俺は何を読まされているの…小説「向日葵の咲かない夏」読書感想文
道尾秀介さんの小説「向日葵の咲かない夏」を読んだ感想です。
読んでいる時間のうち90%の時間に頭に浮かぶのは「俺は何を読まされてるのか…」という疑問のみ。それが最後の最後で色々明らかになりますが、心のモヤモヤは一向に晴れません。
伊東四朗にモヤッとボール100個投げたい。
※以降ネタバレ含みます。
何を読まされているの、俺は ─
もう小説が始まってから早い段階でこんな気持ちになり、読み進むにつれてさらに分からなくなる。こんな読書体験なかなかないです。
ミチオくんという男の子が同級生のS君の首吊り死体を見つけてしまう。それを学校に戻り報告するも、先生が見に行ったら死体はない。
そして家に帰ると母親がやたら狂ってて、ミチオくんにめちゃくちゃ嫌なことを言う。父親はそれを助けないし、味方になってくれるのは3歳の妹、ミカちゃんだけ。
そしたらその死んだはずのS君が蜘蛛(くも)になって蘇り、ミチオくんの家にくる…
─ ん?
そしてS君が「僕は先生に殺された」と言い出し、ミチオくん、ミカちゃん、蜘蛛のS君の3人で先生の家へ行き死体探しへ。そしたら先生は部屋で「裸の男児の動画」を見始める…
─ はい?
ミチオくんは何もかも投げ出したくなってしまい、夜ミカちゃんのベッドに潜り込み、ミカちゃんの指を口に入れ頬張ってしまう…
─ ちょっと待て待て…
そして蜘蛛のS君は真実を伝えようとし始めると、ミチオくんは指でS君を潰して殺し、それをミカちゃんの口へ。嬉しそうに口を開けて食べるミカちゃん。
─ おい!一回落ち着け!
近所のおじいさんが多発していた猫や犬の殺害事件の関与を認め、その理由が死体の足を折りたくなったから…
─ もう…どうでもいい。
ミチオくんは全てを終わらせたくなったといい、部屋に花火をつけ自殺しようとする。
─ 何を読まされているの。俺は。
・・・
こんな感じで話が進んでいくんで、もう何も分からない。予想もクソもない。何がハッピーエンドで何がバッドエンドかも分からない。
終盤でミカちゃんがトカゲとわかり、トコお婆さんが猫だということが判明。ミチオくんは動物と話ができるのかと思いました。ドクタードリトルかな。
しかし読み進めるとそういうことでもなく。わからないので考察をしている方のレビューを見させてもらったら…そんな馬鹿な…
ミカちゃんや蜘蛛のS君はミチオくんの妄想だった、ということ。
そして最後の火事で両親が亡くなってしまい、ミチオくん1人になったということ。
タイトルから感じ取れるような爽やかさとは真逆のエンディング。誰も残っていないし、誰も報われない。
なんですかこれは…
伊東四朗にモヤッとボールの箱ごとぶん投げたい。
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