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AIに仕事を奪われるって,前にも聞いたことない?

「AIに仕事を奪われる」-- そんなタイトルのネット記事や書籍が巷をにぎわしている。でも,ちょっと待って。前にも聞いたことない? そうだ「機械に仕事を奪われる」だ。機械化,特に工場の機械化が押し進められた1970年代,1980年代,工場で肉体労働をしていた人たちは,機械に仕事を奪われると思って怯えていた。反対運動もあった(銀河鉄道999もこれを主題としている)。でもどうなった? 確かに工場内の肉体労働は機械に置き換えられた。で,今,工場で働いている人たちが,仕事を奪われたと言って怒っている? いやいや,工場で働いている人たちも今更,工場内で朝から晩まで肉体労働なんてご免なはずだ。今の仕事の方がずーっといい。

じゃ,AIに仕事を奪われるってどういうこと? ちょっと考えてみた。人間が肉体労働の次に疲れると感じる「考える」って仕事をコンピュータに代行してもらうってこと。つまり,論理的思考はコンピュータがやるようになる,っていうか,現状でも結構やるようになっている。「機械に仕事を奪われる」のときと同じように,時間が経てば,みんな「論理的に考えるなんて仕事は疲れるから絶対やりたくない」と言ってるかも。じゃ,人間は何をやればいいの? まだある。意思だ。こんなことをやってみたい,あんなことをやってみたいっていう意思だ。今のところ,この「意思」をコンピュータ上に作り出すのは難しい。まだ,人間にしかできない。

AI研究の第一人者,新井紀子さんによると,最初にAIに取って代わられる仕事は,税理士だそうだ。入力も出力も完全にデジタル化できるのが,その理由らしい。それを聞いて,税理士になっておけば良かったと思った。なぜなら,税理士の仕事をAIとしてコンピュータ上に載せられるのは,税理士の仕事を最もよく知っている税理士だからだ。誰よりも早く税理士の仕事をAIとしてコンピュータ上に載せられれば,自分ひとりの税理士事務所で,100人分も200人分もの仕事をこなして大儲けが可能になる。つまり,AIに奪われそうな仕事であればあるほど,同業者の仕事を奪って大儲けするチャンスが待っていることになる

やっぱり「意思」の部分,つまり,何か企んでやってやろうという部分があれば,当面,大丈夫ということだ。

そんなことを考えていると,何とか「意思」もコンピュータ上に実現できないだろうかと考え始める。この意思というやつは多分,DNAの塩基配列から出てくる。DNAの塩基配列情報をコンピュータ上にコピーしても,まぁ何も起こらない。これは自明だ。何か動き始めるようにしなければならない。細胞がDNAやRNAの情報を引き出すのと同じ仕組みをアルゴリズムとしてコンピュータ上にプログラムしてやればよい。と言っても具体的な方策は未だ思いつかないからボチボチ考えていこう。これを光の速さを超えて動作するという量子コンピュータ上に実装してしまえば,人知を超えたレベルで何かが動き始めるような気がする。神の領域か。最後は,SFになってしまった。


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