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「これまずいから食べてみて?」

こんなこと言われたら、
「いや、まずいなら別にいらないよ」という人が多いんじゃないだろうか。
場合によっては、ちょっとした迷惑行為に認定されてしまうかも。
しかし、わが夫はまずい食べ物は周りに分け与えて、感想を共有したくなるらしい。
もちろん、おいしいものも分けてくれるから嫌がらせではない。

「これおいしいから食べてみて!」はストレートでわかりやすい。カフェやレストランでよく見る光景だ。
おいしい!という感情はみんなで共有した方が、驚きと喜びが増す。

まずいものを共に味わうというのは、夫と出会う前はあまり経験がなく、最初はびっくりしたが今はもう慣れた。
私も最近は反撃して「これまずいから食べてみて?」をする。

✳︎

どんなに信用しているメーカーでも地雷商品というものは存在する、と個人的には思っている。
あの絶品を世に産み出した偉大な会社なのに、なぜこんなものを…!と不思議で仕方ない。

メーカー名、商品名など詳細は伏せるが、過去に悶絶した商品の例を挙げよう。
(加工品に限る)

・蒟蒻せんべい のり塩味
→腐敗した水槽のような風味が舌に残る
・米粉のココアクッキー
→ポロポロでまるで見た目も味もドッグフード
・チョコレートドーナツ
→劣化した油がジュワーっと
・参鶏湯(レトルト)
→ほぼたけのこの水煮 味がない
・かぼちゃグラタン
→かぼちゃの水分とホワイトソースの融合&繊維だらけ

などなど。

こうして見ると、健康を意識した商品が多い印象が…
蒟蒻とか米粉といったヘルシー志向の食材は、繊細な技術がないと商品化が難しいのだろう。
最近はおいしさを追求しつつ、糖質カットやプラントベースの食品を頑張って作っているお店がたくさんある。
大手メーカーの技術の進化が進むまで、専門店で買うのが得策かもしれない(教訓)


それにしても、開発担当者や上の偉い人たちが会議を重ねて試食した後、販売に踏み切ったはずなのに、「この世のものとは思えない何か」が出来上がるのが謎だ。
果たして本当に試食したんだろうか…..
したんだろうなぁ。
試食した人みんな、試食の当日鼻風邪か花粉症だったんじゃないかという疑惑が浮かんでしまう。

✳︎

ちょっとまずいけど、まぁ食べられるレベルだと残念感しかないが、人生で何回遭遇するだろう!というレベルでまずいと、もはや貴重な体験のように思えてくる。

とてつもなくまずい食べ物を運悪く選んでしまったとしても、二人いれば
「わー、まずっ」
「土食べてるみたい」
「土食べたことあんの?」
「ないけどさ」
「というか、なんでこんなの買ったの?」
「いや、一見おいしそうに見えるじゃん?」

など、ポンポン会話を投げ合いっこしているうちに、悲哀の心が薄くなっていく。
あとから振り返ればちょっとした笑い話だ。
こういうとき、ひとりでなくてよかったと思う。

マイナス+マイナス=プラス
ってこういうところにも表れるんだな。


これからの生活の中で、おいしいものにもまずいものにも普通のものにも、たくさん遭遇するはずだ。
いずれにせよ、日々小さな発見を楽しみながら、誰かが作ってくれた食べ物を大事に噛み締めていこうと思う。

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