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はじめての正社員デザイナー、想像とは違った環境でも続けるべき? 〈#デザイナーのお悩み相談〉No.001

こんにちは、スズキアユミです。さっそくご相談のお手紙を頂きました。ありがとうございます。今回お手紙をくださったのは、初めて正社員のWebデザイナーとして働き始めたという25歳のデザイナーさん。想像とは違った環境で、続けるべきかどうか悩んでいるのだそうです。

頂いた内容を読むと、相談者さんは、入社してみると面接で話に聞いていたデザイナーさんがおらず、相談できる人がいない→研修内容もズレていると感じてるけど、でも初めてだから何でもやってみるべきだろうか?→いや、でも相談ができる人がいないから長く続かなさそう・・だったら早めに辞めるべき?と、この考えがぐるぐる頭の中をループしていて、とっても苦しい状態なのだろうなと感じました。私もよく無限ループに陥りがちなので、相談者さんの脳みそくんにここまでよく頑張りましたと褒めてあげたいです。

悩んでいる方に急にこんなこと言うのもおかしな話ですが、私は「あ、この相談者さんは大丈夫・・!」と感じました。なぜかというと、お手紙の中で相談者さんは「自分が悪いのですが」「自分の頑張り次第」という言葉を使っていました。良い意味でも悪い意味でも、自分を叱咤できる方なのだろうなと思ったのです。自分のミスや欠点を認めるのは、じつはなかなかできることではありません。
そんな相談者さんだからこそ、私がアドバイスしなくとも、おそらくお寄せ頂いたお手紙の内容におおよその答えが出ていると思います。私は少しだけお手伝いできればという気持ちです。

じつは、この方はもう次のアクションがもう具体的だったのです。相談者さんの文章そのままではないのですが、おおよその表現をすると下記の二択でした。
A:早々に辞めて就活し直し、良いデザイナーの元で働く
B:デザイナーがいない環境でこのままズレていると感じる研修を続ける

どっちがいいと思いますか?という私への質問だったので、期待はずれの回答にはなってしまいますが、AかBかではなく、B(研修)をやりながらA(就活)をやるという選択肢もある気がしてます。どうでしょう?どちらか迷ってるなら、両方のいいとこ取りをして欲張ってもいいのでは、なんて思いました。
仕事をしながらの就活は大変だと思うので、もちろん自分の体調も顧みながらですが、もしAだけを選んで焦って就活してしまうよりも、Bをやってるし自分ちゃんと偉い!と思いながらAに取り組むのも悪くないと私は思うのです。

これ以降は、相談者さんの言葉の中から気になったことで、ちょっとしたヒントになりそうなことを書いてみました。あくまでも私の一意見ですが、何か参考になれば幸いです。

嫌だなと思って取り組むと、すべてが嫌なものに見えてきてしまう

相談者さんは、あまり納得していない状態でその会社に入ったそうです。嫌だなと思って取り組むとすべてが嫌なものに見えてきてしまいがちです。なので、何か好きなところがないか探ってみるのもオススメです。

これは、私がよくやることなのですが、小さなことでも「あ、これカワイイ」「これ好き」と感じたものを声に出して言います。不思議なことに、嫌いと思ってた中に段々カワイイものや好きなものが増えてきます。それでも魅力を感じないなら、もうその後は相談者さんなら結論が出ていると思います。

「最初は広く浅く学ぶのが良い」の本当の意味

おそらく相談者さんだけでなく、これを読んでいる皆さんも、「最初は広く浅く学ぶのが良い」はよく耳にする言葉だと思います。でも、私も9年デザイナーをやってきたからこそ言えるのだと思いますが、「広く浅く」や「狭く深く」というスタイルは、そこを目指していた訳でなく結果的に"気づいたらそういうスタイルだった"気がしています。ですが、相談者さんのように、まずは決めないと先に進めないので、まずはこっちのスタイルでやってみようと決めてみるのはとても良いことだと思います。

だからこそ、「"最初の頃"の広く浅く」の捉え方を私なりに考えてみます。
「"最初の頃"の広く浅く」は、そのスタイルを「保つ」というよりは「合わないと感じたり、楽しそうと感じたら、次を試してみる」ということが大事なのではないかと私は思いました。
イメージ的なのを書いてみると、
・同じ環境(例えば職場)で辺りを見渡して手を伸ばす
・デザインという大きな枠の中で環境を変えてみる
どちらも「広く浅く」と言えないでしょうか・・?

