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肥後花しょうぶ@松濱軒

こんにちは。松濱軒の肥後花菖蒲が見頃との情報を得たので、先週末に行って参りました!松濱軒は、熊本県八代市にある国指定の名勝で、元禄元年(1688)に八代城主・松井直之が母崇芳院の為に建てた御茶屋です。四季折々に花が咲く美しい庭園があり、特に5月下旬〜6月上旬に咲く肥後花菖蒲が有名です。

肥後六花と肥後花菖蒲について

まず最初に、肥後六花と肥後花菖蒲の説明をさせて頂きます。肥後六花(ひごろっか)は、肥後椿(ひごつばき)、肥後芍薬(ひごしゃくやく)、肥後花菖蒲(ひごはなしょうぶ)、肥後朝顔(ひごあさがお)、肥後菊(ひごぎく)、肥後山茶花(ひごさざんか)の6種の花の総称になります。

【肥後六花について】

肥後六花の歴史は古く、いまから250年ほど前の、江戸時代までさかのぼります。熊本藩のお殿様、六代藩主・細川重賢公が、家臣(武士たち)の精神修養に園芸を奨励したことに始まったといわれています。
 六花に共通する特徴としては、「端正な一重咲きで優美な花芯、清らかな色」 であることです。
「花連」と称する肥後六花それぞれの保存団体の厳しい規律と武士の誇りのもと、苗と種は「門外不出」の宝として厳しく守り継がれてきています。肥後六花の栽培方法や鑑賞方法は、それぞれに独自の作法が伝わっています。「肥後六花」は、先人たちが守り伝えた美と修練の結晶です。季節ごとに美しく咲き誇る花々からは、昔の人たちの思いを感じることができます。

熊本県ホームページ

肥後花菖蒲について】

肥後花菖蒲の起源は、江戸の旗本に松平定朝(松平左金五、菖翁)という者がおり野生種から優れた栽培品種を作り出していた。熊本藩主の細川斎護がその花菖蒲を譲って貰えないかと打診したものの、菖翁は大名からの頼みを断った。これを、藩士の吉田可智(閏之助)が、江戸勤番の際に菖翁に弟子入りし、1833年(天保4年)にようやく「門外不出とする、熊本で良い花ができたら江戸に送る」という約束で譲り受けた5品種が、肥後花菖蒲の起源である。以来、吉田可智、弟の山﨑貞房の努力で愛植者が増え、のち満月会を結成し、その流れが今日に引き継がれている。
         保存団体:熊本花菖蒲満月会

水前寺成趣園出水神社 肥後六花リーフレット

松濱軒では特に肥後花菖蒲展のようなものが開催されている訳ではなく、昔からお庭に地植えされているものだそうですので、今回は花菖蒲と松濱軒及び庭園を項目で分けることなく、一緒に一体の風景としてご紹介していきたいと思います❣️それでは早速、散策実況形式で行ってみましょう🏃‍♀️

松濱軒と肥後花菖蒲が織りなす風景

松濱軒専用駐車場(無料)に車を停めます。正午頃着いたのですが、花菖蒲が見頃の週末とあって、さすがに車は多めです。

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いきなりトイレの写真ですみません↓ が駐車場併設のトイレ、リアルなまこ壁漆喰塗です❗️贅沢

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因みに駐車場の斜め道向かいには、立派なお堀と石垣の八代城址↓ 

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周辺には八代市役所や裁判所などがあり、この周辺が今も八代市の中心のようです。八代市街は私も初めて訪れましたが綺麗な街です✨では、駐車場から出て右折して、松濱軒に向かいましょう👟

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交差点の向こうのなまこ壁の建物周辺敷地が松濱軒です。

花菖蒲が見頃ですって書いてありますね😆早速門から中に入りましょう!ドキドキ💓

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趣のある武家屋敷の風情ですね〜😲✨入り口前に案内板があります💡いつものように松濱軒の詳しい説明を案内板から引用しますね↓

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松濱軒は、元禄元年(1688)、八代城主三代松井直之が、母の崇芳院尼のために建立した茶庭です。当時は、松波越しに八代海・宇土半島、さらに遥か雲仙を望む雄大な眺望の庭園で、松濱軒の名前もこれに由来しています。
 伸びやかな池には配石が見られ、西寄りの赤女池周辺に石組みが施された築山を座敷から眺める、奥行きのある景色を形成しています。
 また、南寄りには茶庭に繋がる池に八ツ橋が架けられ、絵画の題材を想起させます。池の東よりの中心となる中島の一部には、桂離宮天橋立の景色に似た州浜部が見事に造形されていて、大名庭園として変化に富んだ風情を形成しており、当時の形状を良く今に伝えています。
 このように、雄大な海と遥かな山岳の景色を取り込んだ意匠を持つ、江戸時代初期の大名庭園として良好に保存されていて貴重であり、平成14年に国の名勝に指定されました。

松濱軒の建物について詳しく解説した案内板もありましたので、ご興味のある方はご覧下さい↓

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それでは受付入り口から中に入って、回遊式庭園を時計回りに歩きながら、美しい景色を写真でご紹介していきたいと思います。(入場料500円)

