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それぞれの目線で見えるコロナ

コロナも少し落ち着いたかの様に見えるベルリンですが、実はまた感染者が増加傾向にあってニュースサイトなんかでは「ベルリン赤信号」とか書かれていたり。電車など公共交通機関ではマスクの着用が義務付けられていて、していなかったら50〜500ユーロの罰金!なんていうニュースはみていたけれど、実際誰が取り締まってるのか?と思っていたら昨日ついに「マスクコントロール」をしている人に会った。

車内でマスクをしていない人にマスクをすぐに着用するように促し、するまで見張っている。持っていない場合は罰金と引き換えに使い捨てマスクがもらえるらしい。私と同じ車両に乗っていてマスクをしていなかった若いお兄さん。声をかけられて、マスクを持っていなかったけれど着替えとして持っていたらしいTシャツをぐるぐると顔に巻きつけて鼻と口を覆ったら「オッケー!」と言われていた。

とりあえず覆っていれば良いっていうことのようだ。

個人的には「マスクの効能とは…」みたいなことを考えてしまうけど、ベルリンのルールの上で生きているベルリン市民がそれで良いというのなら良いのでしょう。笑

さておき、最近はネット上でいろんな人が「コロナ時に国が行った対策」や自分がみた「コロナの景色」を書き残しているのを見かける。私は人の書いたものを見て「へぇ」と思うことはあっても「反感」みたいな気持ちになることはない。が、そういった他人の書き記す「コロナの景色」を読んで色々と「そんなことはなかった」「情報が間違っている」などの反論も飛び交っていてなかなか居心地が悪い。

ニュース記事なんかで情報が間違っているのは困るけれど、個人的に書いているブログやツイッターなんかの情報が多少間違っていても「覚え間違い」「勘違い」っていうことだと思うし「そんなことはなかった」というのはその人の目線で見た景色であって、発言者の見た景色は「そう」だったんでしょうよ、と思う。

私はベルリンの中心部にずっと住んでいたけれど、少し離れた場所に引越しをした。そこでコロナの自粛期間を過ごしてわかったことは、中心部と私が住んでいる場所ではあまりにも環境が違いすぎるということ。住んでいる住民の年齢層も違うし、中心部と比べたら住民の数がそもそも違う。

一つ気になったのは、ベルリンに住んでいる誰かが「コロナの自粛期間でもとても穏やかだった」「公園でもみんなソーシャルディスタンスを保っていた」と書いていた。しかし「は?」というような反論者もいた。私はどちらも間違っていないと思うけれど、きっと住んでいる場所は同じ市内でも大きく離れているんじゃないかな〜と思ってそれを見ていた。

私も中心部に住んでいた時は徒歩5分圏内になんでもあった。スーパーもレストランもおしゃれなカフェも、花屋もH&Mも古着屋も映画館も、電車の駅も有名なパン屋も。ついでに隣の住民はミュージシャンで朝4時までパーティーをやり、DJやライブをしていた。さすがに一睡もできず、怒りに任せて警察に通報したこともある(10分で来て解決してくれた)。毎晩アパートの前の大通りを救急車が通り、その度に目が覚めるほどの大きなサイレンがなっていた。

しかし、今住んでいる場所は街自体がこじんまりとしているし、スーパーは十分にあるけれどおしゃれなカフェは1件しかない。可もなく不可もない程度のパン屋があり、観光地もない。幼稚園が徒歩圏内に3つもある子供が多い地域でお年寄りも多いせいか「酔った若者」には会ったことがない。近所のビアガーデンは土日休みだし。

つまり、ベルリンと一言で言っても(他の場所、国もそうだと思うけれど)全然印象が違うのだということ。だから、きっと誰かが見た穏やかなベルリンは本当に存在するし、誰かが見たコロナ禍でもパーティ騒ぎをするベルリンも本当の姿であるということ。

私がこのコロナで気づいたことは、同じ場所にいてもみんな全然違う目線で街を見ているんだという事実。きっと子供の有無や性別、年齢によっても見えるものが全然違うのだろうと思う。私はあまりクラブで遊ぶことはしないけれど、クラブが大好きな人たちにとっては今のベルリンは「死んでいる」も同然だろうと思う。

私はコロナの期間、コロナを恐るあまりスーパーマーケットに行く以外の外出をほとんどしなかった。散歩すらせず、せっせとコロナシュペック(いわゆるコロナ太りのことをドイツではこう呼んでいる。ちなみにシュペックとはベーコンのこと笑)をため込んでいたために「コロナ禍のベルリンがどうだったか」を語るほど街を見ていなかったので振り返ることもなかなか困難なのだけれど。中心部へ行く電車はきっちり2ヶ月乗らなかったし、仕事の時は仲間に自家用車で送り迎えしてもらっていた。今となっては、静まりかえったベルリンの中心部をもっとよく見ておけば良かったかもしれないと思うけれど、それはまぁ誰かの記憶をシェアしてもらおう。

何が言いたいかというと、自分は誰かの目線を否定したり叩いたりするのではなく、新しい見え方を教えてもらったと思える人間になりたいな〜ということ。コロナに限らず。

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