「DESIGN CAMP @奥大和 2017」開催レポート
2017年10月11日(水)〜10月19日(木)、「DESIGN CAMP @奥大和 2017」を開催しました。
2回目となる今回はインドネシア・シンガポール・台湾の3カ国から3名のデザイナーを招聘。
事業者も前回は食品関係のみでしたが、そこに奥大和地域を代表する特産品である吉野杉を扱う林業関係の事業者が加わり、新たな取り組みにも挑戦。食を含む地域資源を横断的に束ねることができるのでは、と感じる提案も生まれました。
参加デザイナー
2回目となる今回は、インドネシア・シンガポール・台湾から計3名のデザイナーと、奥大和地域在住のデザイナー3名の合計6名が参加しました。
それぞれのプロフィールは、後述するプレゼンテーションのブロックに記載しています。
受け入れ事業者
「株式会社パンドラファーム」、「豊永林業株式会社」、「ばあく・泉澤農園」の3社です。
全9日間のプログラム
初日のオリエンテーションを終えると、翌日から「事業者研修/ホームステイ」がスタート。2〜4日目まで、デザイナーはそれぞれが担当する事業者のもとで過ごし、商品や会社、地域のことを深く理解しました。
その3日間の経験を踏まえて、5〜7日目でデザインを制作。
8日目にはその成果を事業者に向けてプレゼンテーションしました。
DAY2〜7を終えて
前回から引き続き、事業者の熱量が高く、「アジアに関心がある」「デザインを改善したい」というニーズを持っていたため、受け入れに関する本気度が高かったことが印象的でした。
また、アジアからのデザイナーと国内デザイナーとの2人1組による絆の強さも感じられました。
今回、留学経験を持つ大学生に通訳&コーディネーターとして加わってもらいました。
彼らの存在は通訳としての役割のみならず、良好な関係性を築こうとするひたむきな姿勢が、事業者を含むチームに良い空気感を生んでいたように思います。
デザイナーの提案は、これまでになかった新しい視点や切り口のものばかり。
どれも事業者への深い理解をベースにしているため、具体的で共感度の高いものが多かったです。
発表会後すぐに「今後も一緒に仕事がしたい」との意向を伝える事業者もあり、国内デザイナーが先導しながらアジアと連携し、良いアウトプットへとつなげてくれることを願っています。
プレゼンテーション①/株式会社パンドラファーム
株式会社パンドラファーム(奈良県五條市)
梅・柿の生産を始めて約40年、安全な栽培にこだわりを持った生産者が共同で設立。生産力の向上や出荷スピードの効率化を実現した。
また農産物活用のため、梅干や干し柿を中心に添加物をできるだけ使用せず、安全かつおいしい食を提供している。
新しい技術と発想で日本の食を守りたい、日本の地域と農業生産を力強く変革する企業でありたいと考えている。
<デザイナー>
Pip Lu
グラフィクデザイナー、台湾、台北市を拠点のデザインスタジオO.OOのオーナーとして、フォーティ リウとともにデザインとリソグラフ印刷を手掛けている。あらゆる新しいプロジェクトやチャレンジによって、解決方法を見つけ出し、デザインとリソグラフ印刷の可能性を発見することができると信じている。
坂本 大祐 / Daisuke Sakamoto
1975年、大阪府生まれ。和歌山県でデザイナーとして活動をスタート。身体を壊したのを機に、2006年、両親が移住していた奈良県・東吉野村へと拠点を移す。移住後は県外の仕事を受けながら、今までの働き方や生活を見直し、自分にとって居心地のいい新たなライフスタイルを模索。
ある出会いをきっかけに、奈良県内の仕事が増え、商品やプロジェクトなどの企画立案からディレクションまで手がけるデザイナーとしてさまざまな案件に携わる。
2015年3月にオープンした「OFFICECAMP HIGASHIYOSHINO」設立時にも企画からデザイン、運営までを担当。村と外をつなぐパイプ役として、東吉野村を拠点に活動中。
★プレゼンテーション資料は下記よりご覧いただけます。
