ワンキャリアで初めて挑戦した「エンジニアリングマネージャーのしごと」
この記事は Engineering Manager Advent Calendar 2023 シリーズ1 18日目の記事です。
昨日はjinbeeeeさんの「スタートアップで1人EMが生まれた理由・生まれてからやっていること」でした。
こんにちは、エンジニアリングマネージャーの山口(@yamat47)です。
昨年12月にワンキャリアに転職してからの一年は、エンジニアリングマネージャーとして最初の一年でもありました。初めて挑戦することだらけでわからないことも多く、なんとか走りつづけてきましたが、その分これまでのキャリアでは得られなかった様々な経験を積むことができました。
そこでこの記事では、私が実際に一年間で取り組んできたことを振り返りながら、ワンキャリアでの「エンジニアリングマネージャーのしごと」についてご紹介します。
※これ以降、エンジニアリングマネージャーのことを「EM」と省略して記します。
ワンキャリアのEMの主な役割
『エンジニアリングマネージャーのしごと』にも記載されている通り、一般的にEMは「ピープルマネジメント」「テクノロジーマネジメント」「プロジェクトマネジメント」「プロダクトマネジメント」の四つの領域に携わるとされています。
このうち、ワンキャリアのEMは特にピープルマネジメントとテクノロジーマネジメントを強く求められます。
それぞれ具体的には次のような事柄です:
ピープルマネジメント … 一般的にマネジメントと言われて想像がつく事柄たち。半年ごとに部下と目標設定をしたり、毎週部下と1on1ミーティングをしたり。
テクノロジーマネジメント … 自分がリードするチームに関わる技術的な意思決定。何でもかんでも自分が決断するというよりは、チームでの決断をうながす。
またプロジェクトマネジメントについては、ワンキャリアではEMに限らず開発チームのリーダーを務めるメンバーが担当します。私の場合は ONE CAREER の開発チームをリードしていたためチームのチケット整理やタスク管理を行なっていますが、他のチームではテックリードがこれを担っている場合もあります。
プロダクトマネジメントについては専任のプロダクトマネージャーが他にいたため、私自身の主な役割ではありませんでした。一方で要件の整理や技術的な目線での施策提案は行っており、全くやっていなかったわけでもありません。
ピープルマネジメントを中心にしながら開発チームの成果を最大化するためにできることを何でもするというのがワンキャリアのEMの役割です。
EMとしての一年間の取り組みの振り返り
大量のWIPに驚かされたチームとの初対面、Jiraのチケット整理からスタートしたフロー効率改善
私はチームのマネジメントをするときに、制約理論で紹介された「フロー効率」を強く意識しています。フロー効率とは、「みんなで一生懸命働いてリソース効率を最大にしたところで、ボトルネック以上の量の成果は出ず、チーム全体としてのアウトプットは制限されてしまう」という考え方のことです。
一方で私が入社した当時の ONE CAREER 開発チームは、リソース効率ばかりに気を取られながら活動しているような状態でした。
赤裸々に表すとこんな感じです:
チケットの整理整頓がされておらず「チームが今取り組んでいること」のリストを誰も把握していない。
いずれのチケットも個人が単独で進めており、他のメンバーがどんなことに取り組んでいるのかあまり深く知らない。
チームメンバーの数を超える量のチケットが着手中の状態になっていて、制約理論のアンチパターンを見事に踏み抜いてしまっていました。そこでまずはJiraのチケット・エピックを整理して現状を常に追跡できるようにしつつ、WIPのチケットを一つずつチーム全員で取り組むようにうながすところからはじめました。
ピープルマネジメントは前任者から引き継ぐ形でスタート、キャリア支援の面談に苦戦しつづける日々
1on1などのピープルマネジメントについては、前任のマネージャーが採用活動により注力するのにあわせてだんだんと始めていきました。元々マネジメントに興味があったこともあり通り一遍の知識は持っているつもりでしたが、いざやってみると難しいことだらけで、少しずつ引き継ぎをしていくような進め方がとてもありがたかったのを覚えています。
またワンキャリアには「CD Time (Career Development Time)」という制度があり、「自分自身が目指すキャリアと今の業務の接続を見直すための時間」を月に一度から四半期に一度くらいの頻度で取っています。これももちろんEMの仕事の一つであり、担当しているメンバーと定期的に実施していますが、いまだに自分自身の中で最も難しい仕事の一つになっています。書籍やインタビューからエンジニアならではのキャリアパスを学びながら、毎回全力でメンバーとぶつかり合っています。
唐突にやってきた「ESの達人」の企画、途中でメンバーから開発タスクを引き取ったことで一時的にマネージャー兼プレーヤーに
そんなピープルマネジメントを始めた最中、「学生の就職活動、特にエントリーシートを作るところをChatGPTを使って支援できないか?」という企画が始まりました。私自身は当初関わることはありませんでしたが、私がマネジメントしているメンバーが開発担当に任命されたということでなんとなく状況を知っている状態でした。
しかし蓋を開けてみると、OpenAI の API との連携や法務面での制約を満たすための実装など乗り越えなければならない課題が多く、スピードを出しつつ一気に開発を進めるとなると難度が高いタスクでした。当時は「他社に先駆けて最速でリリースしたいが品質も妥協したくない」という難しい状況であり、メンバーの手に負えない状況になってしまっていたこともあり自分自身が開発を引き受けることに。
