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ホン雑記 Vol.401「子供心だけでなんとかなる」

タイトル画の絵本が一番有名かもしれないヨシタケシンスケ氏の『あるかしら書店』を買った。
絵本は高いし、全ページ立ち読みか、買うとしたら子供が出来た時か、知人に子供が出来た時に贈るぐらいか、だと思ってた。けど買った。


最近は「ビジネスにも使える」なんて言い回しをてんでしなくなってきたオレだけど、こういう絵本を買う時点で、1年前とはお金のだいじさ・ほしさや人格がだいぶ変わってきているのだとわかる。

『あるかしら書店』は、ぶっちゃけると「いらんことしぃ」が描かれた絵本だ。

「本ってなんだろう?」という発想を、懐かしさを感じるようななんとも天衣無縫な視座からフォーカスしている。

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これなんかはわりと「意味」がわかりやすい。
リサイクルされる本は「ものがたり」や「作者のキモチ」などのふわふわしたものにもなって、この話の最後(次のページだけど)なんかは大人でも「へーっ」と思わせてくれるようなオチがある。

たまにこういうのもあるんだけど、ほとんどの話にはあまりハッキリとした意味はない。「なんだそれ」って思うようなものが結構ある。
だけどそれがなんかいい。
子供のころ、友達がいきなり理解不能なことを言い出したりして「なんだそれ!」って言わされる時のなんとも言えない楽しさに似てる。
大人になると、いきなり脈絡なく「レモンのいれもん」とか言うことはもうない。ダジャレという理解可能なおこないであっても、酔ってもおらず、脈絡もなければ、結構マジで「なんだコイツ」ってなると思う。
子供はダジャレですらない理解不能なことをいきなり言い出す。たぶん音声化することの楽しさがメインなんだろう。
赤ちゃんの時に(たぶん)気持ちよがった「発声すると音が出る」肉体を手に入れた時の楽しさがまだ残っているんだろう。

はっ!
いかん。意味がわからないことが楽しかったという話をするために子供のころを引き合いに出したのに、結局意味を考えているではないかっ。
そういうことが言いたいんじゃなかったのだ。あー、くそぅ。
ま、とにかく、意味がないか、あっても遠くにあるのさ。
谷川俊太郎の詩に、

かっぱかっぱらった
かっぱらっぱかっぱらった
とってちってた
かっぱなっぱかった
かっぱなっぱいっぱかった
かってきってくった

なんてのがあるけど、子供は「これ音読することになんの意味があるんですか」なんて思いながら習わないもんな。思ったら口にしてる。
オレも今してみた。

とは言っても、高いお金(1200円もするっ!)出すんだから意味を考えて買ったわけだけど、それは「いつかまたつまずいた時に結構癒されるんだろうなぁ」ってところだと思う。

ゆる~い気持ちに浸れるように、パラパラとチラ見して買ってみた絵本だけど、最後のちょっとだけ長い10ページ分の話には、号泣してしまった。
「届かない」ことにヘコんだ作り手たちには刺さるだろうなぁ。いや、うまく成果が出せないで落ち込んだことのあるほぼすべての人には、かな。



そうそう。
読み進めてるうちに「ロックな人だなぁ」と思えてきたんで、なんか不意にカバーを外してみたくなった。

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ほ~ら。やっぱりふざけてた。




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