もし他にデザイナーがいたとしても、すべての相談に乗ってくれるとは限らない

自分自身にとって「良いデザイナー」さんとはどういう人でしょうか?相談者さんの場合は、おもに相談できる相手をさしているように感じました。
これはどの程度または内容の相談にのって欲しいのかにもよりますが、ちょっとキツい事実を突きつけるようで申し訳ないのですが、もし他にデザイナーさんがいたとしても、そのデザイナーさんがすべての相談に乗ってくれるとは限らないのです。そして、結局は人間同士。自分のほかにデザイナーさんがいたとしても、反りが合わない、声がかけづらいとかで、すべてとは言わずとも少しの相談もできないという話はよく聞きます。

デザイナーという職種にとらわれずに、会社に入りたての時は今の環境で気軽に声をかけられる人を見つける・つくることが最初の一歩なのかもしれません。(私自身も引っ込み思案なので全く人のことが言えないのですが・・。)

じつはデザイナーは工程的にも立場的にもいろんな職種の間にいることが多いのです。例えばエンジニアさんやディレクターさんと話せることはとても重宝されるし、自分を助けてくれるスキルだったりします。デザインという仕事は、職人的なものに捉えがちですが、デザイナーをやったことがない人からみると意外なほど結構チームプレイなお仕事です。

デザイナーという職種関係なく、既存の組織だからこそ自分の味方を見つける

そうやって少しずつ職場の中で、自分の味方を見つけることで輪が広がっていくと、自分ひとりしかデザイナーがいない環境でも、『デザインが好きなエンジニアさんを見つけた→毎日その人とあーだこーだ言いながら作るの楽しい→業務外で一緒にアプリの開発を始めた』、『非デザイナーの上司と気軽に話せるようになった→デザインの勉強するためのセミナーや本の費用を出してもらえることになった』という展開だってありえなくない話です。

まだ相談者さんは研修が始まって数日だということなので、全員敵だとは思わずに、まわりにどんな人たちがいるのか観察してみてはどうでしょうか?それでもここは自分にとっては厳しい環境だったと感じれば、環境を変えるときにもある程度納得がいくようにも思います。

すでに存在している組織に入ることは、そこにはもう出来上がってる環境があるので、それを変えるのはとても難しいことです。(自ら環境を変えていく手もありますが、自分の味方が必要だったり、かなり時間がかかることだと私の経験からは言えます。)環境を変えるのは決してネガティブな手段ではありません。

自分にとって「良いデザイナー」の元で働けても、すぐにいなくなる可能性

もし就活をし直して、せっかく自分にとって良いデザイナーさんに出会えても、その人がそこで長いこと自分を指導してくれるとは限りません。大きい会社なら他の部署へ転属してしまうかもしれないし、そのデザイナーさんだって転職したり独立したりだってあります。こればかりは他人の人生なので、残念ながら自分がどうこうできるものではありません。(私も後輩ちゃんたちに何度ごめんと思いながら会社を去ったことか・・。)

厳しいことを言っているのかもしれませんが、その可能性も十分あることを知っておいて変に自分の中の期待値を上げ過ぎないで欲しいのです。そして、今だからこそ「自分の力で学ぶこと」もしっかり意識してやっていってください。自分が先輩の立場になったとしても、勉強してないとすぐに時代に取り残される、良い意味でも悪い意味でもこの業界にはそんな緊張感があります。新人の頃から習慣を付けられると、とても強いです。
もし、ちょっと自分でやるの苦手だな・・と感じる方は、勉強仲間を見つけたり、セミナーや勉強会へ参加するのも良い手だと思います。

あと、少し補足すると、良いデザイナーを育てる組織であるか?も、就活する時に注目してみるとよいかもしれません。組織に属する会社員のデザイナーである旨味も結構そこにあるので、組織で新人を育てる仕組みがあれば、上記のように「自分にとっての良いデザイナー」がいなくなってしまっても放置される心配もないでしょう。

最後に、何よりも自分に正直でいること

さて、ここまで長々とお話ししましたが、相談者さんが「いや、それでもやっぱり今すぐにこの職場を辞めたい」と感じるなら、もうそれが答えなのだと思います。不安でそれっぽい理由をつけて自分に言い訳する必要はありません。
私が最初の方で、相談者さんが自分を叱咤するで、"悪い意味でも”と付けたのはそこにあります。こういった方は、自分を多少いじめても頑張れちゃう人。自分の気持ちに素直にしたがうのがじつは一番だったりします。どうぞ自分を大切に!自分の一番の味方は自分なのですから。

Special thanks:
今回お手紙を下さった ちーの様

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※2021/3/16 全文無料で読める状態で有料記事に設定していましたが、無料記事に変更しました

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