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【第1章】なぜ、医療業界のブランディングは遅れているのか

 インターネット上で多くの医療機関のWebサイトを見かけるようになりました。Webのリテラシーの高い若手の先生方が開業し始めていることも要因の一つですが、全体的にインターネットという媒体を使って情報を発信し、広告戦略を立てている医療機関が増えています。
 ただ、他の業界に比べると医療機関の動きは鈍く、未だにインターネットにおける広告宣伝活動を不要だと考えている医療機関は少なくありません。 

 さらに、広告宣伝が不要と考えている医療機関にとっては、医療機関の強みを明らかにして情報を発信する「ブランディング」という方法はもっと必要ないと思われてしまっています。ブランディングの意識も広告宣伝活動も、他の業界に比べるとかなり遅れてしまっているのが現状です。
 なぜ医療機関は他の業界に比べて遅れているのでしょうか?その大きな要因が、国民皆保険制度とガイドラインにあると考えています。

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 医療機関に従事する方にとっては国民皆保険を説明するまでもないかもしれませんが、簡単にこの制度について確認しておきましょう。
 国民皆保険とは、日本の国民が全て何らかの公的医療保険に加入し、国民相互に医療費を支え合うための制度です。この制度により、日本の国民は全て、国民健康保険、協会けんぽ、共済組合といった何らかの公的医療保険制度に加入することを義務づけられています。
 公的医療保険制度に加入することで、毎月一定額の保険料を国に納めなければなりません。所得が上がればその分納付額も上がるため、この制度に反対している人もいます。しかし国民皆保険の制度によって財源を確保できるので、国民一人ひとりが医療費を全額負担しなくても済んでいるのも事実です。
 これが、国民皆保険にある「相互扶助」という考え方です。全ての国民が公的医療保険に加入することによって、平等に医療を受ける機会が保障されていることになっています。
 国民皆保険を突き詰めると、「どこの病院でも同じ質の治療を受けられる」ということにつながります。だとすれば、医療機関が自分たちの売りを明確にして差別化し、広告を出すことは必要ないことになります。こうした国民皆保険という制度がベースにある為、そもそも医療機関も広告や他の病院との差別化をする必要がなかったのです。

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 次に、医療業界で差別化や広告が遅れている理由が、医療広告ガイドラインなどの規制にあります。
 医療広告ガイドラインによれば、広告とは「① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性) ② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)」といういずれの要件も満たすものを指します。そして、以下の広告を明確に禁止しています。
広告が可能とされていない事項の広告
・ 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
・ 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)
・ 誇大な広告(誇大広告)
・ 患者等の主観に基づく治療等の内容又は効果に関する体験談
・ 治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等
・ 公序良俗に反する内容の広告

一方で、以下のものは広告とは見なされません。
・ 学術論文、学術発表等
・ 新聞や雑誌等での記事
・ 患者等が自ら掲載する体験談、手記等
・ 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
・ 医療機関の職員募集に関する広告


 このように禁止される広告の解釈についても詳しく規定しているため、広告を作るときにはまずガイドラインに違反しないかどうかを確認しなければなりません。さらにガイドラインは更新し続けていますから、昨日は大丈夫だった広告が今日はガイドラインに抵触するということも起こりかねないのです。

 これらの二つの要因が、医療機関の広告宣伝活動やブランディングが送れてしまっている主な原因と考えています。

医療機関のブランディング~求人・集患の秘訣~より



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