学、記号論マーケッティングに興味を持ちました。

社会工学類の中で、私の専攻した「社会経済計画専攻」は、元々、1960年代の「高度経済成長、日本列島改造」を主導した経済企画庁のお役人さん達の天下り先でした。福地崇雄先生の「計量経済学」は、毎回膨大な数式が黒板に書かれる圧巻の授業でした。経済現象を数式(マクロ計量経済モデル)として表し、そこに経済データーを投入(産業連関分析、投入産出分析)して将来予測(多変量解析)をし、数式や指標を変えていきながら「最適経済計画」を立てる授業でした。

計量経済学

私は特に当時筑波大学にあった「ラテンアメリカプロジェクト」の中の、累積債務問題で経済危機に直面していた「ブラジル経済」に興味を持ちました。1970年代に「ブラジルの奇跡」と呼ばれる高度経済成長を達成したにもかかわらず、その後急速に経済状態が悪化、債務増大、通貨価値下落、毎月数百パーセントのインフレーションによって、貧困層が急速に増大し、国民の大多数が困窮化、少数富裕層の経済支配が鋭角的に増大するという状況をどう打開するか、二十歳になりたての全然無関係の日本人学生でしたが、何故か一生懸命、すでに組み込まれている数式を理解しつつ、コンピューターセンターに通ってこの経済問題を解くことに熱中しました。

転機が訪れたのは、NHK特集で「祭典 リオのカーニバル」という番組を見た時です。経済危機の中、強烈なインフレで所得や貯蓄が日々目減りしていくにもかかわらず、リオの庶民さん達は貯めたお金を全てカーニバルに使ってしまう、ということを、NHK特派員が「それだけ祭典は凄いんです、彼らの人生なんです」と報告していました。もちろん、庶民の方々がどうもがいても(ミクロな経済行動からは)「国家経済の危機状態」という巨大な現象(マクロ現象)を解決することはできない、ということは理解していましたが、その憂さ晴らしを「人生の喜び」として肯定する番組(構成)にショックを受けてしまいました。そして急激に「世界を経済現象として観る(生産量とか成長率、外貨準備高で測る)」ことから、「世界の有様を文化現象として観る・・・つまり消費、何にお金を使っているか(何が人生を賭けるくらいの喜びなのか)」に興味が移っていきました。

記号論マーケッティング


そんな時、面白いアルバイトを見つけました。「一日2時間どんな番組でも良いからテレビを見て、番組放映中に挟まれる『広告』を録画する」というものでした。星野克美先生は、長期信用銀行出身で、記号論マーケッティング、文明論を専門とされていて、当時、バブル経済盛んな時代の「流行予測」を研究しておられました。学生や主婦、会社員、様々な人々が研究協力者となり、自宅や研究室でテレビを見て、どの番組でも良いので2時間の間に挟まれる「広告」を、ヴィデオにとって先生に渡します。個々の広告は、どの程度の好奇心で観られているか、広告自体の中から着目されたパーツをキーワードとして抽出して、番組そのものとの関連や、研究協力者の属性別に分析され、半年後に、かなり膨大なサンプルを集積した報告となり、その発表はとてもユニークなものでした。私はこのジャンルにぐいぐいと引き込まれていきました。

「消費人類学」(東洋経済新報社)、「流行予知科学」(PHP研究所)、「消費の記号論」 (講談社現代新書764) などの書籍となった星野先生の御研究の基礎理論が、当時、現代思想としてもてはやされていた「構造主義」「シンボリズム」であることを知り、ソシュール、丸山圭三郎、レヴィ・ストロース、「ニューアカデミズム」の浅田彰、柄谷行人など読み漁り、研究室で発表しました。
その後、筑波大学芸術学研究科の入試(院試)のために提出した論文は、当時話題になっていたサントリーのテレビコマーシャル「『CANビール』 ペンギンシリーズ」を、ボードリヤールの「消費社会の神話と構造」を底本にして分析したものでした。

インド市場調査

ありがたいことに、私の大学生、大学院生、インド留学生時代は、「バブル景気のヒートアップ時代」、「バブル崩壊後の急激な円高時代」に当たり、日本経済の推移は、私の青春時代を大いにバックアップ(支援)してくれました。インドに留学して以降30年以上、身も心も頭もインドに没入していて、日本に一時帰国しても、人々の「暗~い雰囲気」「目線がどんどん下がっていく気分」を感じてはいましたが、インドに戻ると、街がどんどんきれいになり、スタートアップ企業が立ち上がったり消えたり、経済開放政策が始まり現在のインド経済の隆盛につながっていく「イケイケムード」にかき消され、いわゆる「日本経済の失われた20年」を全く実体験しないまま、今日に至っております。

最初に経済学や社会調査方法論を学び、アンケート調査や統計的分析手法を身に着けたことは、インドに留学している間に、日本の企業がインドに進出するのに先立ってインド社会の経済構造分析、消費動向、市場調査を行うプロジェクトに、電通系のコンサルティング会社からお声掛けがあった時、非常に役に立ちました。「インドの富裕層は人口の1割ほど、(日本の総人口に匹敵する)1億人存在する」というレポートが発表され、俄然、インドに注目が集まった頃の事です。

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自己紹介01 簡略版
自己紹介02 経済(この記事)
自己紹介03 構造主義 文化記号学
自己紹介04 環境デザイン
自己紹介05 音楽
自己紹介06 ことば
自己紹介07 信仰 日蓮Buddhism
自己紹介08 瞑想 ヴィパサナ ウパサナ

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日本/東南アジア/インドを彷徨するノマド型僧侶[修行者]。人生前半の回想録を書いています。出会った人々、出会った書物、得難い知識、生きる技など、思い出したら直ぐに、ここに書き置きいたします。