プレゼンテーション②/豊永林業株式会社
豊永林業株式会社(奈良県下市町)
奈良県吉野地方の所有または委託山林の植栽から立木乾燥原木販売を担っている。役員及び従業員のほとんどが吉野近郊の出身だが、大阪近郊からのIターンした従業員も山林作業を行っている。
また、奈良の木の海外販売計画を模索中で、10月中頃よりインドネシアを訪問し、科学長官面会をはじめ市場調査及び販路開拓の営業を行う。
品質の確かな奈良の木を世界へ販売するステップにしたい。
<デザイナー>
Fandy Susanto
インドネシアのジャカルタ生まれ、シドニーのスウィンバーン大学で学士号を取得。ブランド構築の真の意味を深く注ぎ込む多分野のグラフィックデザインスタジオ、Table Sixを経営。
従来の企業プロジェクトではなく、革新的でクリエイティブなプロジェクトを中心にポートフォリオを作っている。
本当の楽しみは、 プロジェクトを完成させる喜びだけではなく、 アイデアが浮かび実行され、評価され、再評価される「プロセス」の間にある。
現在、以下のようなプロジェクトの構築に携わっている。
Sunset Limited:アート&デザインエンタープライズスカウトユニットのキュレーションとコミュニティベースのアート&デザインスペース
勝山 浩二 / Coji Katsuyama
グラフィックを軸にした広告デザインやWEB、プロダクト、企業ブランディングなどを手がける。地域プロジェクトなどを手がける大阪のデザイン事務所を経て、奈良県奥大和地域にてデザイナーとして活動。
これまで培ってきた自身のデザイン&ブランディング能力を使い、奥大和の持つ問題の「内側」へ入り、そしてデザインやブランディングによる問題解決という意識を、奥大和地域という土地で根付かせていきたいと考える。
★プレゼンテーション資料は下記よりご覧いただけます。
プレゼンテーション③/ばあく・泉澤農園
ばあく・泉澤農園(奈良県五條市)
ママさんバレーのメンバーやPTA役員の仲間や母親達が集まってできた「ばあく」は30年経った今も相変わらずの「母親目線」での物づくりが継続されている。 昔ながらの循環型農業を地域住民と共にやっており、夫である泉澤光生が代表を務める畜産の専業農家である泉澤農場で育てられた特別な豚肉のみを使っている。
ばあくの製品のハム、ベーコン、ソーセージは5大アレルゲンを使っていない。アレルギー対応に作ったものではなく、昔ながらのシンプルな作り方をしており、「自然の素材だけで美味しいもの」をつくろう!!と日々取り組んでいる。
<デザイナー>
Jonathan Yuen
多分野のグラフィックデザイナー。
2011年にシンガポールに拠点を置くクリエイティブブランディング&デザインスタジオであるRootsを設立。ブランディング、グラフィックデザイン、インタラクティブ、プロダクトアイデア、アートの分野にわたり、大小のクライアントとのプロジェエクトを手がける。
D&AD賞、Cannes Lion、The One Show、東京TDCなどの栄誉ある国際デザイン賞のを受賞している他、デザイン機関での講義や、シンガポールや海外での多数の賞の審査員をしている。
赤司 研介 / Kensuke Akashi
SlowCulture代表/編集者・ライター。1981年、熊本県生まれ。
東京の広告会社でライターとしてのキャリアを積み、2012年に奈良県東部の農村地へ住まいを移す。2児の父。
移住後は大阪の印刷会社CSR室に勤務し、さまざまな地域プロジェクトに携わる。2016年に独立。「自然としての健やかな選択」をする人が増えていくための編集・執筆に取り組んでいる。
編集ユニット「treetree」共同代表。奈良を日英バイリンガルで編集するフリーペーパー「naranara」編集長。NPO法人「ミラツク」研究員。Webマガジン「greenz.jp」や「京都市ソーシャルイノベーション研究所 SILK」のエディター・ライターとしても活動中。
★プレゼンテーション資料は下記よりご覧いただけます。