見出し画像

【運用設計③】WebディレクターがITサービスマネジメント(ITSM)・ITILについて考えてみる!

こんにちは!22新卒Webディレクターのyunです。現在はシステム運用/情報更新・サイト改善などの業務を担当しています!今回は「運用☆ちゃんと学ぶ システム運用の基本」で出てきた「ITサービスマネジメント(ITSM)」について調べてみようと思います。

ITサービスマネジメント(ITSM)って何だろう?

本書によるとITサービスマネジメントとは「顧客のビジネスニーズに合った、最適なITサービスを提供し続けるためのマネジメント活動のこと」と記載されています。分かりやすく言うと、ITシステムを使ったサービスを「適切なコストで」「適切な労力で」「ビジネスを行うための適切な品質で」提供するためのやり方を考えてマネジメントすることです。

IT担当者は技術面ではなく、ビジネスの視点から事業の成長のためにどのようにITサービスを提供していくかを考え、管理することが必要があります。(まさにWebディレクターとして必要なスキルだと感じました。。)

ITサービスマネジメント(ITSM)を考える際の注意点

ネットで調べていると、ITSMを導入すると業務効率化やサービス品質向上に繋がると記載があります。これらの記載では間違いではないですが、ITSMは魔法の道具で導入すれば解決するという誤解に繋がりかねないと感じました。(横文字ですし。。)

ITSMは有形ではなく、考え方を示した概念です。そのため決まった実施方法があるわけはなく、IT担当者はそれぞれの企業の状況・役職に応じてビジネス視点を取り入れる工夫をしていく必要があります。

しかし、何から始めればよいか分からないですよね。。そんなとき参考となるのが、ITSMのベストプラクティスをまとめたInformation Technology Infrastructure Library(ITIL)です。

※Information Technology Infrastructure Library(ITIL)は1980年代後半に英国政府によりまとめられ、IT運用管理のデファクトスタンダードととして世界中で使われています。当時の英国は不況だったことからITサービスを活用して成功している組織の成功事例をヒアリングし、ITマネジメントの改革を目指しました。「ITILを導入する」と書かれている記事も多いですが、その場合は「ITSMを実施するために(記事を書いている企業が提供している)ツールを導入する」との意味で使われていることが多い気がします。

ITIL V3記載のサービスライフサイクルって何だろう?

2007年に発行されたITIL V3ではITサービスを「サービスストラテジ」「サービスデザイン」「サービストランジション」「サービスオペレーション」「継続的なサービス改善」の5段階に整理しており、これを「サービスライフサイクル」と呼んでいます。ITILはあくまでベストプラクティスですが、これらの視点を持って現状の業務を見直すことで組織をより(ビジネス的に)良い状態に改善できると考えられます。

(1)サービスストラテジ(サービス戦略)
ITサービスを提供する内容や領域を戦略的に検討する

(2)サービスデザイン(サービス設計)
決定した新しいサービスの提供や変更をITサービスの設計手法に基づき安全に本番環境に導入できるよう設計する

(3)サービストランジション(サービスの移行)
顧客およびそのほかの利害関係者の要件に基づき設計されたサービスを、運用の段階に移行する手段や方法をまとめる

(4)サービスオペレーション(サービスの運用)
サービスデザインで合意されたサービスの範囲内で、ユーザーおよび顧客に対してITサービスを提供する方法をまとめたもの

(5)継続的なサービス改善
将来にわたってビジネスニーズの変化に対応しながら、顧客や利用者にとって魅力的なサービスを提供し続けるために、測定・分析・レビューなどの活動によりITサービスとそれを支えるプロセスの継続的な改善手法をまとめたもの
ITILとは? ITサービスを効率的に運営する“ベストプラクティス”を導入しよう


#ITIL用語解説

さらに上記に加えて、以下4つのPの視点から各フェーズを考えていく必要があるようです。

・People(人材)…業務に携わるスタッフの能力やスキル
・Process(プロセス)…業務の活動内容や役割・責任
・Partner(パートナー)…サービス提供に利用するメーカーやベンダー
・Product(製品)…サービス提供に利用するツールや技術
ITIL®とは?概要から歴史・ライフサイクルまで分かりやすく解説

ネットや本で調べているとITILといえば、V3で提唱されたサービスライフサイクルがよく紹介されていますが、2019年にV4も発表されておりV3とは大きく違う内容となっているようです。詳細は以下記事が分かりやすかったです!

Webディレクターの業務に当てはめて考えてみる

まずITサービスマネジメント(ITSM)でいうと私の働いている企業では「ビジネス的にITサービスをより良くする方法を考える」取り組みは実施していると感じます。ITサービスを提供している事業部内で各課がKPIツリーを作成し、ビジネスへの貢献度を定性・定量で評価する取り組みが進められています。ITサービス(特にUX全般)を担う部署のためKPIの設定が定性的になり、難しい項目もありますがこちらはまた別の記事で考えていきたいと思います。

一方ITIL V3の「サービスライフサイクル」内でいうと、「サービスオペレーション」「サービストランジション」が私の業務(運用設計・運用保守)に当てはまりそうです。(しかし、ここからどう評価していけばよいか分からない。。)私の担当KPIの1つとして運用(情報更新)業務のインシデントを0にすることがあります。例えば、現在システムの運用手順の見直しを担当しており、「最もリスクの少ない業務フローを作成する(人の手作業を最低限にする)」「各工程で不要な情報連携をなくす」「見直し後の運用フローのデモンストレーションを行う」など当たり前のことですが効率化とリスクの最小化を意識しています。(正直手探りではあるので、レビューをいただきつつ改善していきたいです)

※実際にサービスライフサイクルの視点を取り入れ、ITSMを実践した例としてこちらの記事が参考になりました!

まとめ

今回の記事ではITSM、ITILの概念について調べてきました。こちらの概念について本を読んで初めて知りましたが、Webディレクターの仕事の全体像を知るためにも理解するべき内容だと強く感じました。

情報を伝達するだけのWebディレクターにならないよう、ITサービスを提供する責任者としてビジネス的視点を欠かさないようにしたいです。まだまだ表面でしか理解できていない部分が多いので、今後もITILの内容について学んでいきたいと思います。ではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?