鯨歯と塩
クジラの歯にまつわるエトセトラを記録しておこうと思う。クジラの歯には2種類あって、それゆえ作品も2点存在している。落合さんの作品として展示されたのはこちら。
プラチナプリント
このクジラの歯は患者さんにいただいたもの。
骨と共に。他の方にいただいたヒゲと共に我が家のクジラグッズに埋もれていた。診療室に飾った時期は短い。リアル過ぎてスタッフに抵抗感があったようだし私も存在を忘れていた。落合さんはクジラやイルカがお好きなので興味あるかしらと割と唐突に差し上げた。まさか作品となって息を吹き返すとは思ってもいなかった。作品展で出会った時は親子の再会のような感激があった。
もう一つのくじらの歯
ソルトプリント
s://yoichiochiai.com/art/geishi-to-shio
https://note.com/ochyai/n/n7c66ec693f2e
落合さんのnoteに記載があるのだけどユニークピースで作品は我が家の玄関に飾ってあるので、我が家に来た方だけが目にすることが出来るレアなもの。正確に言うとこちらの歯はくじらの歯を撮りたいという落合さんに一時期お貸ししていた。
撮った写真を購入出来ると聞いて、アート作品とあまり縁のない私は悩んだのだけど結婚25周年を控えていたこともあって、我が家と縁の深いくじらの歯がモチーフだし、思い切って迎え入れることに決めたのだった。それを伝えたら、もっと良く撮り直したいとのことで、撮影されたのが2019年9月20日深夜ということになる。これをnoteで知ってハッとした。納期に指定はなかったのだけど、出来るなら消費税が上がる前の方がありがたいと秘書さんにお願いしていたから。
そもそも、結婚前にこのクジラの歯は私から夫にプレゼントしたもの。歯科医業に従事する私たちのお守りのような存在で診療室に飾られたり、自宅に飾ったり。小学校の読み聞かせに持って行ったこともあった。くじらの絵本を読んだあとに、歯を触ってもらう。少し重くてかたくてつるんとしている。子どもたちは目を輝かせてくれた。
私にはアートが足りない。兼ねてからそんな風に思ってきた。アートを迎え入れたことで何か変化があったかと問われたら特別なことは何もないのかもしれない。ただ、クジラの歯の質量以上に作品には重厚感が備わっている。マッコウクジラを実際にウォッチングした時に感じたのは神々しさ。それにより近いかもしれない。我が家のクジラの歯はツルツルに研磨されているわけではなくボコボコとしていて、ところどころ黒い。そして形態が美しい。その質感と相まってより一層美しく仕上がっている。朝な夕なそれに見送られ出迎えられるという贅沢さ。これが明日への活力にならないはずがない。
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