提案書紹介 その 2 「眠活アプリ」「ジャストミー党」 「エンジョイチェッキング」
前回に引き続き、今回も送っていただいたアイデアの紹介をしていきます。今回紹介するのは、愛知県名城大学附属高等学校 の 3 つの 提案 になります 。
最初に 「眠活アプリ 」 を紹介します。
まずは提案書をご覧下さい。
スマートフォンはとても便利なものですが、手元にあれば、どこでも、何時でも、色々なことができるので、人によっては夜遅くまでスマートフォンを使ってしまい、睡眠不足を招いてしまうことがあります。睡眠不足は脳や体に悪影響を与えるので、この問題を解消すべく、タイマーや使用制限の機能を持たせたアプリの開発がこちらのアイデアです。
このアイデアに関して、デザセンでは下記のように考えました。
1.問題の把握 について
睡眠時間とスマホ依存の問題について、自分たちの身近なところから問題を発見できていて良いと思います。脳や体への影響も細かく調べられています。身近な問題であるからこそ、自分たちの現状を見返して、問題点を洗い出してみると、新しい発見があるかもしれません。どんな時にスマホを使うか、どんな時ならスマホに集中しないでいられるかなど、振り返ってみましょう。
2.課題の抽出と設定 について
スマホの使用時間を減らそうという取り組みは、県や様々な団体が取り組んでいることです。県で条例を作られたり、アプリが開発されたりしていま す。取り組みが実を結んでいるものもありますが、ほとんどの取り組みが良い方向へつながらないのはなぜでしょうか?刈谷市では、小学生の親が夜 9時以降になったら、スマホを取り上げるという取り組みを市全体で取り組んでいたりします。そのような様々な事例を見ると、より深みのある提案になると思います。
3.解決策 について
細かく考えられていると思います。けれど中高生がスマホの管理を親にしてもらうことに抵抗はないのか気になります。また、既存の睡眠やスマホ使用制限に関するアプリは多くあります。 そのアプリとの差別化を明確にしましょう。ポイントも財源はどこから出すかという疑問も出てきます。また、アプリは作っても、広めることが大切です。睡眠に関する企業とコラボする等、広める際のことも考えられるともっと良い提案になりますね。
中高生だけでなく、小学生のスマホ所有率の増加や睡眠不足による健康被害に関しての実際のデータなどが取り入れられていて説得力があり、また具体的な例も書かれていて想像しやすいところがこの提案書の良いところであると感じました。身近にある問題を取り上げる場合、すでに解決策が考えられ取り組まれてい ることが多いです。また、 アプリで解決するという提案の場合、どこまで具体的にしっかりと考えられるか、他のアプリとどう差を付けるかということが大切であるように感じます。
アプリの提案の多くは、すでに同じようなアプリがあることが多いです。既存のアイデアをデザセンでは評価できません。アプリを活用するアイデアが悪いのではなく、すでに存在するアイデアが評価できないということです。ですので、アプリのアイデアだとしても今までにないものであれば評価され、場合によってはデザセンをきっかけに実用化されることもありますので、ぜひそこを目指して挑戦してみてください。
次の提案、「ジャストミー党」を紹介します。
まずは提案書をご覧下さい。
こちらもアプリのアイデアになります。若者を中心に、政治に興味のない人にアプリを通して、政策内容などをわかりやすく(もしくは面白く)伝え、政治に関心を持ってもらおうという内容です。
このアイデアに関してデザセンでは下記のように考えました。
1. 問題の把握 について
「若い世代が政治への関心が低く、選挙の投票率が低い」のが問題だと上げてくれていましたが、近年話題に上がる一般論です。なぜ政治への関心が低いのでしょうか。若い世代であるみなさん自身にも言える事ですので、あまり俯瞰せず、ストレートに政治へ関心が持てない理由を改めて上げてみてください。そうするとより説得力があり、共感意識を感じる内容になると思います。
2. 課題の抽出と設定 について
