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タジキスタンの魅力 観光よりも冒険を欲する人へ
【イントロ】
現代の有り余るほどのインターネットの
情報と引き換えに失ってしまったものがあります。
それは、Unpredictability=不確実性だと思います。
旅の中でも同じことが言えるのではないでしょうか。
オンラインで事前に得られる情報が増えた昨今において、
行きたいところに確実に到着し、
想定されたことができるようになりました。
旅で確実性が担保されるのは本当に素晴らしいことです。
私もその恩恵を受けています。
しかし、少しだけ残念なのが、
得られる情報が多ければ多いほど、
確実性が増えていき、偶発性が減っていきます。
でも、そんな便利な情報がなかったらどうするでしょうか。
「行きたい場所」に行くための確実な事前情報がほとんどない。
そもそも定期的な交通網があるのか疑わしい。
不確実性の高く、何が起こるかが分からない。
不確実性がある=何が起こるか分からない。
そこには何があるのか?
冒険です!!!!!!
まだ、冒険ができる国があります。
そんな国がタジキスタンです。
ということで、今回紹介するのは、タジキスタンです。
2023年に入ってからいよいよビザなし入国が
可能になった国です。
世界中の旅人を魅了する広大な自然と文化を持ちながらも、
(いい意味で)観光化されていないことから、
情報が少ない(=冒険要素が多い)国です。
情報がなく、
飲み水がなく、
公共交通機関の予定表がなく、
でも、
地平線まで広がる広大な絶景があり、
温泉があり、
甘いメロンあり、
旅人と現地人の人情がありました。
本記事では、
タジキスタン、特に、
高難易度パミール高原とワハン回廊の魅力を紹介していきます。
なお、今回は、
具体的な行き方や公共交通機関、事務的な諸手続きなどは
触れないようにしておきます。
ネタバレをしないようにするためです。
これらは別の記事で書いていきます。
ツアーに参加したわけではなく、
自力で行ったということもあり、
全ての箇所を回ったわけではありません。
それでも「本当に行って良かった」と心から思いました。
オンラインの事前情報がなく、体力的/精神的に苦しい旅の中で、
「人」との巡り合わせに恵まれたり、
息をのむ絶景に巡り会えたりしたことが、
そう感じさせるのでしょう。
ツアーなしでのタジキスタンと
そのパミール高原/ワカン回廊は険しいです。
何度もお伝えしたようにネットの事前情報や
定期的な交通網がほとんどありません。
だからこそ、不確実要素が豊富な
冒険をしてみたい人にこの記事はおすすめかもしれません。
また、
中央アジアやタジキスタンに興味がある方、
タジキスタンに行ってみたい方、
世界一周や観光が好きな方、
絶景を見たい/写真におさめたい方、
何が起こるか分からない(Unpredictable)旅をしたい方
次の夏の予定が空いている方
などに楽しめる内容かと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1702970690000-CVaIQQvl0O.jpg?width=800)
【タジキスタンのざっくりな紹介】
天山山脈とパミール山脈に挟まれた
国土の半分以上が3000Mを超える高山国です。
北にキルギスタン、西にキルギスタン、
東に中国、南にアフガニスタンに国境を接しています。
夏は30°を超える時期がありますが、
からっとした気候です。
一方で、高山地域では真夏でも一桁に気温が落ちます。
冬は-20°を下回り、人々は厳しい冬を過ごします。
言語面で非常に多様な国です。
公用語はタジク語です。
中央アジアの言語がトルコ語系列にある一方で、
タジク語はペルシャ語などのインド・ヨーロッパ語圏にあります。
タジク語だけではなく、ソ連の時代を経ていることから、
アドミニやビジネスの面でロシア語が用いられます。
また、タジキスタンの南東に位置するパミール高原や
パミール高原やワハン回廊、タジキスタン東部では、
様々な少数言語があります。
それぞれの民族意識や利害関係に基づいて、
呼び名は変わります。
特に私が長く滞在できたワカン回廊では、
ワカン語(Ваханский:ワカンスキー)が
地元住民に話されていました。
一方で外部から来た人とはタジク語かロシア語で
話していました。
一つの国の中で様々な言語が話されています。
基本的な信仰の拠り所はイスラム教です。
しかし、イスラム教にも派閥やグラデーションがあり、
一括りにはできません。
タジキスタンの首都や北側がスンニ派が多数です。
一方で、パミール高原やワカン回廊を含む
首都から見て東側で自治が認められている
ゴルノ・バタフシャン自治州
(Gorno-Badakhshan Autonomous Oblast)では、
シーア派が強い勢力を誇っています。
加えて、この自治州の中では土着の
ゾロアスター教の信仰も受け継がれています。
この信仰の違いの裏にある派閥が、
民族意識や言語、過去の内戦と絡み合い、
同じ国の中でも、
「タジク人」とは違ったアイデンティティを
持つ人々もいます。
例えば、ゴルノ・バタフシャン自治州
(Gorno-Badakhshan Autonomous Oblast)の中にある
