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「演技が大げさ」だと言われたときの対処法。

舞台出身の俳優は「演技が大げさ」?

「演技が大きいって言われるんです。でも小さく演じると今度はわかりづらいって言われます。一体わたしはどうしたら?」みたいな相談を、よく俳優さんから受けます。 「舞台のくせがなかなか抜けなくて困ってます」みたいにおっしゃる舞台出身の俳優さんも多いです。
たしかに「舞台の演技は遠くの席からもよく見えるように大げさに、映像の芝居はアップで撮れるので小さく」とか言われますよね。ボクも芝居を始めたころに先輩にそう習いました・・・でもそれって本当なんでしょうかね?
 
だって舞台にも「静かな演劇」とか、小さな芝居でしっかり観客を感動させるような素晴らしいものもありますよね。それって遠くの席でもちゃんと見えてるし、ちゃんと伝わってるってことじゃないですか、演技が小さくても。(いや、むしろ小さいからこそ!)
また映像でも大げさな演技の傑作映画もたくさんあるし(『ジョーカー』のホアキン・フェニックスの芝居とか大きかったですよね)、役所広司さんや阿部サダヲさん、西田敏行さんみたいに大きな芝居で大人気の映像の俳優さんもたくさんいるじゃないですか。
 
なのに現場で演出家が「演技が大げさだ!」とか「演技が小さくてわかりにくい!」とか言うのって一体なぜなんでしょう? それはおそらく、その俳優さんの芝居がシーン全体から「浮いて」いるからです。
そう、大げさな芝居はその「大きさ」が問題じゃないんです。「不自然に浮いていること」が問題なんです。

なぜ演技が不自然に浮くのか?

なぜ演技が不自然に浮いてしまうのか?・・・それはもしかしたら家で準備してきた芝居を演じてしまうからかもしれません。
 
たとえば「驚く」という芝居。
その人物が驚くのには当然理由があります。その理由は相手役のセリフや行動、あるいはシーンの状況だったり・・・それら目の前に実際にある原因に素直に反応して驚けば、その驚きの芝居はシーンにフィットするはずです。
でももしその俳優さんが目の前にある原因から目をそらして、芝居の流れと関係ない「自分がやりたい驚きの演技」を演じてしまったら?・・・その演技は確実にシーンから浮きます。
 
演技のサイズも、スピードも、声の大きさも、間も、全てがシーンから浮いた不自然な芝居・・・それが「大げさだ」だとか「小さくてわかりにくい」だったりするわけです。
だからそれを演出家が「もっと小さく」とか「もっと大きく」とか指摘して大きさを修正しようとしても、いや~これはなかなか適切なサイズにはなりませんよ。だって問題点は「大きさ」ではなくて「自分ひとりで演技してること」なんですから。
そこで演出家が強引にサイズを指定して調整しようとすると、その俳優はさらに自分の演技のことばかりを気にするようになって、余計に相手や周囲のことが見えなくなってしまいます・・・こうなったらもうこの「不自然」は修正できません。
 
なのでボクの演技ワークショップに「演技が大きい/小さいと言われる」という悩みを持って来られた俳優さんには、とにかく相手の芝居やシーンの空気に反応する芝居をやってもらいます。そうするとあら不思議。「演技の大きさ」は自然なサイズになって、芝居が浮かなくなる。
 
大きな芝居は大きいままだったり、小さな芝居は小さな芝居だったりするんですが、その不自然さは消えて無くなって、シーンから浮かなくなるんです。

大げさな演技が変に見えるのは、「表情筋」で演じてるから。

ボクがテレビ等を見ていて「大げさだなあ」と感じる俳優さんって、表情を「顔の表情筋を意図的に動かす」ことで作って演じているかたが多いです。

でもよく考えてください。我々は日常生活の中で、楽しい時に意図的に表情筋を動かして楽しい顔を作ろうとしたり、驚いたときに意図的に表情筋を動かして驚いた顔を作ろうとしてるでしょうか? いやいや。楽しいと感じたら自然に楽しい顔になるし、驚いたら自動的に驚いた顔になっちゃうってだけですよね。
 
では逆に、我々が表情筋をコントロールして笑顔とか悲しい顔を作って見せようとするのってどんな時でしょう?それは・・・ウソをつこうとしてるときですよね。

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