「若い世代の投票率を上げるために、若い世代の政治への関心を高める」と挙げてくれましたが、「そのために何をするべきか」を考え、明確にするものが「課題の抽出」です。今回の課題にある「若い世代」についての定義は高校生であるみなさんも含みますか?それとも自分たちよりは年上の 20代の若者ですか?そこも明確にする必要があります。もし可能であれば、自分たちが考える「政治に興味のない若い世代」にインタビューやアンケートをしてみると、実際の意見をから課題が見えてくるかもしれません。
3. 解決策 について
政党フィルターは自分が応援したい政党、立候補者を見つけるのに便利で利用してみたいと感じました。各政治家がどんなことに力を入れているのかを知れば、ある程度その政治家に興味が出るので、有効な手段だと感じました。逆に政見放送は見たいと思わせる工夫が必要だと思います。すべての政治家が面白い政見放送をしているわけではありませんから、見るのも退屈な放送もあると思います。その対策として、どういった形で政治家の考え方を届けることが良いのか、アイデアがもっと必要かもしれません。このアプリだとテレビの政見放送とは違い面白く見れる仕掛けなどがあると、アプリを使う意味が出てくるので、そこまでアイデアを考えて欲しいと思います。また、アプリ内で応募できる景品とは何でしょうか。何がもらえるのか、政治と関係あるのか、しっかり説明が必要です。
若い世代に向けた選挙に関するアプリという提案は面白いなと思いました。しかし、もっと詳しく調査・分析をするとより良い提案になるように感じます。例えば、学校内で選挙に関するアンケートを取ったり、世代ごとにインタビューをしてみて、選挙に対する意識や考えの違いを調べてみたりするのも良いかもしれません。
今回最後の提案「エンジョイチェッキング」について紹介します。
提案書をご覧下さい。
近年、ライフスタイルの変化等で、全世界的に近視の人が増えています。その近視の人、なかでも子どもが近視になることを防ぐために、目に良い効果を与える地元食材を使った料理を普及させて、地産地消、食料自給率の向上などにつなげるというユニークなアイデアです。
このアイディアに関してデザセンでは下記のように考えました。
1.問題の把握について
視力の低下を食生活の観点から解決を試みているところに他には無い独自性があり、とても面白いと感じました。
2.課題の抽出と設定 について
子どもの近視進行を予防するために地産地消の目にいい食品を取り入れるという課題設定はこれまで思いつかないような切り口で素晴らしいと思います。一つアドバイスとして、食材と視力についての因果関係をもう少し詳しく載せられればと感じました。例えば、実際に輸入食品を食べることの影響で視力が悪くなっていることを示すデータなどがあるとかなり説得力が増すのではないのでしょうか。
3.解決策 について
解決策は「レシピ紹介」だけでなく、それらのレシピを実際に作ってもらい、今回のターゲットである「近視になりがちな子どもたち」に食べてもらうためのアイデアまでしっかり考え、記入する必要があります。材料の近くにレシピを置いて、買う人が手に取りやすくするアイデアは既に多くのスーパーなどで実施されています。さらに多くの人に近視予防の方法としてレシピが届くようにするための工夫を考えてみましょう。近視進行の防止と共に地産地消に取り組むという、意外な組み合わせによる課題解決のアイディアはとても面白いと感じました。二つ別々の課題を組み合わせることによって、どちらも一緒に解決することができるというところがこの提案の良いところであると思います。近視進行のチェックリストについて 、 もっと詳し い内容が書いてあるなど、食品と視力の関係性や、このアイデアを実用的にする方法がもう少し深く書かれているとより高い評価が得られるアイデアになると思います。
以上、名城大学附属高等学校からいただいたアイデアの中から3つの提案を紹介させていただきました。
前回同様、ユニークなアイデアで興味深いですが、もう少し問題点・課題に対してのリサーチ情報が欲しいところと、アイデアが活用されていくことを想像できるような有効性と実用性を示せる部分があると決勝大会優勝も夢じゃないです。そのポイントも意識されたより良いアイデアを期待しています。来年もぜひご参加ください。
▶️デザセン公式HP
https://www.tuad.ac.jp/dezasen/
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