決算書が読めない_本

僕でもわかる決算書・分析編(前半):決算書が読めない社員はいらない

お金とか難しい仕組みは苦手です。苦手だからデザインの業界に進んだくらいです。ですが、仕事をするうえではデザインでもお金は避けては通れないので、懲りずに読んでみることにしました。

ちなみにタイトルは厳しい感じですが、内容は読めない人に向けて同じ目線で分かりやすく教えてくれるやさしい本なので、ご安心を。

決算書が読めない社員はいらない
木村俊治
クロスメディア・パブリッシング 2012.12

これまでもいくつか会計系の本は読んで紹介しました。特に最近の本は面白く興味を持たせるために色々な工夫をしているのが伝わります。この本なんかは財務三表のことを身体に例えて、少しでも具体的にイメージできる、とても分かりやすい内容だと思います。

でも、それでも身につかないものです。身につかない理由は明らかで、日々の習慣につながっていないから。いくら勉強しても使わないと意味がない。実は僕、数年前に簿記検定3級の資格を取ったんです。だけど、今はほとんど忘れてしまっています。

さすがに効率が悪いので、今回は僕のような人でも見につく方法論を紹介したいと思い、2回に分けて紹介します。前半は分からなく興味を持てない要因を見つけて整理してみます。後半は実践編で、どうやったら興味をもって最初の壁を超えられるか、という内容で紹介します。


この本について

まずは『決算書が読めない社員はいらない』の本を簡単にご紹介します。大きな構成としては、前半がそれぞれの会計表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)や、それぞれの項目に対する解説、後半が読み方や実例をもとにした解説となっています。分かりやすく平易な説明で、簡単な足し算と引き算や、数値の比較だけで見ていける内容となっています。

会計系の本は、1つづつ会計項目を積み上げて学ぶスタイルが多いのですが、この本は全体観から大項目を中心に捉えて説明しているので、おおまかに理解できるのがとても良い点だと思います。

分からない人のレベルはこんなにも低いぞ

さて、こういった専門知識の解説書でつまずくのはどういった点にあるのか。僕は自分なりに気づいたことが3つあります。

その1. 専門用語を説明するための専門用語

人は一度のダメージなら立ち上がれますが、立て続けに受けると立ち上がる気力がなくなります。その典型例が専門用語の連続攻撃です。例えば、

・売上総利益とは売上高から売上原価を引いた利益です
・売掛金:販売などの通常の営業取引で発生する営業上の未回収の代金

これだけでもう連続コンボで、読む気力が吸い取られてしまいます。

はじめの言葉が分からないのにそれを説明するための言葉もわからない、それだけで離脱していまいます。会計はどうしても専門用語が出てきますが、これを知らないでも数字が読めるならば避けたいと思ってしまうものです。

その2. 数字の意味合いが分からない

1,000,000がいくらなのか?僕は桁を1つずつ数えるタイプの人間ですし、3桁ごとのカンマは日本人にはピンとこないし、100万円って書いてほしいくらいです。

あと会社が扱う金額が大きすぎて、その項目において100万円が大きいのか小さいのか、イメージがぜんぜんつかめません。グラフのパラメーターで表してくれるとありがたいんだけど、と思います。

その3. 暗黙の了解ルールがある

財務諸表の構成は一見簡単なように見えて、実は隠れたルールがいっぱいあります。例えば、下の項目、どれが小項目でどれが中項目かわかりますか?

他にも例えば△はマイナスだとか、会計の人は「そんなの基本でしょ...」と思うでしょうけど、それが僕の様な人には分からないものです。こうした細かい引っかかりが挫折につながってしまいます。


結局知りたいのは「いいのか悪いのか」

これらを踏まえて、思ったことです。

決算書を読むうえで財務諸表すべての項目を拾う必要はない。ということで、大項目と一部の中項目のみをもとに、こんな表でつくってみました。

ポイントは情報量を削ったことと、大項目と中・小項目を分けて書いたことです。会計簿記としては正しい表記ではないかもですが、素人にはこのくらいの構成にしてくれた方がありがたいです。

さらには、専門会でなければ個々の項目の意味をしっかりと知る必要もないのでは?と。会計の人に対してメチャクチャなこと言っている気もしますが(スミマセン)、僕のような素人が知りたいことは、決算書を通した会社の経営状態で結果のほうです。結局のところその数字が良いのか悪いのかが分かれば個々の意味は後回しでも、入り口としては十分ではと思っています。(完全な私見です)

・・・・・

前半編は学習(というか学習のスタートラインに立つための自己理解)を整理してみましたが、きっと僕のようなレベルの人は多いはずです。後半編ではこの現状をもとに、デザインストラテジストとして、「どうすれば敷居が低く興味持って試してみたくなるか」ということをテーマに、小学生でも楽しめそうなメソッドとツールを考えてみましたので、後半ではそれをご紹介したいと思います。

お楽しみに。


デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。