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宇宙業界に大激震!!ソユーズロケット停止に伴う大きな影響とは

日々、衝撃的なニュースが流れるロシアとウクライナの問題。
各国がロシアに対して制裁措置を実施する中で、宇宙業界にも大きな影響が現れている。

先日、ロシアが管理する、フランス領ギアナのソユーズロケットの打ち上げ計画が停止したことが明らかになった。

ソユーズロケットは世界の宇宙産業を牽引してきた重要なロケットの1つだ。商用ロケットとして、欧州や日本の人工衛星打ち上げや国際宇宙ステーションへの輸送などの役割をこれまで担ってきた。

先日の前澤友作さんの国際宇宙ステーション滞在においても、ソユーズロケットを使用されたことが、記憶に新しい。

1. 宇宙業界におけるソユーズの存在感

ソユーズロケットの打ち上げが止まると、世界にどのような影響があるのだろうか。

2021年のロケット打ち上げの実績について、集計した結果を以下に示す。

2021年世界のロケット打ち上げ実績

2021年のロケット打ち上げ実績を見ると、ソユーズは世界第3位の打ち上げ回数を誇る。

特にソユーズはロシア国内の衛星のみならず、欧州や日本などの人工衛星の軌道投入も請け負ってきた。

ソユーズ停止の影響はロシア国内のみならず、欧州を中心に世界に向けて大きな影響を与えている

2. 世界の宇宙業界に与える影響

世界でも大きなシェアを持つソユーズロケット。
その打ち上げ停止は、すでに世界の宇宙産業に大きな影響を与えている。

●OneWeb
人工衛星経由のブロードバンド通信を目指しているOneWeb(ワンウェブ)は、3/4に予定されていたソユーズでの通信衛星打ち上げが中止となった。

OneWebは今年8月までに5回のソユーズ打ち上げを計画していたが、この計画を再度考え直さなければいけない事態になっている。

代替するロケットとしては、アメリカや日本、インドを探している状況だ。

OneWebは2019年に一度経営破綻を経験している。もし通信衛星の打ち上げが遅れるようなことがあれば、再び経営破綻となる恐れもある状況だ。

●韓国の人工衛星打ち上げ
韓国は今年、ソユーズを使用した2台の地球観測衛星の打ち上げを計画していた。しかし、この打ち上げについても、今回の事態で不透明な状況となっている。

韓国は2031年までに100台の地球観測衛星を打ち上げる予定を発表したばかりだ。しかし、その計画がいきなり頓挫した形となっている。

韓国は現在、初の自国産ロケットであるヌリロケットの開発を進めているが、このロケットが代替を務められるのかも不透明な状況だ。

●国際宇宙ステーション(ISS)の使用延長
ソユーズの停止およびロシアへの制裁は、国際宇宙ステーション(ISS)においても、大きな影響をもたらす。

ISSは各国が共同で運営に携わっているが、宇宙飛行士をISSに送り届けるためのロケットは、今回のソユーズとSpaceXのCrewDragonの2台のみだ。

すなわち、ISSへ宇宙飛行士を送り込む手段はCrewDragonのみという形になる。

また、昨年NASAはISSの運用期間を2030年まで延長したが、これについても不透明な状況になっている。

ISSのメインモジュールはロシア製だ。ISSにはこれまでのロシアの技術がたくさん入っているため、運用延長にはロシアの参加も必須な状況だった。

しかしながら、今回の事態に伴いロシアの協力を得られる可能性はほとんど考えられない。そのため、計画通りISSの運用期間を伸ばすことができるのか、不透明な部分が日に日に増している状況だ。

3. ソユーズに代わるロケットあるのか?

ここまでで、ソユーズが与える影響の大きさが理解できた。それでは、ソユーズに代わる打ち上げロケットはあるのだろうか???

ソユーズにとって変わる打ち上げロケットとしては、アメリカの宇宙ベンチャーにいくつかの候補がある。代表としてはRocket LabVirgin OrbitAstraなどだ。

この中では、Rocket Labが開発する量産型小型ロケット「エレクトロン」が、昨年5度の打ち上げに成功している。

いきなり長い歴史をもつソユーズの代わりを務めるのは現実的ではないが、今後のロケット開発がさらに進み、民間から多くのロケット打ち上げ企業が出てくる未来はすぐそこまで来ている。

4. 日本のロケットは代わりになれる?

それでは日本のロケットはソユーズロケットにとって代わることはできるのだろうか?

日本の主力ロケットはこれまでH-ⅡAロケットが担ってきた。このH-ⅡAロケットは通算44回の軌道投入に成功している日本が誇るロケットだ。
しかしながら、H-ⅡAロケットは2023年度に退役することが決まっており、
ソユーズにとって代わることは難しい。

それでは、後継機として開発が進むH-Ⅲロケットはどうか。
H-ⅢロケットはH-ⅡAロケットの後継機として開発が進むが、現状はその開発が遅れている。

H-ⅢロケットはJAXAと三菱重工業が共同で開発を進めているが、初回の打ち上げ時期が明言できないような状況だ。

現状を見ると日本の主力ロケットは、代替わりを迎える時期であり、ソユーズにとって代わることは考えにくい

それでは、民間の日本の宇宙ベンチャーで代替となり得る会社はないのか?

日本のベンチャーで代替になり得る会社としては、インターステラテクノロジズがいる。

ホリエモンこと堀江貴文さんが出資するロケットベンチャー企業だ。
インターステラテクノロジズは低価格ロケット「ZERO」を2023年に打ち上げることを計画している。

このロケットが予定通りに完成すると、日本でも低価格・高頻度なロケットの打ち上げが実現する可能性がある。

ソユーズの代わりとして存在感を高めることも十分考えられるのではないか。


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ソユーズロケットの打ち上げ停止という大きなニュースは、宇宙業界にとって衝撃的なニュースだ。

しかしながら、今回ソユーズが空けた大きな穴は、新たなロケット打ち上げ企業が現れるきっかけになれると、私は考えている。

どの企業がソユーズの空けた穴を埋めるのか、しっかり見ていきたい。

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