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ホン雑記 Vol.146「流れ者の狂詩曲」

やっとこさ、金曜ロードショーで「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。


「良い」とは聞いてたんだけど、クイーンをまったく知らなかったこともあって、なかなか食指が動かずにいた。まったく知らないんで、演奏シーンが多かったこともわりとその要因であった。

ウチのレコーダーは常にパンパンだし、観たら消そうと思っていたが、永久保存版になった。
いやぁ、良かった。久々に良かった。最後の最後で、オレの大好きな「父親モノ」も入ってたし。

そもそも一番好きな映画が、ベタにスタンドバイミーなので、単純に洋風な感じが良かった… って、なんだこの稚拙な感想。
あぁ、4人組ってのも一緒だしね。


中2の時ぐらいにビートルズにドハマりしたんだけど、クイーンはまったく人生にかすらずに生きてきた。
たぶんあの頃のオレは、フレディ・マーキュリーのあの出で立ちがダメだったんだろう。完全に志茂田景樹と同じフォルダの中に入れていた。見くびり過ぎていた。どっちのファンもごめんちゃい。

言うなれば、スルメの良さだった。
映画の中のフレディも最初はロングヘアで、ノーマルなロックミュージシャン風で、イケメンなんだけど、途中でお馴染みのヘア&ヒゲ&タンクトップスタイルになった時には「うわぁ」と思った。ドラムのロジャー・テイラー役の俳優と同じ顔になった。

が、ロングヘア状態でいつのまにか沁みていた「カッコいい!(中身も)」のおかげで、それがまぁまぁカッコ良く見えるんだな。過激… じゃない、景樹フォルダからダンディフォルダに移動しているのだ。
いや、坂野はまた違うフォルダだ。いや、そんなフォルダはオレの中にない。


最後のほうで、20世紀最大のチャリティーコンサート「ライブエイド」での様子が流れるんだけど、結局このライブシーンがムチャクチャ良かった。
クイーンのライブ映像はまったくと言っていいほど観たことがなかったが、そんなオレでも、なんかものすごい熱を感じたのだ。とにかくホンモノ感がすごい。

それもそのはずというか、あとでホンモノの「ライブエイド」の映像を見たんだけど、そりゃぁもう驚嘆だった。
ステージからフレディのパフォーマンスからピアノ上に並んだペプシコーラから、どれをとっても瓜二つなのだ。これはファンからしてみれば、さぞ打ち震えたんじゃないだろうか。

過去に一番繰り返し観たのがブルーハーツのMVだが、この映画のライブシーンにはそれと同じぐらいのワクワクがあった。演者はホンモノではないのに、オレはホンモノのファンでもないのに、だ。
ライブシーンひとつを観ても、主演のラミ・マレックは相当フレディを憑依させたんだろうなと思わされる。それに、制作陣のクイーンへのリスペクトも窺い知れるようだった。


あとからフレディのいくつかの画像と映像を観てみたけど、あの頃あんなにイビツに見えた彼が異様にカッコいい。いま感じる彼個人のカリスマ性は、あの頃のジョンやポールを超えている。

顔面も、髪型も、ヒゲも、タンクトップも、マイクスタンドを両手で持った時の気持ち悪いステップも、何もかもがカッコいい。

いや、マジでなんで気づかなかったんだ。どうかしてる。
それとも、いまがどうかしてるのか。



バイセクシャルで色事をこよなく愛した彼は、HIVによって命を落とすが、その前にメンバーだけには、
「俺を憐れむな。犠牲者として生きる時間はない」
と告げていた。

どこまでも弱く、強く、孤独で、偉大な伝説を見た。




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