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看病初心者の小さな学び

結婚して4年経つのだが、先日初めて夫が体調を崩した。例の流行り病だ。職業柄、多くの人と接する仕事なので、今まで罹ってこなかったのが不思議なくらいかもしれない。

熱っぽさとだるさで異変を感じたらしく、検査キットで陽性だと判明。

どうしよう、まずは隔離しなくては。
各々の部屋はそれぞれ通常どおり使うとして、寝室は私、リビングは夫のスペースとした。病人の夫をソファーで寝かせるのは忍びなかったが、動線上そうせざるをえなかった、ごめんよ。


かくして隔離生活が始まり、夫には療養に努めてもらった。(持病があるため、一万円くらいする薬をもらってきた)体が頑丈な方だし、自分のことはなんでもできる人なので助かった。

そして私は買い出しへ。
食品調達は思いのほか難航した。

唾を飲むだけで針を刺したかのように喉が痛むというので、なるべくつるんと喉越しのよいものを買おう。
つるんとして栄養のあるもの、つるん、つるん…
ぶつぶつと呟きながら店内を歩く。
療養中、こんなもの食べてたよ!というネット情報もありがたく参考にした。茶碗蒸し、プリン、お粥、アイスクリームなど。

夫は大食いな上に脂っこい食べ物が大好き。そして不思議なことに、病気になっても滅多に食欲は衰えない。今回も水を飲むと喉がー…!喉が痛くて眠れないー…!と言ってるくせに、食欲は健在だ。まあ食べてくれた方が安心なんだけれども。

ということもあり、内容を考えつつも量の確保も重要だ。
3食とも家で食べるので、食べ物はダイソン並みの吸引力で彼の胃袋へ消えていくし、生活用品(トイレットペーパー、ティッシュなど)もみるみる減っていく。

私が体が弱いこともあり、菌を排出するとされる10日間、夫とは極力話さなかった。必要な連絡はLINE頼りだ。「おはよう」「おやすみ」もLINEで。便利な時代で本当に良かった!
その甲斐あってなのか、夫は予定通り職場に復帰し、私がうつることもなかった。


自分が病人になり、ひーひー言うことは何度もあった。
しかし身近な人が病気になったとき、本格的に面倒をみるのは初体験だった。自分が病気の症状に苦しめられるのも辛いけれど、看病するのも別の大変さがあるということに気づいた。

家に篭りっぱなしで気分が塞ぎ、鬱々としてくるけれど、病人の前で疲れを見せちゃよくない。それに自分が倒れたら迷惑をかけるので体調を崩さないよう、普段より一層気を引き締めなければならない。
今回は体調不良の原因が明らかだったけれど、何が体の中で悪さしているのかわからない場合は、精神的負荷がもっと大きかっただろう。

わかりきったことを今さら何言ってるんだと自分でも思う。
周りの人(祖父母などは除いて)がみんな元気でいてくれたことは恵まれている。自分の運の良さを感じるとともに、看病する経験のなさを恥ずかしく思った。
でも言えるのは、今回は初めてのことだらけで、自分の食欲はなく納豆とアイスとプリンで生き延びてたし、胃腸は痛いし、ひどい有様だったけど、長期的に見れば良い経験だったのだ、ということ。


やはり自分に余裕がないと、誰かのことを助けるってできないんだな。自分ありきの他人。わかった気になっていたことを身をもって実感した。
近くにいる人からヘルプ!サインに対応できるように常に余力を残しておくこと。
表面張力状態まで頑張らないこと。
力を残しておくことは甘えや怠けではなく、それが自分のためにも周りのためにもなることなのだ。

この数日間のことは、しばらくの間忘れられない思い出になりそうだ。


✳︎追記

手がちぎれそうになりながら、持って帰った冷凍水餃子、茶碗蒸し、豆腐そうめん、プリンは、あっさりしすぎてお気に召さなかったのか、冷蔵庫に眠ったままでいる。
夜のおかずの一品として近々登場予定だ。

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