そこからは
マネージャーとして … プロジェクトやエンジニアリングのマネジメントを変わらず進める
プレーヤーとして … ChatGPT を使った新機能の開発を最速で進める
という、二足の草鞋を履いた状態での業務がしばらく続いてしまいました。今思い返しても(自分の体への負担がやや大きかったこと以外は)悪くない選択だったと考えていますが、次回はメンバーから開発を引き取らずに後方支援をより厚くしつつ、最終的なゴール(リリース)まで伴走したいと思っています。
ちなみに、開発していた機能は「ESの達人」として無事にリリースされました。このサービスはリリース1ヶ月後には10,000人の方に使っていただき、開発者としてとてもありがたいと感じております。企画から開発の様子を PdM とともにインタビューしていただいた記事もありますので、よろしければご覧ください。
夏頃からは新卒・中途問わずエンジニア採用にも本格参加
これはEMの業務と直接は関係ありませんが、夏頃からエンジニアの新規採用にも本格的に参加するようになりました。具体的には中途向けのカジュアル面談を担当したり、新卒向けの採用イベントで講師をしたり、短期のインターンシップのメンターを務めたり。日常で行う業務が純粋に増えた形だったので、これまで以上に勤務時間に注意をしたり業務の効率化を進めたのを覚えています。
余談ですが、EMとしてピープルマネジメントだったりプロジェクトマネジメントだったりに日々取り組んでいると、カジュアル面談などで自社の紹介をするときの話の解像度が上がっていくのを感じます。前職でもたびたびカジュアル面談に出ていましたが、特にキャリアの話(マネジメント体制やキャリアラダーなど)は普段自分が行っていることを伝えることもあり、詳しくお伝えできるなと実感しています。これに加えて、
リファラル採用も含めて求職者の方に心から薦められるような組織・チームを作る
いい組織になりつつあるからこそ新しい方にジョインいただけるよう採用活動に注力する
という相乗効果が自分の中に生まれていると感じます。これもエンジニア組織の改善に強く携わるEMが採用活動に参加することの大きなメリットですね。
カンファレンスの登壇に挑戦するメンバーに伴走し、発表内容の壁打ちから発表練習まで支援
2022年に引き続き、ワンキャリアの開発組織全体での開発生産性の改善を評価していただいたことで Findy Team+ Award という賞を受賞することができました。生産性の数値改善に関する部門だけでなく優れたプラクティスを実践した企業に贈られる部門でも受賞させていただき、こちらについて事例紹介のプレゼンテーションをする機会をいただきました。
社内で開発生産性の改善について取り組んでいたのがちょうど私がマネジメントしていたメンバーであり、「ぜひ登壇に挑戦してみたい!」ということで、発表内容の壁打ちから直前の発表練習まで様々な支援をしました。自分が登壇をする機会ももちろん貴重ですが登壇の支援をする機会も同様に貴重で、勇気を出して挑戦してくださった宇田川さんにはとても感謝しています。
まとめ
EMとしての最初の一年間を経ての感想
振り返ってみて最初に思ったことは「もともとの予想通り、様々な領域に挑戦して課題解決に挑戦したな」ということでした。『エンジニアリングマネージャーのしごと』を読んだのはワンキャリアで働きはじめる直前でしたが、書籍にあったとおり出会う課題の種類は多岐に渡っていて、どれもが一筋縄ではいかずなんだか難しいことに挑戦しはじめてしまったんだなと...。
その上で、改めてこのアウトプットの方程式の重要性に気づかされています。
自分自身が直接出した成果ももちろんありますが、それよりもチームのアウトプットの方が何倍も大きいです。また、仕組みを整えたりベストプラクティスを伝えたりして他のチームに影響を与えられたときはそのさらに何倍も大きいアウトプットが生まれます。これこそがマネジメントの醍醐味ですし、それを自分が得意なエンジニアリングを舞台に挑戦できるのはEMならではですね。改めて、EMに挑戦してみてよかったなと心の底から思っています。
ワンキャリアでEMに挑戦する醍醐味
ここまで記した通り、ワンキャリアのEMは決してピープルマネジメントに閉じずにさまざまなことに挑戦する機会に巡り会えます。私の場合はプロジェクトマネジメントや採用に時間を多く使う一年でしたが、他のEMの中にはプロダクトマネージャーとともに次のニーズの探索をしたり、HRBPのように組織戦略の検討・テコ入れをしているメンバーもいます。
また全社としてミドルマネジメントの育成に力を入れており、マネージャー向けの研修がとても充実しているのも特徴です。取締役自ら資料を作りその解説をしたり、ワークショップを通じて自身の次の成長点を見つける機会があったりと、自分一人ではできない成長曲線を描けていると感じています。
最後に
冒頭でお伝えした通り、ピープルマネジメントを中心にしながら開発チームの成果を最大化するためにできることを何でもするというのがワンキャリアのEMの役割です。その上で、そのための様々な支援(研修、フィードバック、ツール)を会社から受けられるのは私にとって嬉しいサプライズでした。
ワンキャリアでは拡大するエンジニア組織を支えるエンジニアリングマネージャーを大募集中です。少しでも興味を持ってくださった皆様、ぜひカジュアル面談でお話をしましょう!
▼ワンキャリアのエンジニア組織のことを知りたい方はまずこちら
▼カジュアル面談を希望の方はこちら
▼エンジニア求人票