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この受付が入る建物は、昔は馬小屋だったそう。

中に入るとまず目に入るのが、池に咲く満開の肥後花菖蒲❣️池にはスイレンの花も咲いていて、日本の初夏を代表するような美しい風景ですね✨

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よく見ると、色の濃淡が異なる花菖蒲が3種類ほどあるようです。今までの肥後六花の様に、ひとつひとつ雅な品種名が付いているのかと思ったのですが、細かい品種についての解説はなく、近くにいらっしゃったガイドさんに尋ねてみたのですが、詳細分かりませんでしたので、以下ひっくるめて肥後花菖蒲として写真でご紹介しますね。

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一番淡い色の肥後花菖蒲
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中間色の肥後花菖蒲
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一番濃い色の肥後花菖蒲

一通り肥後花菖蒲をご紹介したところで、これから回遊式庭園を時計回りに歩き、美しい風景を写真でご紹介していきますね。今回はガイドさんに案内して頂き、色々解説して頂いたので、一人では得られない情報も聞くことができて有意義な散策でした☺️(解説や感想はキャプションに入れていきます。)

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まずは松濱軒の全景
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ベンチ上の御挨拶看板。こういうのいいですね。
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少しずつ改修はしていても、基本江戸時代のガラスだそうです。江戸時代もこんなに豊富にガラス窓あったんだ!
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北側に出っ張っている白菊の間。ここからのお庭の眺めが一番らしい。
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白菊の間からのお庭の眺望。かつては遠景に雲仙を望むことができたそう。
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ガイドさんから見せて頂いた昔の松濱軒と八代城の図。画面上が八代海。現在は干拓が進んで八代海はだいぶ遠くなっています。白菊の間からの眺めは画面上方向かな?
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松濱軒から石橋を渡ると見える南側奥の建物。こちらには今でも松井家の方が居住されているそう。
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一枚岩から切り出した石橋を渡って松濱軒を振り返る。
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松井家住居とお茶室の前は、伊勢物語にちなんだ八ツ橋がかかるかきつばた園。
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かきつばたもとっても綺麗ですね。
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西側にある築山方面へ向かいます。向こう岸ではお茶がふるまわれています。(有料)
鯉もいます。
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築山の上?にある東屋。奥に見える倉庫は昔お城で花火を作っていた建物を移築したものだそうで、ガイドさんから倉庫の裏側を見せて頂きました。
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倉庫の裏側。風情のある堀。昔は船でここから海に漕ぎ出していたそう。
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堀からの倉庫の眺め。ガイドさんは柳川みたいでしょう?と言われてましたが、私は中国の水郷・蘇州を思い浮かべました。
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散策ルートの西の端から、入り口に向かって戻ります。
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こちら側からの松濱軒の眺めもいいですね〜!
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お茶がふるまわれているエリアから石橋を渡ったら、一周して受付前の広場に戻ります。散策お疲れ様でした!

あとがき

松濱軒は私も初めて訪れたのですが、松濱軒と肥後花菖蒲の織りなす風景は、全国にも誇れる日本の初夏の風景じゃないかと感じました✨

ここで少し、松濱軒を建てた松井家についてご説明したいと思います。江戸時代の松井家は、筆頭家老として代々肥後細川藩主に仕えました。二代目興長(現地案内板によると、筆頭家老かつ将軍直臣の身分だったそう)が八代城主に任ぜられ、3万石の領地を与えられてから、明治に至るまで松井家が代々八代を治めたそうです。熊本藩には熊本城があるじゃない?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、熊本藩は、南の島津からの防御の為に、特別に一国二城体制が認められていたそうです。 ※八代市の位置はここ↓

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八代妙見祭保存振興会パンフレットより画像引用

最後に、菊池散策の記事をお読み頂いている皆様へ:八代城は明治に廃城になり、今はお城の建物は無いのですが、跡地には八代宮という神社が建っており、八代宮の祭神はなんと懐良親王でした😳八代は、懐良親王が肥後入りの際に海路で上陸し暫く滞在した都市であり、懐良親王の宮内庁指定の陵墓もあります。そして南朝末期には九州南朝の最後の砦となった都市なので、九州南朝関連の史跡もたくさんあるようです。八代は肥後における南朝西征府の始まりと終わりの都市ですね💡これは散策せねば❗️取り敢えず、八代宮は散策して写真も撮ってきたので、菊池のレポートが終わったら、八代宮(八代城址)のレポート記事を書こうかなぁと思っています。(まだ未定ですが)

最後までお読み頂き、ありがとうございました😊

【参考文献】

・熊本県公式観光サイト
(アクセス情報もこちらから)
https://kumamoto.guide/spots/detail/11754

・Wikipedia

・熊本県HP 熊本の貴重な宝「肥後六花」
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/64400.pdf

【引用資料】

出水神社発行 肥後六花リーフレット

八代妙見祭保存振興会パンフレット


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