パミール高原で
私がヒッチハイクの際に拾ってくれた方は、
シーア派十二イマームを信仰する自身を「パミリ(パミール人)」
と自称していました。
また、私が宿泊したワカン回廊では、
シーア派、ワカン語話者で、自身を「ワカン人」である
と名乗っていました。
タジキスタンという国民国家の中に、
必ずしも自身を「タジキスタン人」と呼称するが
全てではないのです。
一つの国の中でも、
地理的特徴、言語、宗教、民族意識などの違いが織りなす
文化の違いがあり、非常に興味深い場所です。
【タジキスタンの見どころ】
私が訪れた地域は、
ワハン回廊、パミール高原、
首都ドゥシャンベといった南側と東側が中心です。
タジキスタン北側は通過した程度です。
全てを見て回ったわけではないので、
タジキスタンの全てを網羅したわけではありませんが、
下記のスポットは本当におすすめです。
ワハン回廊(Wakhan Corridor)
![](https://assets.st-note.com/img/1702968250574-pwrNik51ec.jpg?width=800)
アフガニスタン北東部から飛び出た細長い領土です。
南下するロシアとそれに対峙するイギリスが
緩衝地帯として定めた地域でもあります。
この地域に住んでいた住民たちは、
20世紀のこの帝国主義の争いの中で、
アフガニスタンとタジキスタンに
分断されてしまいました。
また、キルギス系の祖先を持つ人々は、
この回廊で羊を飼いながらノマド生活を送っています。
遥か昔は、この回廊はシルクロードの経由地でもあり、
多くの商人がここを行き来していたそうです。
マルコポーロもおそらくこの回廊を通ったとされています。
その人流に応じて、この回廊には
宿泊施設や見張り台、城壁などが建ち並んでいたそうです。
断崖絶壁の谷と、轟音を響かせ流れる川の風景は絶景です。
加えて、対岸では
家屋や畑、水辺で遊ぶ家族など、
アフガニスタンの田舎の生活を見ることができます。
温泉(ビビファティマ、ガラム・カシュマ、ローカル温泉など)
![](https://assets.st-note.com/img/1702968344928-0gpQG1cGQj.jpg?width=800)
パミール高原は温泉の聖地です!!
地元の人々が訪れるローカル風呂から
タジキスタン中から観光客が集まる秘湯まで、
様々な温泉が点在しています。
特に、タジキスタンでも人気の秘湯である
ビビファティマ(Bibi Fatima :預言者の娘)はオススメです。
幸運や多産、安産などの効用があると信じられ、
タジキスタンの様々な地域から観光客が集まります。
温泉の中にある人が一人入れるくらいの穴に入り、
そこに沈む小石を拾って持っておくと、
幸運が訪れるらしい。
![](https://assets.st-note.com/img/1702970475183-fSfDNVZczg.jpg?width=800)
3人がかりの力を借りて入れました。
その時から確かに幸福です。
ヤムチュン要塞
![](https://assets.st-note.com/img/1702968396680-2JpOS6Z2oG.jpg?width=800)
クシャーン朝(45年〜3世紀中葉)により建設されたとされる
城壁の一部です。
行き交う商人たちの保護を名目に建てられました。
特にこのヤムチュン要塞の保存状態が良く、
当時の石造りの建築模様が伺えます。
城壁から眺めは、当時栄えたシルクロードの険しさと美しさを
見せてくれます。
パミールハイウェイ
![](https://assets.st-note.com/img/1702968497648-nFJ19fRmZl.jpg?width=800)
1200KM以上に及ぶアフガニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、
キルギスをまたぐ道路です。
パミールハイウェイは通称名であり、正式名称はM41です。
このハイウェイの制覇を目指して、
世界中から自転車、バイク、車を引き連れた
観光客が来ます。
タジキスタンに来たら、
首都からホログ(Khorog)へ、
ホログから真東に向かいムルガブ(Murghab)へ
北に逸れてキルギスのオシュに向かうのが
メジャーな経路です。
ツアーなどに参加した場合には、
ワハン回廊を経由することもあります。
タジキスタン内にあるパミールハイウェイは
自然の広大さのスケールが格別です。
見渡す限りに、高山と高原と一本の道路が織りなす
寂しさと美しさが忘れられません。
エンゲレスピーク草原(Engels Peak Meadow)
![](https://assets.st-note.com/img/1702968612817-18y78LHKYx.jpg?width=800)
6500Mの標高を誇るエンゲレスピークを
正面から迎え入れるように広けた草原があります。
ロンガールという村から4−5時間片道のデイハイクで
行ける距離でありながら、
パミール山脈の絶景を楽しむことができます。
その地に住む羊飼いや牛飼いに会うこともできます。
水源があるため、この草原を起点に、
登山家たちは6000M級の山に挑戦していきます。
パミールの高山に挑戦したい方は、
是非、この草原に行ってみてください!!
