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古代エジプトの数学を学ぶ

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古代エジプトにはピラミッドをはじめ多くの巨石建造物や彫像が残されています。また世界最古の文字の一つである神聖文字(ヒエログリフ)があり、高い文明を誇っていたことがわかります。最近…
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『ホルスの目』から古代エジプトの2分法を学ぶ…1より小さい数の計算方法は?

 どんな古代の言語にも、1より小さい数を表す「半分( half )」とか「四半分( quarter )」という単語があります。古代エジプトでは、これに加えさらに 八分、十六分、三十二分、六十四分までありました。今ではあまり使われませんが、日本語にも「八分」や「十六分」という表現があり、「八分の一」「十六分の一」という意味で使われます。日本語では「八分」のように「数詞+分」の形で表ますが、古代エジプトではこれらは単一の概念で、それぞれが一つの記号で表されていました。  図1は「

古代エジプトの割り算 エジプト算法

「古代エジプトのかけ算 エジプト算法 〜2倍法〜」では、古代エジプトの人々がどのようにかけ算を計算していたかを勉強しました。古代エジプトの割り算は、古代エジプトのかけ算と見かけ上同じ形をしています。割り算をかけ算と比較しながら見てみましょう。 下の表は41 × 53 = 2173 と 2173 ÷ 53 = 41を表したものです。 左の表がかけ算、右の表が割り算です。 一番上の行は標題で、真ん中の赤字が作業欄です。標題と作業欄はパピルスにはありません。この部分を除

古代エジプトのかけ算 〜エジプト算法:2倍法〜

 前回のお話では「農夫のかけ算」の計算方法をご紹介しました。今日は歴史をさかのぼって、古代エジプトではどのような方法でかけ算をしていたのかを見てみましょう。 古代エジプト人のかけ算の方法は、「農夫のかけ算」と原理は同じなのですがやり方が少し異なります。n×m のかけ算を、前回と同じ42×123を使って、つまりn=42、 m=123として説明しましょう。エジプト式かけ算では以下のような表を使って計算をします(表1)。  4つの列があります。最初の欄はㇾ印を記入する欄で、これを

農夫のかけ算ってどんな計算? 〜エジプト算法:2倍法〜

 古代エジプトにはピラミッドをはじめ多くの巨石建造物や彫像が残されています。また世界最古の文字の一つである神聖文字(ヒエログリフ)があり、高い文明を誇っていたことがわかります。しかしこれまでは、古代エジプトに高度な数学が発達していたという認識はありませんでした。むしろ、エジプト数学はとても初歩的なもので、原始的でさえあると思われていました。最近になって、エジプト数学が見直されるようになり、ギリシアやローマの数学、ひいてはヨーロッパの数学に少なからぬ影響を及ぼしているのではない