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本の感想

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主に学生時代に読んだ本を再読して、感想とか書いています〜。客観性や正しさよりも、自分の感じ方を大切にしています。
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記事一覧

堕落から始めること(坂口安吾 『堕落論』を読んで)

坂口安吾の『堕落論』は、戦後直後の1946年に発表され、天皇制への批判的な洞察も含めて、当時…

でらぼ
6か月前
4

賢者より道化でありたい(山口昌男『道化的世界』を読んで)

不真面目より真面目、混沌より論理、非理性より理性、偶然より必然、放蕩より禁欲、無意識より…

でらぼ
9か月前
2

反時代的であること(カート・ヴォネガット・ジュニア『プレイヤーピアノ』を読んで)

いつの時代にも、その時代の「流れ」というものがある。 今で言えば、AIやITなどの「技術進化…

でらぼ
9か月前
2

人の物性(深沢七郎『楢山節考』を読んで)

人は「物」ではない、それは当たり前のことだ。 「人を物のように扱う」と言う時、それはネガ…

でらぼ
10か月前
6

古き良き時代の匂い(村上春樹 『風の歌を聴け』を読んで)

僕が村上春樹の作品を最初に読んだのは、10年くらい前の大学2年生の時だった。 当時は村上春…

でらぼ
1年前
20

素直になる勇気(坂口安吾 『勉強記』を読んで)

僕は学生時代から坂口安吾がわりと好きだった。 変な格好つけや理屈のこねくりまわしをせずに…

でらぼ
1年前
7

ひとの哀愁(高橋源一郎 『ジョンレノン対火星人』を読んで)

高橋源一郎さんの小説はいくつか読んだことがあるが、その中でも今回取り上げた『ジョンレノン対火星人』など、初期の作品はとくに好きだ。 『ジョンレノン対火星人』は高橋源一郎さんの最初の小説だが、正直あらすじを説明するのもなかなか難しい作品である。。 基本的には全編にわたって「暴力」と「エロ」と「無意味さ」に覆い尽くされているので、好みは分かれるかもしれない。 いわゆる低俗で、卑小で、多くの場合に忌避されるべき要素が、この作品にはふんだんに盛り込まれている。 ただ僕はいつも

センシティブな青年時代に(サリンジャー 『ライ麦畑でつかまえて』を読んで)

誰にもそういう時期があるのかどうかわからないが、僕はやけに自分が「センシティブ」だったな…

でらぼ
1年前
5

叡智よりも勇気を(太宰治『トカトントン』を読んで)

太宰治の小説も何冊かは読んでいて、その中でもいくつか僕の心に残った作品があるのだが、その…

でらぼ
1年前
3

連帯感ではなく同体感(寺山修司『歌謡曲人間入門』を読んで)

寺山修司の作品はあまり読んだことはないのだが『書を捨てよ、町へ出よう』など有名なものは読…

でらぼ
1年前
8

悲しみの力(宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』を読んで)

僕は本を読んで「泣く」ということはあまりないのだが、宮沢賢治の作品には泣かされた記憶があ…

でらぼ
1年前
12

日常の非日常化(萩原朔太郎『猫町』を読んで)

近所の歩き慣れた路地、毎日往復する通勤通学路、子供の頃から住み続ける地元の街並み。 こう…

でらぼ
1年前
1

現代人カフカ(カフカ『変身』を読んで)

僕がカフカの『変身』最初に読んだのは大学生の頃で、その時の印象は、人間が急に虫になるなん…

でらぼ
11か月前
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