塩湖
![](https://assets.st-note.com/img/1702969129440-VRFabyX0GK.jpg?width=800)
パミール高原の
標高3000Mを超える場所には塩湖が点在しています。
カラコル塩湖を筆頭に、
パミールハイウェイを走っていれば、
数々の塩湖に遭遇するはずです。
それも高塩度と高標高のため、生命が湖の中で生きることができません。
そのため「死の湖」と喩えられる場所もあります。
年々水量が減ってきているため、
なるべき早く見に行ったほうがいいと地元の人が言っていました。
インターネット上の情報の少なさ
この要素があるから、タジキスタンは面白い!!
交通網の時間と価格、
どれくらい国内に滞在できるのか、
宿の価格、といった
私たちが享受しているインターネットの情報が
ほとんどありません。
そうなると、現地の人々や出会った旅行者といった、
オフラインな(物理的に人から聞いた)情報が必要になります。
このおかげで現地で
いろいろな人と知り合えたり、
お家に招待されたり、
といった様々な偶発的なことが発生します。
![](https://assets.st-note.com/img/1702969188984-8olSwJW7zH.jpg?width=800)
ポロフは手で食べように指導をいただきました。
交通の不便さ
この要素も旅を冒険に変えるには必須な要素ですよね。
首都から離れると、
会社などが運営する定期的なバスは皆無です。
決まった時間に決まった価格はないと思ったほうがいいかもしれません。
また、公共交通機関を使う場合は、度胸と体力が必要です。
道路状況も非常に悪いです。
加えて、極限まで乗客を詰め込んでからではないと出発しません。
そのため、10時間以上にも及ぶ、お尻を酷使する眠れない夜を
過ごすこともあります。
そんな困難な状況だからこそ、
現地の人と繋がる機会もありますよ!!
![](https://assets.st-note.com/img/1702969536493-bLh8UMie6b.jpg?width=800)
知らない人同士でこの車を押したのが懐かしい。
人々の優しさ
インターネットの情報が少なく、
交通インフラも整っていない場所だからこそ、
本当に現地の人々の助けが頼りになることがあります。
不便だからこそ、人と否が応でも関わる必要があります。
もちろん、世界中どこに行っても、
いい人(助けの手を差し伸べてくれる人、素敵な人)も
わるい人(危害を加える人)もいます。
でも、タジキスタンを旅をして思ったのが、
素敵な人、手を差し伸べてくれる人のほうが、
少し多いということです。
オフラインで直接的な人々の関係に触れるからこそ、
人々の優しさがみじかに感じられます。
![](https://assets.st-note.com/img/1702969609981-lOTuneEHEV.jpg?width=800)
メロンとスイカ
![](https://assets.st-note.com/img/1702970578992-jfkKqhq95m.jpg?width=800)
発狂するくらい美味しいです。
そしてデカいし安い。
1歳の赤ちゃんくらいのサイズで
200円以下で売られています。
直売所が目に入ったら、
バスの運転手も車を停めて、業務そっちのけで買うくらいです。
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んで、
タジキスタンに行ってみたいと思った方がいたら幸いです。
一方で、ハードルが高いと思う方もいるかもしれません。
そんな方も安心してください。
ツアーがあります。
もしも、自力で行くのが不安な方は、
ツアー会社に話を聞いてみましょう。
今後は
具体的に【タジキスタンの見どころ】で
書いた場所の行き方などを書いていこうと思います。
ネタバレが嫌な方、冒険を楽しみたい方は
今後のタジキスタン編は読まない方がいいと思います。
一方で、石橋を叩いて渡り方は、
是非、読んでみてください。
それでは、また次回の記事で!!
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