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自分が生きたい世界のかたち

この前、タリーズに行ったときのこと。
平日ということもあって、ひとり客が多く、店内にはBGMがゆったりと流れていた。
本日のコーヒーとクロックムッシュと本。
テーブルの上に三種の神器を並べて、私は至福のときを過ごしていた。

ふと目をやると、隣の席におばさまが1人座っていた。テーブルに小説とルーズリーフが置いてあったので、おぉ、読書好きの同胞か?と嬉しくなった。

次の瞬間、黄色い紙に包まれた丸い物体が目に入る。
ん?こんな原色使いの商品ってタリーズにあったっけ?知らぬ間に新商品出てた?

そのおばさまが手を洗いに行っている間に、さりげなくその物体に注目すると、「スパチキ」と赤い文字で書かれていた。


「スパチキ」ってなに?

興味のあること以外には、とことん無知な私である。
待てよ、あの形状、まさか。
確証を得るため、私は「スパチキ」とスマホで検索した。
あった!やっぱりマックだ!

どうやらおばさまは、タリーズでドリンクを注文し、事前にマックでテイクアウトした「スパチキ」なるものをここで食べようとしているらしい。


なるほど。
基本的に飲食店では、他のお店からの持ち込みは禁止されている。
それは禁止事項として特段書かれていなくても、常識として多くの人が知っていることだと思う。
たとえばスタバでミスドのドーナツを食べないし、マックでコンビニのポテチも食べない…はず。

私は本を片手に注目していたのだが、おばさまは急いだり隠したりすることもなく、最後まで綺麗に食べ終えた。
さすがに証拠隠滅で包み紙は持って帰るのかな?と思ったが、さっと立ち上って堂々と返却台の燃えるゴミ入れに捨てていた。

その所作は慣れたもので、自分が悪いことをしていると思っていないようだった。
食事タイムを終えたおばさまは再び手を洗い、読書の世界へ入っていった。


✳︎
明文化されてないルール、常識と呼ばれるものを、どこまで守るか問題。
例えば、スーパーで使ったカゴをカゴ置き場に戻すとか。電車のホームでは整列して待つとか。

守る、守らないの線引きって難しい。
たぶん各々が、自分の生きる世界がこうであってほしい、こうあるべきだという基準を持っていて、それに則って行動しているのだと思う。

法律に違反しない最小限のモラルで生きられたら、この世界を楽に生きられるのかもしれない。
先にあげた例だと、好きな食べ物を自由な組み合わせで食べられるし、カゴは放っておけば片付ける手間と時間が省けるし…。(そんな手間は微々たるものだと思うけど)
モラルのレベルを下げるほど、この世は生きやすくなるような気がしてくる。それなら守る方がバカらしくない?っていう声も出てきそう。


うーん、でも私は、食べ物は買ったお店で食べる、使ったものは自分で片付ける、そういう世界で生きたい。それが自分の得にならないことだとしても、貧乏くじを引くことになったとしても、結局その価値観でしか行動できないんだと思う。
正解がないこともある。
改めて価値観って人それぞれだな、と感じる出来事だった。


✳︎
「この場合、どういう行動をとる?」っていろんなケースを挙げて、身近な人に聞いてみたい。自分と違う世界の見方をもっと知りたい。

周りの人、私に唐突に変な質問をされたら、そういうことなので、よろしく頼みます。

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