映画の演技史②「1930年代~2010年代の演技法の変化(前編)」
第2回です。
今回は映画における演技法の歴史・・・どんな時代にどんな演技法をマスターした俳優たちが現われて観客を魅了したのか!を、映画の演技史年表と共に一緒に見ていきましょう。
映画は時代を映す鏡。
昔の白黒映画、たとえば小津安二郎監督や成瀬巳喜男監督の映画とかを観てて、白黒映画独特の演技ってあるよなあ~と感じたことはありませんか? ありますよね、あの不思議な感じw。 でもそれは俳優の個性ではなく、だって海外の白黒映画も同じ感じですから・・・つまりあれは全世界共通の「1930年代~1950年代の演技法」の感じなのです。
そして時代別に映画をたくさん観てみると、1970年代の映画の演技はいかにも70年代風で、1980年代の映画の演技はいかにも80年代風、1990年代の映画の演技はいかにも90年代風であることに気づきます。 おそらく分2010年代の演技も今は普通のつもりでも、きっとあと20年くらいたったら「いかにも2010年代風だよね~」みたい感じるようになるのでしょうw。
新しい演技法は、新しい時代の空気をスクリーンに映すための新しい鏡です。
ある時代に鮮烈に出現した新しい演技法は観客を魅了し一世を風靡しますが、時代の変化とともに輝きを失い、そしてまた別のさらに新しい演技法にとって代わられる・・・ボクが研究した限りではその大きな変化は約15年〜20年ごとに訪れるのですが・・・たとえばメソード演技は1960年代に観客に強烈に支持され、1970年代の終わりまで圧倒的な影響力がありました。しかし1980年代に入って別の演技法が鮮烈に登場して観客の心を奪い、以降は徐々に影響力を失ってゆきました。
それはその時代の映画の演技を注意深く見ているとよくわかります。
たとえば同じ映画シリーズでも1976年の『ロッキー』と1985年の『ロッキー4/炎の友情』はまったく別の演技法で演じられているし、1972年の『ゴッドファーザー』と1990年の『ゴッドファーザーPARTⅢ』も全く別の演技法で演じられています。時代の変化と共に、映画の演技法のスタンダードが変わってきているのです。
では2010年代にも2010年代特有の演技法のスタンダードってあるのでしょうか?あります。いま映画館で公開されている多くの映画の演技は、じつは20世紀には無かったような手法で演じられています。
「映画の演技史年表:1930年代~2010年代」
今回のでびノートは、いったい演技法がどのように変化してきたのかを具体的に「映画の演技史年表:1930年代~2010年代」を見ながら、時代の流れに沿って解説してゆきたいと思います。
なおこの演技史年表はボクの座学のワークショップ「21世紀の役づくり」で参加者に配布していたものですが、今回大幅にアップデートしてnote版ということで公開することにしました。やはり年表があると演技法の歴史のながれを視覚的に把握しやすいので。
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